Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「そして、私たちは愛に帰る」

2009年01月17日 | 映画
2007年カンヌ国際映画祭にて最優秀脚本賞と全キリスト協会賞を授賞したドイツ・トルコ合作のヒューマンドラマ。
邦題が素晴らしい(原題はThe Edge Of Heaven)。
”そばにいても心をつなぎあえない、一番近い他人
ドイツ、トルコー2千キロに渡って、3組の親子の運命が絡み合う”
こんなキャッチ・コピーを観てしまったら、やはり観ずにはいられません。
上映最終日の昨日、銀座シネスィッチにて鑑賞。

ハンブルグで余生を娼婦と暮らす、トルコ移民の父アリと大学講師の息子ネジャット、
アリに買われた娼婦のイエテルと、その娘、反政府活動家のオクテン、
そのオクテンを愛してしまったドイツ人女子大生ロッテと、その厳格な母スザンヌ。
その3組が、時間軸、場所とともに複雑に交差しながら、悲劇に見舞われていく…

しかも彼らは、その繋がりを知らない。
例えばネジャットは、オクテンを探す為ドイツでの職を投げ打ってまでトルコに行くのですが
同じくオクテンを助ける為にトルコに来たロッテに、それと知らないまま部屋を貸したりする。
それを知っている画面のこちら側の我々は、なんとももどかしい思いに捉われるのですが
なんと映画はそのままに収束してしまうのです。
幾重にも周到に貼り巡らされた伏線が、ひとつも実を結ぶことなく話が終わってしまった時の
失望感ときたら!

しかし、結局、人間を結びつけるものは
国家も宗教も文化も超えた親子の愛情、あるいは人間の友情であり、
その絆は、あらゆる複雑な事情も乗り越えるということなのか。
このファティ・アキン監督という人は、ドイツ育ちのトルコ移民2世であるのだそうです。
ハンブルグやイスタンブールの街並み、雑踏が、悲しげなトルコ音楽にのって
美しく映し出されます。

昔「ミッドナイト・エクスプレス」の中で観た、悪評高いトルコの陰惨な刑務所が
今回の映画では、妙に明るく自由な雰囲気になっていて驚きました。
受刑者達は色とりどりの私服を着て、煙草を咥えながらカードをしていたりする。
それでも、我々の眼から見たら一体何をしたというの?というほどの軽微な罪のオクテンが
そのままだったら15~20年の刑期であるということから
しかも、それがお金と外国人の助けによってあっさりと釈放されるということから
トルコの閉鎖社会の根深さが思いやられるのです…

公式サイト
コメント (4)
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