船舶の売買で財を成し、英国の海港都市グラスゴーで「海運王」と呼ばれたウィリアム・バレル。
彼は古今東西におよぶ様々なジャンルの芸術作品を集め、
1944年、数千点にものぼるそのコレクションをグラスゴー市に寄贈したのだそうです。
その際の条件が二つ。
一つは、当時深刻だった大気汚染の影響が少ない郊外に作品を展示すること。
もう一つは、英国外には貸し出さないこと。
ところが今回、本国の美術館が改修工事で閉館しているため、
初めて海外への貸し出しが可能になったのだそうです。
エドガー・ドガの「リハーサル」をはじめ、出品作80点のうち76点が日本初公開なのですと。
私が惹かれたのは、まずエドゥアール・マネの「シャンパングラスのバラ」。
クリーム色と薄紫の大輪の薔薇、透き通ったシャンパングラスが
薄暗い美術館の光線の加減か、キラキラと輝いて見えました。
上のポスターに入っているドガの「リハーサル」。
明るく広い稽古場、白いチュチュや黄色やピンクのリボンを身に着け、
髪を結いあげて軽やかにアラベスクのポーズを取る踊り子たち。
バレエ公演を観る時の、ときめきや興奮やざわめきが伝わってくるようです。
(この絵は撮影可でした)
ウジェーヌ・ブーダンの「ドーヴィル、波止場」。
爽やかな青い空、穏やかな海に凛々しく白い帆を立てた帆船。
思ったよりも小さな絵でしたが、「海運王」と呼ばれたバレルの夢と誇りが
その白い帆いっぱいに詰められているような。
それにしても「印象派への旅ー海運王の夢」というタイトル、
上手くつけたものだと思います。
絵に疎い私ですら、一緒に旅してみたくなるような、その夢をちょっと
覗いてみたくなるような、そんな気分にさせるからです。
他にもそういうことが多いようです。
日本って都会に人口集中でいつもこの頃大混雑、待ち時間が長くなるのが増えました。喜ばしいことですが、私たちには辛くなってきました。
こうして紹介していただくと、その感想がまた絵を身近にしてくれてありがたいです。
ブーダン美術館に行きましたが、海岸の素敵な絵が多かったです。
日本に貸し出し中ということありますよね。
なんだかんだ言っても、日本は財力があるのでしょうか。
日本に居ながらにして海外の名作を観られるのは嬉しいが
確かに殺人的に混むことが多い。
ブーダン美術館、オンフルールまでいらしたのですね。