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Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

不器用な男の友情「セント・オブ・ウーマン」

2012年03月01日 | 映画

昨夜BSで20年ぶりに観ました。
1992年、アル・パチーノのアカデミー主演男優賞受賞作。
大好きな作品のひとつです。

ボストンの全寮制名門高校の、広大な芝生と石造りの校舎が建ち並ぶキャンパス・シーン
から画面は始まります。
奨学金で入学した苦学生チャーリーは、級友たちが校長の高級車に悪質な悪戯を
しているところを目撃してしまう。
激怒した校長は、犯人の名を言うならハーバード大への推薦、
言わないなら退学という二者択一を迫る。
チャーリーは悩みながら感謝祭の週末を、盲目の退役軍人の世話というバイトで過ごす。
退役軍人フランク・スレード大佐(アル・パチーノ)は、気難しく傲慢な男で
暗闇しか見えない自分の人生に絶望している。
チャーリーをニューヨークへと連れ出し、ウォルドルフ・アストリアのスィートに泊り、
一流レストランで飲み食いし、最高の女を買い、フェラーリを乗り回し、
そして彼は拳銃で自分の頭を打ち抜く計画だった。
何も知らないチャーリーは振り回されて面食らいながらも
頑固老人の意外な素顔も知り、段々彼に惹かれていくのだが…



20年前に観た時も、そして今回も不思議に思ったことがあります。
(内情はともかく)表向きはフェアということを非常に大事にするアメリカ人。
こんなアンフェアな取引を、一流校の校長が生徒に持ちかけるという設定があって
いいのだろうか?と。
友人を密告すれば一流校への推薦、拒否すれば退学だなんて。
しかも、その悪戯をした友人たちというのは金持ちの息子で
チャーリーがバイトに励む間にも、スイスでスキーを楽しんだりしている。
それほど親しくもない、そんな友人の為に、自分が犠牲になって学校を辞めるのか?
しかし級友を裏切ることはできない。
全校生徒の前で懲罰委員会にかけられたチャーリー。
フランクは圧倒的な迫力のスピーチで校長の理不尽さを責め、
チャーリーの高潔さを褒め称えるのです。
そのスピーチが懲罰委員会の、そして全校生徒の心を動かし、
拍手喝采を浴びるというところは何ともアメリカ的なのですが…
映画なのだといえばそれまでなのですが。



盲目の退役軍人を演じるアル・パチーノの演技がお見事。
眼球がまったく動かないのです。
しかもNYでフェラーリを乗り回して警官に尋問されるシーンでは
盲人が見えるふりをするところを演じるという複雑さ。
有名な、タンゴを踊るシーンの美しさにはうっとりするばかりです。
生きる希望をなくした頑固老人と、純粋で真面目な高校生との友情。
下品なスラングと毒舌に満ちたフランクは、チャーリーとのふれ合いによって
人間の高潔さと優しさとを我々に見せてくれるのでした。

コメント (6)
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