Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

あっとビックリ「私のお父さん」

2019年04月15日 | 劇、オペラ、コンサート


新国立劇場に芸術監督として着任された大野和士氏が掲げる方針のひとつが
「レパートリーの拡充」なのだそうです。
その第一歩としての今回の企画が、フィレンツェを舞台にした作品によるダブルビル。
プログラムによると
”耽美的で絢爛豪華な音響世界が現出するツェムリンスキー作曲「フィレンツェの悲劇」と
シニカルな笑いに満ちた喜劇「ジャンニ・スキッキ」”という組み合わせ。
オペラは通常3~4時間(休憩時間含む)、ワーグナー作品に至っては6時間という
長丁場が多いのに、今回は1時間強の作品を2本と短いのも嬉しい。

「フィレンツエの悲劇」は、私には馴染みのない楽曲もそのストーリーも
まったく面白味を感じられなかったので、感想はスルー。
プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」、これは楽しみにしていました。


「フィレンツェの悲劇」

この作品の中で歌われるアリア「私のお父さん」は
誰もが聴いたことがある曲なのではないかと思います。
この曲は映画や舞台でも数多く使われ、ざっと思い出せるだけでも
イギリス映画「眺めのいい部屋」アメリカ映画「僕の美しい人だから」、
そして近年観た歌舞伎「桜の森の満開の下」に使われていました。
野田秀樹と坂口安吾がコラボした新作歌舞伎の終幕、桜の花が降りしきる中を
夜長姫が息絶える所で、この曲が流れるのです。
なんとも切なく美しく、悲しい曲。

で、その曲が歌われるオペラとはどんなものだろう?と興味津々だったのですが
「ジャンニ・スキッキ」はなんとドタバタ喜劇でありました。
大富豪のブォーゾが亡くなり、親族が集まって、修道院に全額寄付するという
彼の遺言に大ショック、どうしたらよいのかと右往左往。
ブォーゾの甥が、機転の利く男ジャンニ・スキッキに相談して何とかなったら
スキッキの娘ラウレッタとの結婚を許してくれと懇願します。
そのラウレッタが歌うのが「私のお父さん」なのです。



”ああ愛するお父さん
 私は彼を愛してます、とても素敵な人なの
 だからポルタ・ロッサへ行って指輪を買いたいの!
 私の恋が叶わないのなら、ポンテ・ヴェッキオに行って
 アルノ川に身を投げちゃうわ!”

な、なんと、こんな軽い歌詞だったの!?
あの切なく美しい曲が?
恋に浮かれ、父親に駄々をこねる娘。
そして、世間ではヤリ手の商売人であるジャンニ・スキッキも、
困ったものだと思いながらも、娘は可愛くて仕方ないというところか。

ちなみにジャンニ・スキッキは、才知を働かせて遺言を書き変え、
親類たちに手際よくブォーゾの遺産を分配しますが
「ラバ・屋敷・製粉所」という一番美味しい遺産を、ちゃっかり自分のものにしてしまうのでありました。
タイトルロールはカルロス・アルバレス。

新国立劇場 https://www.nntt.jac.go.jp/opera/giannischicchi/


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ビリーブ 未来への大逆転」 | トップ | 「希望の灯り」 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tona)
2019-04-15 20:36:46
久しぶりに大好きなこの曲を聴きました。
内容はそうだったのですか。
ところで舞台装置ですが、お金もかけないのがはやり始めたそうですが(この頃全然縁がなくなって行っておりませんが最後に聞きに行った時がそうでした)、当時の服装と室内風景でないという・・・それでしたか?
返信する
tonaさま (zooey)
2019-04-15 22:33:21
この曲は何度聴いてもすばらしいのですけれどね。
内容には驚きました~!
舞台装置は、演目によると思います。
以前観た「ナブッコ」などは、バビロン捕囚の時代の話であるのに
舞台はなんと近代的なショッピングモールでした。
でも今回は、そこまで酷くありませんでしたよ。
返信する

コメントを投稿