Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

終末と一縷の希望「ザ・ロード」

2010年07月08日 | 映画
いやもう暗い映画です。
核戦争か天地異変のせいか、原因ははっきり明かされないが廃墟となった地球。
暗い空、灰色の山並み、倒れる木々、止まらない地震、
生き物は死に絶え、生き残った僅かな人々は「人食い人種」と化している。
飢えと寒さと恐怖に耐えながら、ひたすら南を目指して歩き続ける父子。

世界が滅んだ後に生まれた息子は
日々ただ父と食べ物を探し、人食い人種から逃げながら歩く。
母親にも見捨てられ、太陽も動物も知らず、友達もいない。
暖かいお風呂も、コーラも、クリスマスツリーも知らない。
ただ父と寄り添い、お互いを励まし合いながら歩いていく。

たった2発の銃弾入りの拳銃が、彼らの守り神。
「もし奴らに捕まったら、こうして口の中に入れ、上に向けて引き金を引くんだよ。」
何故なら捕まったら最後、徹底的に犯されて食べられるのだから。
こんなことを子どもに教えなければならない父親の思いはいかばかりか。
主人公である父と子には、しかし名前すらない。
なんとなれば、彼らは象徴であるのだから。
絶望的な世界の中で、父子は、希望であり、愛情であり、
「この世の火」であるのです。
息子は父親にとってこの世に残された唯一の心の火であり、
息子にとっての父親もそうなのです。
しかし、どちらかが亡くなってしまったら…?

厳しい現実の中でその危険性は常につきまとう。
飢えと寒さから父親の身体はどんどん蝕まれ、痩せ衰え、
血を吐くようになり、致命的な傷すら負ってしまう。
緊迫度は嫌がおうにも増して行きます。

そして残酷な結末がやって来ます。
しかし、一縷の希望が仄見えるようでもある。
エンドロールにかぶって
犬の鳴き声と子供たちの声、そして鳥のさえずりがかすかに聞こえるのです。
あれは幻想なのか現実なのか…?

原作は、アメリカの作家コーマック・マッカーシーが2006年に発表した「The Road」。
ピューリッツァー賞受賞。
読みたい、でも怖い…

公式HP
コメント (2)
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