木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

桐器局、手前盆納品

2014-03-27 23:25:13 | 木工
2月から製作していた桐器局と手前盆を納品しました。
注文をいただいたのは、煎茶の流派家元

この器局、家元の流派に伝わるものなのですが、元々の形は、

画像の右のようにシンプルなものです。
上の慳貪にも下の抽斗にもつまみがなく、それに合わせてお手前がなされるのです。
また、慳貪の蓋や抽斗を外して天地逆に置くことにより、棚としてお手前にも使われるということです。

慳貪の蓋や抽斗を開けるのをしやすくし、よりお手前をきれいにとするために側板を削り込み、両手で挟んで開け閉めができるようにという注文でした。
2月中には左のように完成し、一度見ていただいたのですが、これではいかにもとってつけたという感じなので、眉月や半月をイメージして
大胆に削り込むことを仰せつかりました。


それで、小刀で大胆に削り出して、


こうなりました。



同時に注文をいただいた手前盆。
こちらも、裏の側をさらに削り込み、持ちやすくずっとすっきりした形になりました。

家元は、流派に伝わる形であってもよ、大胆な改良を加えていかれます。
その根本にあるのは遊び心だと言っておられます。
その大胆な発想にはいつも驚かされるのですが、「古いものをものまま伝えるのは伝承でしかない。伝統は革新を伴わなければ堕落する。ただしその場合、品格を下げてはならない。」
そんな家元の考やお話からはいつも多くのことを学ばせていただいています。
本当にありがとうございました。

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