タクシー運転手のシャルル(ダニー・ブーン)は金も休みもなく免停寸前で、人生最大の危機を迎えていた。そんな彼がある日乗せたのは、家をたたんでパリの反対側の老人施設に向かうという、92歳のマドレーヌ(リーヌ・ルノー)。不愛想なシャルルに彼女は、パリ市街の中で次々に寄り道を依頼する。嫌々応じるシャルルだったが、寄る箇所ごとにマドレーヌの凄惨な過去が、彼女の口から語られていく。

ナチスに父親を殺され、パリ解放に来たアメリカ軍人と恋に落ちて身籠るが捨てられ、一人息子を育てながら結婚した相手はDV男だった。
幼い息子にまで暴力を振るわれるようになり、そうした理由で離婚もままならなかった1950年代当時、追い詰められたマドレーヌがしたことは…

生活に追われてささくれ立っていたシャルルの心が、悲惨な過去を乗り越えて来た明るいマドレーヌと接することで次第にほぐされてゆき、最後に彼女をレストランに誘う。
その後の展開は、まあ途中から予想出来ましたが、それでもじんわりと涙を誘います。
エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、ノートルダム寺院、凱旋門、チュイルリー公園など、視聴者の我々もパリの街並みを楽しむことができます。
パリという街は、ほんの10日間ほどの旅行でも私は財布を掏られたり、微妙な差別にあったりと 色々とありましたが、観る分には本当に綺麗なのです。

特に学歴も資格もないマドレーヌが13年間の投獄を経て出所した後、何故あのような資産を築けたのか謎ではあります。
金持ちの男と再婚したのか、或いはベトナム戦争に行った息子が保険金でもかけていたのか?
その辺りが語られなかったことが残念。
観終わってから調べて驚いたことは、マドレーヌを演じたリーヌ・ルノーが94歳であること。
あんなに美しく聡明そうな94歳、ひたすら脱帽です。
「パリタクシー」という邦題はあまりに芸がないと思いましたが、英題は「Driving Madeleine」、そして原題は「Une belle course」で「ある美しき旅路」というような意味らしいです。
公式HP
「パリタクシー」という邦題はあまりに芸がないと思いましたが、英題は「Driving Madeleine」、そして原題は「Une belle course」で「ある美しき旅路」というような意味らしいです。
公式HP