conparu blog

ささやかな身の回りの日常を書き綴ります。
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ふり返れば病棟

2011-06-11 19:58:00 | 日記
スズメやカラスに学習能力があるとすれば、犬猫にはなおさら「ある」というべきだろうか。
私が二週間の入院生活から自宅に戻った時、タローは平然として尻尾を振りながら玄関に迎えに出てきた。

昨年の退院時とは対照的な落ち着きを見せていたので、内心ホッとしたと同時に驚きでもあった。
留守番が長くなってもお父さんは帰ってくる・・・そんな安心感があったのかも知れない。

入院している間、夕食が済んだ後の電話口では、家族と一日の様子を簡単に話し合ったけれど、その都度タローの声が受話器を占領していた。「ああ、お父さんの声だ!」とタローの耳に聞こえていたのかもしれない。

病棟での一日は長いと思うのが普通で、患者によっては三度の食事が待ちきれない人もいる。私は四人患者の大部屋だったが、通路を挟んで向かい側の個室にはUさんという私と同じような個室形成術を受けた患者がいた。

彼は手術を受けた翌日から歩きまわり、大部屋を渡り歩いてちっともじっとしていなかった。
三度の食事時になると腕時計と睨めっこで、食事のチャイムが鳴ると誰よりも早くすっ飛んで行くのが常だった。そして食べ終わるのも早く、さっさと自室に戻って行った。

私はと言えば、彼と趣が違ってチャイムを待ち焦がれることはなかった。
意図的に時間を食いつぶす方法をとったのである。それは「漢字ナンクロ」に挑戦してウンウン唸ってのことだが、熱中するあまり時間を忘れていたからだった。

病院の売店では一通りの品揃えがあり、衣類や化粧品、菓子その他の雑貨がある中で、新聞雑誌は外界の情報を伝えるとともに退屈な時間を繕ってくれた。

私も手術の数日後には、「漢字ナンクロ」で個室のUさんのようにバタバタとしていたのだけれど、体はじっとしていても頭の疲れとなって表れているようで、眠くてしようがない毎日を送っています。

週一度の術後治療を受けながら、順調に回復軌道に乗っています。
眠りから覚めては漢字ナンクロのページをくくり、また眠くなるという、どうしようもない時間に呑まれています。
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