Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE828. ホスピタリティ

2014年01月06日 | Yokohama city
 横浜で飲みに行くとすれば、真っ先に野毛を思い浮かべる。飲み屋も多いが正月休みの所も多く、なかなか選べる状況でもない。もうやっているところでいいや、という気分で入ったBar。隣は演歌とJAZZの「パパジョン」である。
 野毛も、昔は外国航路の船員達で賑わっていたんだろうなと想像しながら、飲む酒は昔の味がする、と言ったら大げさか。マスターが一人でこつこつとやっている。なかなかええではないか。そんな Barが野毛には多い。
 今の横浜もマドロス風情の空気がなくなってきた。外国航路の船員と言っても、手稼ぎのアフリカ人であったり中国人であったりするわけだ。彼らが街中へ繰り出すことはほとんどない。だから外来文化も最近では、インターネットの世界だ。そうなると最早横浜ではない。
 当時のバンドホテル・シェルガーデンというナイトクラブに行けば、ホテルのボーイの親しみある楽しそうな誘いに乗せられて、ダンスフロアに躍りでて下手なダンスをすれば、ライブの楽団が大いに音楽で盛り上げてフォローしてくれる。そんなバンドホテルも既になくなって久しい。
 今はうんちくと技のある人間だけがスポットをあび、それ以外は壁の花になりなさいと、実に門戸の狭い冷たい社会ばかりだ。それが当然だと思われている。
 だが、実はそうではないのだ、ということを言っておきたい。踊りができないからこそ、ライブの楽団が大いに音楽で盛り上げてくれるときの気恥ずかしさと感激、そんなバンドホテルのホテルマンやバンドマン達のホスピタリティは、今も忘れない。
 言い換えれば現代社会が、そんな私達が体験したようなホスピタリティを忘れているということだろう。今のエンターテイメントは、冷たいよな。あれって東京人の感覚だよな。
 踊れれば楽しいんだろうなと思いながら家路に着く東京エンターテイメントと、踊れないけど楽しかったという横浜エンターテイメントとあなたはどちらがお好きですかと、私は問いたい。ただし後者は今は存在しない。したがってまた作りませんかという企画のヒントになると思うが。

横浜市野毛
OLYMPUS PEN E-P5, M.ZUIKO DG17mmF1.8
ISO1600,露出補正0,f1.8,1/60
コメント
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