面白かった!
イギリス映画、これだから侮れない。
主人公エリックは、何をやっても上手くいかない駄目人間。
最初の妻リリーに逃げられ、後妻にも逃げられ、
後妻の連れ子らしいティーン・エイジャーの息子二人
(何故か一人は黒人)と狭いフラットハウスで暮らしているが
息子たちは働きもせず、学校にも行かず、ゲームをしたりポルノを見たりする毎日。
その息子たちにもバカにされ、相手にして貰えない。
せめて郵便局の仕事は真面目にやるかといえば
部屋に大量の未配達郵便物を溜め込んでいる。
「マンチェスター・ユナイテッド20世紀最高プレーヤー」といわれるエリック・カントナの
ポスターの前で、息子の部屋から失敬した葉っぱを吸ってぼやいていると
そこに本物のカントナが現れ、エリックをあれこれと指南し始める…
藤村俊二を更にしょぼくしたようなエリック役スティーブ・エベッツと
つながったような太い眉、胸厚マッチョのカントナ(選手本人!)との
凹凸コンビが面白い。
自堕落な生活をしていた息子たちが遂に犯罪に巻き込まれ、
エリックは人生最大のピンチを迎えるが、
カントナの助言は「仲間を信じろ!」。
そう、何も持っていないと思っていたエリックには
やはりサッカー狂の郵便配達仲間がいたのだった!
丸ハゲだったりデブだったりオタクだったり、、まるで風采は上がらない、
何かといってはパブに集まってビールを酌み交わす仲間たち。
彼らの力を借りて一世一代の大芝居に打って出ることに…
「ミートボール」という渾名のリーダー格の男は
ユーチューブをブルーチューブと言い間違えるほどのネット音痴なのだが
ギャングを相手に
「どこに逃げようと、俺たちは必ず探し出す。
なぜなら俺たちは郵便配達夫だからだ!」
と啖呵を切ります。
オオー!という仲間たちの歓声。
イギリスの労働者階級の生活の一端が窺い知れて面白い。
狭いフラットハウス、狭いキッチン(テーブルにいたってはこんな小さくて
どうやって家族で食事するのだ?と思うほど)、
パブでの男たちの”親睦会”の様子(イギリスで嫌というほど見てきた)。
エンドロールでのカントナの記者会見の意味がよく分からなかったのですが
あとで調べたらあれはマスコミに対して
イワシとゴミの区別もつかずに群がるカモメだと皮肉った
有名なシーンだったのですね。
"When the seagulls follow the trawler,
it's because they think sardines will be thrown into the sea."
http://blogs.yahoo.co.jp/tenzinkuoshi/58484923.html
上のカントナの台詞のリンク、よく観たら
「最も支離滅裂な英語」のトップ10なのですと。
その8位に入っています。
☆4
「エリックを探して」http://www.kingeric.jp