立春を迎えて日脚も随分と伸びた。未だ冬の気候ではあるけれど、春は隣りあわせにある。コロナ禍最中に喧しい政局であったが、云わずともよい言動で空気を震わせた老害転倒劇などは、生身にしみた年代の時代臭が漂って、ある意味哀れにも思う。
人それぞれに時代の臭気を醸すものだと、われも己の内に鼻を利かせるのだが、自分の時代臭は体臭に潜んで分からない。大雑把に言って戦中戦前派の臭いと、戦後民主化派の臭いの差とでも云うべきか、背負ってきた時代の差で大きく違ってくるのではないだろうか?いや、それ以前に包容力の問題だと云う人もいるだろう。兎に角「自分のことは自分が一番」分かっていないのが事実なのだ。
小さな庭ではあるけれど、わが家の庭の一隅に臘梅が咲き誇っている。香りのよい素心臘梅に鼻を近づけると、淡いふくよかな香りが鼻腔を潤してくれる。普段は気にも留めないでそそくさと通り過ぎてしまうのだが、時として黄色い半透明のいじらしい姿が、心奥に響くことがある。タッチされ通電された脳内は平常に作動して、穏やかである。こういう時は悪いことも起こらない。
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