小学4年になる前の春休みに、僕たち一家は引っ越した。
元の家からバス停6個分の距離だ。
小学校の校区が違ったので、僕は隣町の小学校に転校した。
もちろん緊張や不安もあったが、それ以上に新しい環境に入ることは刺激的だった。
転入の挨拶は、大人と違い、名前を言って、よろしくお願いします、だけだった。
父親がその小学校の教師だったこともあり、クラスメイトに受け入れられるのに、大して時間はかからなかった。
しかし、そのクラスというか、その小学校に在籍したのは、4年生の4月と5月の2ヵ月だけだった。
なぜかというと、それまで借家住まいだった両親が、誰かの紹介で、格安の家を見つけ、即決したからだ。
あとで、というのは高校生くらいの時だが、聞いたところによると、格安の理由は、その家がその昔、朝日の当たる家、つまり娼館だったからだ。
今でいうところの事故物件の要素に近いかもしれない。
しかし実際に住んでみて、娼婦の亡霊が出るとか、そんな名残りは全くなく、今までの狭い借家に比べると、二階建ての広々とした家だった。
その家は元の家からバス停ひとつのところだったので、当然、僕はまた元の小学校に戻ることになった。
隣町の小学校でのあの2ヵ月は、僕に十分に転校生の気分を味わわせてくれた。
元の家からバス停6個分の距離だ。
小学校の校区が違ったので、僕は隣町の小学校に転校した。
もちろん緊張や不安もあったが、それ以上に新しい環境に入ることは刺激的だった。
転入の挨拶は、大人と違い、名前を言って、よろしくお願いします、だけだった。
父親がその小学校の教師だったこともあり、クラスメイトに受け入れられるのに、大して時間はかからなかった。
しかし、そのクラスというか、その小学校に在籍したのは、4年生の4月と5月の2ヵ月だけだった。
なぜかというと、それまで借家住まいだった両親が、誰かの紹介で、格安の家を見つけ、即決したからだ。
あとで、というのは高校生くらいの時だが、聞いたところによると、格安の理由は、その家がその昔、朝日の当たる家、つまり娼館だったからだ。
今でいうところの事故物件の要素に近いかもしれない。
しかし実際に住んでみて、娼婦の亡霊が出るとか、そんな名残りは全くなく、今までの狭い借家に比べると、二階建ての広々とした家だった。
その家は元の家からバス停ひとつのところだったので、当然、僕はまた元の小学校に戻ることになった。
隣町の小学校でのあの2ヵ月は、僕に十分に転校生の気分を味わわせてくれた。
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