これからの戦争に勝者はない。通常兵器で始まっても、最新兵器の応酬から行き着くところは核の最終戦になるだろうから。問題は対立国の指導者の質にある。前近代的な思想にかぶれて、領土拡大や専制政治の力学に溺れる輩が核のボタンを支配していると、人類は猿の仲間入りだ。映画・「猿の惑星」では、宇宙脱出して他の惑星に着いたと思ったら、なんとその惑星はかつての地球だった。落ちのついた地球脱出劇は、所詮地球レベルで解決せざるを得ない人類の問題なのだと言えなくもない。チャールトン・ヘストン扮する宇宙船長が、渚に埋もれた自由の女神像を見たとき、望郷の喪失感は如何ほどであったであろうか。ウクライナもパレスチナも当地の人にとっては、廃墟の中の存在者としての虚しさが、何時終わるとも知れない出口なき戦いに疲れ切って、厭戦気分の瀬戸際にいる。頃は良しとばかり軟弱なバイデンに代わってトランプの出番となるが、プーチンとの駆け引きの強引さを見たいものである。ハッタリも戦術の内だからプーチンと渡り合うのも相性がいい。恐らくウクライナ東部のドンパス地方など、占領地の一部はロシアに帰属なんてこともあり得るが、半永久にEU加盟を凍結するが如きは、息を止めて我慢しろと言うに等しく、ゼレンスキー大統領は納得しないだろう。戦いの場で振り上げた腕を降ろす事ができないプーチンにとって、実利に即したトランプの提案を期待しているんだろうな。
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