conparu blog

ささやかな身の回りの日常を書き綴ります。
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変容する像

2020-08-29 22:32:44 | 随想

高山であれ近隣の丘陵であれ、尾根伝いの路を歩くのは楽しい。360度の展望ができるとなれば尚更で、自然のもたらす開放感は人間の狭量な心を一気に拡げてくれる。癒し効果は抜群だろう。川筋の遊歩道を歩くだけでも、非日常の創造する領域へと引き込まれ、詩歌芸術を発露する境地に入らせてくれる。単純に心が解放されることで気宇が大きくなるだけなのだが、いかにも高次な世界に分け入った心境になるところがミソだ。

コロナの影響で、単純であるべき美意識が遙かに遠く高く掴みきれない処に霞んでしまったのは残念、と言う気もする。何しろ居宅から用が有るとすれば、家庭菜園に出て行くか、近くのモールショッピング等に買い物に行く程度だから、低次に過ぎる生活レベルの中に在って美意識には程遠い。

コロナ禍がどの時点で終息するのか誰にも分からない。この先どうなるかの見通しも利かないから、後ろを振り向いて過去の足跡を観察するしかない。過去は明瞭に判別できるから個人の生活レベルにおいても、政治的な国家の未来設計についても、過去と現在の延長線上で仮定するしかないのだ。それにしても世の中は随分と変わり果てた。理想を追い求めた大戦後の世界像はガラス器が溶けたように変質して、異様な燻りにも似た臭いを醸している。被さるようにしてコロナが変質を加速させているのだが、その意味するところを理解するには、人間の脳力に脆弱性があって真面に向き合いないのが残念。


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