Zooey's Diary

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「グレート・インディアン・キッチン」

2022年10月08日 | 映画

冒頭で、若い女性が華やかなサリーを着て、軽やかに楽し気に踊っています。
次の画面では、彼女はお見合いの席にいて、求められるままに結婚する。
教師である夫は南インド地方の由緒ある家柄で、伝統的な邸宅に両親と暮らしている。
中東育ちで教育もあり、モダンな生活様式を送っていた妻は、義母に導かれて家事にいそしむ。
料理の下ごしらえから片付け、洗濯、掃除と、一日中家事に明け暮れる。
しかも義父と夫はかなり高圧的で、ミキサーではなく手で挽け、炊飯器ではなく窯で炊け、衣服が傷むから洗濯機ではなく手で洗えとうるさい。
そうした毎日が、ドキュメンタリー映像のように淡々と映し出される。



手間暇かけて作った料理も、食べるのは義父と夫が先で、女たちが同じ食卓に着くのは許されない。
夫に妻が意見を言うと、夫はたちまち機嫌を悪くする。
ダンスが趣味であった妻は、ダンス講師に応募したいと言うが、許されない。
どんなに疲れていても、夫の快楽の為だけの夫婦生活を拒むこともできない。
痛いからもう少し前戯をとおずおずと申し入れると、そんな言葉をよく知っているなと返される。
極めつけは、生理の期間中の妻は不浄のものとして、納屋のような所に押し込められる。



インドのミソジミー(女性蔑視)については、様々な映画や本で接してきました。
例えば2018年の映画「パッドマン」は、生理ナプキンの普及率が僅か12%だったインドで安価なナプキンを作る製造機を発明し、米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた、実在の男性を描いたものでした。
インドでは生理が不浄なものとされていたので、それに関わる製品の生産も遅れていたのです。
「パッドマン」が2000年初めの話と知って驚きましたが、今回の話はまさに今のこと、妻はスマホやノートPCを日常的に使っているのです。
それなのに…

耐えに耐えていた妻が最後に選んだ道は、だから当然とも言えるでしょう。
名もない妻と夫のこの作品、インド本国でも女性観客の支持を得て、口コミで評判が広がったのだそうです。
インドに根強く残るという家父長制やミソジミーには、驚くばかりです。

公式HP 

コメント (2)
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