Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

カンブルラン/読響

2014年01月15日 | 音楽
 カンブルラン指揮の読響。1曲目はジョヴァンニ・ガブリエリの「カンツォーナ」。これはガブリエリの代表作の一つ「サクラ・シンフォニア」からカンブルランが何曲か選んで‘編曲’したもの。事前に‘編曲’とは意識していなかったので、戸惑った。

 カンブルランの編曲は、一言でいうと、室内オーケストラ版。第1群(木管)、第2群(金管)、第3群(弦)に分かれているので、各声部の動きがわかりやすい。面白かったのは楽器の配置だ。木管(2Ob、1E.Hr、3Fg)と金管(3Tp、3Tb)はパートごとにまとまらずに、交互に並んでいた。そのせいかどうか、まろやかにブレンドされた音色の、みやびな演奏になっていた。

 2曲目はベリオの「フォルマツィオーニ」(1987)。これも変わった楽器配置だった。指揮者の右側に木管楽器。なので、普通コンサートマスターがいる場所にはフルート奏者がいる。その他、通常の楽器配置を一旦解体して、再構築を試みたというか、――わたしの実感からいえば――ひび割れた状態で配置したかのようだ。参考までに、読響のHPに配置図が載っているので貼付する(↑)。

 このような楽器配置でどのような音楽が生まれるかというと、――この曲では絶えずさまざまな音が動いているのだが――それらの音があっちに行ったり、こっちに来たり、また思いがけないところで渦を巻いたり、という運動感があった。

 それにしてもベリオは、その翌年(1988)には「エコーイング・カーヴ」を書いて、やはり特殊な楽器配置をとった(2012年に都響が演奏したときには、びっくりした)。この時期のベリオは特殊な楽器配置を試みていたのだろうか。それとも、ベリオにかぎらず、そういう時代風潮があったのだろうか。

 演奏は、肩の力を抜いた柔軟なアンサンブルが、見事というレベルを通りこして、ほれぼれするほどだった。

 3曲目はベルリオーズの「イタリアのハロルド」。ヴィオラ独奏はソロ・ヴィオラ奏者の鈴木康治。これも名演だった。ヴィオラの豊かな音、オーケストラの奔放な動き、ともに今後忘れそうもない。

 第4楽章(最終楽章)の終結部でちょっとした仕掛けがあった。今まで気が付かなかったが、一瞬、弦楽四重奏になる箇所があり、2VnとVcはパイプオルガンの前で、VlaはPブロックの最前列で演奏した。この箇所を印象付ける見事な演出だった。
(2014.1.14.サントリーホール)
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