Zooey's Diary

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つつましい女性のしたたかさ「幸せパズル」

2012年04月17日 | 映画


2010年アルゼンチン映画。
ブエノスアイレスに住む主婦マリアが、パーティの用意をするシーンで話は始まります。
食事を作り、ケーキを焼き、親戚や家族をせっせともてなす。
それがマリア自身の50歳の誕生日パーティだというのだから驚いてしまう。
彼女がいかに有能な主婦で、甲斐甲斐しく尽くしてきたということがよく分かります。



このマリアという女性、顔立ちは美しいのですが
髪型といい、着ている服といい、非常に地味な雰囲気なのです。
日本の女優で言うと、山岡久乃(古ッ!)みたい。
情熱のタンゴの国アルゼンチンにおける、この地味なヒロインにまず驚かされます。
まあそりゃ、日本にだって叶姉妹みたいな人もいる訳なのですが。



マリアは夫から愛され、息子たちも立派に成長し、幸せな日々を送っているのですが
どこか物足りない、という気持ちも持っている。
そんな彼女がジグソーパズルに出逢い、自分の才能に気付き、どんどん嵌っていく。
そして同好の士と出会い、二人でジグソーパズル大会を目指すことになる。
この相手が人品卑しからぬ紳士で、しかも独身の富豪なのです。
マリアの気持ちを尊重し、敬意を払って優しく接してくれる。
世間知らずのマリアは最初警戒しながら、次第に心を許し、ほのかな恋心を持つようになる。

マリアの気持ち、物足りない感、閉塞感というようなものは、
同じ年頃、同じような境遇の私には、痛いほどによくわかります。
ただ、この監督の描き方というのは、あくまで控え目なのです。
突然世界が輝きだす訳でも、ファンファーレが鳴り響く訳でもない。
淡々と日常をこなし、せいぜいシャワーで身体のすみずみまで洗ったり、
着る服が僅かにお洒落になるくらいか(それでも地味なんですね、この人は)。
そして二人は国内大会で優勝し、ドイツでの国際大会への切符を勝ち取るのです。
その優勝した日、ついに二人は身体を重ねるのですが…

その後マリアが取った行動は
物足りないようでもあり、肩すかしを食らったようでもあり。
それは控え目で賢明な選択であるともいえますが
あるいはマリアのずるさ、したたかさを表しているのかもしれない。
結局マリアの自分探しの旅に、富豪紳士も利用されただけなのかもと思います。
マリアの人生というジグソーパズルを完成させる為の、その一片に過ぎなかったのかと。

派手な映画ではなく、むしろ地味すぎるくらいの作品です。
しかし、地球の裏側にも自分と同じような気持ちを抱えた女性がいて
笑ったり悩んだり泣いたりしているのだなあと思うのは、中々楽しいものです。

 
「幸せパズル」 http://www.shiawase-puzzle.com/


コメント (6)
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