Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

EOSな日196. リスボンのトラム

2019年07月30日 | field work

 

 リスボンに来たらトラムについて書かざるを得ないほど、観光客の人気アイテムだ。

 なかでも28系統は、新市街地とアルファマ地区の旧市街地とを結び、最大の特徴は1000m行くのに135m上がるとする135‰の急勾配の連続(かってのJR信越本線碓氷峠は67‰の勾配)、急勾配に加え狭隘に曲がりくねった路地の急カーブを単線になったりガントレットと呼ばれる軌条の形式ですりぬけ、トラムが来たら歩行者は建物の壁に張り付いてやりすごす。おや!、妙に徐行している、さてはレンズの先端が飛び出していたかと、こちらはあわてて引っ込める。軌道の幅900mmという変則的な数値、私の目の高さを通り抜ける乗客の顔、それに2軸台車で粘着運転の世界記録を持っている。よほどモーターとブレーキのパワーがあるのだろう。1900年初頭から馬車に変わって走るという歴史性も加え、鉄ちゃんでなくても格好の被写体だ。

 しかもその狭隘な路地に車が正面からやってくる。するとトラムは一時停止し、車が横の民家の鼻先にある僅かなスペースにいれるまでジッと待っている。そんな光景が日常的なのだろう。

 さて撮影の絶景ポイントは古い民家が残る路地なのだが、そんなものはみんなが撮っているので他の場所を探していたら、ようやくグラサの停留所からテージョ川を背景にとれるポイントがあった。しばらくこの歩道の隅に居座り、車や多数のジムニーが行き交う雑踏の中で、ようやくトラムを捉えた。

 夕飯は、ロシオ広場にあるY女史お薦めの店でサルディーニャ・アサーダス、つまり鰯の塩焼きを食べる段取りになっていた。

 ホテルでS君とK君を待っていると、S君から私の携帯に電話だ。

 ノイズが多い「実はロシオ広場に、もうロシオ広場にいるので10分で来てください、K君きた×※▼×■※■※」とバシリときれてしまった。つまり私だけが置いてきぼりか、ほなロシオ広場に行くべぇーとでかけた。ロシオ広場でS君をみつけ、「あらK君と一緒じゃないの!?」。あら!、先に来ていると思って急いで来たけど、ほな連絡の付かないK君にメールでも入れて食べに行くべぇと思っていたら、なんとK君がやってくるではないか。さっすがアーティストの感性は恐ろしいものがある。あとで考えると「K君が来た」というのは、すでに来た、ではなく、きた?、という質問だったのだ。ノイズのおかげで聞きそびれた。

 そんなリスボンの最初から珍道中の様相を呈し始めていた。得てして大学の先生達と出かけても珍道中だった経験は、これまでに数多い。そのおかげで意外な発見もあったりした。それが大学人達のフィールドワークの姿だった。そんなわけで我々は鰯の塩焼きにありつくことができ、やはり一番旨い食べ方だった。

 夜のディナーあと、28系統で帰ろうというのでみんなで乗ってみた。ディズニーのアトラクションさながらに、運転席の窓から夜のリスボンの灯火が真横に流れてゆく・・・。

 

リスボン市アルファマ地区

EOS1Dsmark3,EF28-300mm/F3.5-5.6

ISO800,焦点距離200mm,露出補正-0.67,f/5.6,1/8000

ISO800,焦点距離28mm,露出補正0,f/4,1/8000

ISO800,焦点距離60mm,露出補正-0.67,f/4.5,1/3200

ISO800,焦点距離28mm,露出補正-0.67,f/4,1/8000

ISO800,焦点距離150mm,露出補正-0.33,f/5.6,1/2500 

ISO800,焦点距離28mm,露出補正-0.33,f/4,1/8000

ISO800,焦点距離200mm,露出補正0,f/5.6,1/4000

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする