Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

エッセイ824.天井高

2025年01月27日 | field work

 フィリピンのNIKKAが甥っ子の誕生日に出かけた時の画像を送ってきた。多分ピットピタンから少し東のマロロスへいったところだろう。なんと建設中の家にカラオケセットと料理を持ち込んでの宴会だった。それにしてもぎょうさん親戚筋がいる事。私の記憶でも顔見知りは数人以下だ。
 NIKKAの家の設計が終わったところだが、私のデザインだと天井高が低い。そう思って人が集まるリビングは大きな吹き抜けにしておいたのは正解だった。
 それにしても何!、こんなに天井高が高いのか。どうも空間感覚が国によって違うということは気がついていた。
 京都で新築の住宅というと、それは私の家の町屋よりも天井が高いのである。敷地が狭く天井が高いから、室内の空間が縦長になる。それは室内の狭さが際立って落ち着かない空間になるのだが、最近の日本人はそんなことに神経を払う人はいないようだ。そんな雑な感覚で、いまも市内に新築住宅が増えている。
 建築空間のプロポーションにも、構造力学同様に縦横比がある。私は天井高を低く抑えるデザインが好みだが、どうも市井の人間達からは嫌われるデザインになる。狭くても天井は高くしたいというのは、現代人の切望なのだろう。
 箱根プリンスホテル玄関の図面を見たことがある。その入口部分の天井高は2.1mである。低く構えて室内に行くと高い天井とする村野藤吾のデザインの方が変化があってよいと思うけどな。
 そんなことをいうと「そんな田舎者のデザインなんかはやらないよ」などと言いかねない。ええっ、あの村野藤吾が田舎者ですかぁー?、すごいことを平然と言い切る現代人の教養のなさにはぶったまげた!。インターネットが普及してから、教養のない日本人が増えた。


撮影:NIKKA PAGTALUNAN
コメント
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