Zooey's Diary

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「オッペンハイマー」

2024年04月06日 | 映画

この映画の感想を書くのは難しい。
枝葉を切り捨て、大まかな印象だけを備忘録として。
原子爆弾を開発したアメリカの理論物理学者、ロバート・オッペンハイマーの半生を描いた伝記映画。
原作本のタイトル「American Prometheus」は、ギリシャ神話においてゼウスから火を盗んで人間に与えたプロメテウスを表しているらしい。
今年度のアカデミー賞において、作品賞含む7部門受賞。
『インターステラー』や『ダンケルク』のクリストファー・ノーラン監督。

量子力学や物理学や政治の専門用語が飛び交うし、登場人物がやたら多い。
カラー画面のオッペンハイマーの視点の世界と、モノクロ画面の宿敵の政治家ストローズ視点の世界に分けて描かれ、時系列も行ったり来たりで非常に分かりにくい。
そして音響が凄い。
ロスアラモスの広大な大地での原爆実験の直前には、耳を塞ぎたくなるような大音量の不協和音が響き渡り、そして実験が成功した瞬間、無音となる。
音の使い方が何と上手いのか。

オッペンハイマーという男の人生を描いた映画であるということは分かっていても、あの実験成功を祝う場面はどうにも辛い。
会場に集う全員が足を踏み鳴らし、割れるような歓声を上げて、ロックのミリオンスターを迎えるように彼を迎え入れるのです。
その原爆雲の下の悲惨な犠牲者たちへの思いは、何処にもひとかけらもない。
戦勝国、加害者側の原爆開発物語であることには間違いありません。
その後のオッペンハイマーの後悔と苦悩が描かれているとしても、被爆国の人間として、観て快いものではありません。
そしてまたオッペンハイマーという男は、人間としてもかなり問題のある、嫌なヤツとしか私には見えなかったのです。


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6 コメント

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Unknown (ituka)
2024-04-07 12:40:58
世界でたった一つの被爆国として日本への配慮がされ公開に関しいろいろあったようですね。
同じ天才科学者としてアインシュタインらとの違いは戦争が絡んでいたから生涯懺悔の気持ちで生きて行ったんでしょう。
政府に利用されるとろくなことはありません。
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Unknown (matsubara)
2024-04-07 21:21:38
オッペンハイマーが原爆を作り、向こうは政治利用していますが、
日本の仁科博士も原爆を作り、しかし昭和天皇が
国際条約に違反するので使用を使用を禁止したために
名前は残らなかったのです。
多分映画ではこのことは言わなかったはずです。

西欧の人のぞっとする人間性を感じます。
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itsukaさま (zooey)
2024-04-07 22:20:31
被爆国日本への配慮は当然でしょうね?
私は専門用語や公聴会の内容など、
詳細をちゃんと理解する努力を途中で放棄しましたw
そのおかげで、こんなザックリした感想となりました。
好きな内容だったら、必死に食らいついたでしょうけれど…
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matsubaraさま (zooey)
2024-04-07 22:22:17
日本の仁科博士、そのことはしかし世に知られていませんね?
この映画を観てつくづく、
原爆を作ったのもこの映画を作ったのもアカデミー賞を作ったのもアメリカなのだと思いました。
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こんにちは (ここなつ)
2024-04-11 16:57:50
こんにちは。

おっしゃるように、感想を書くのがとても難しい作品でした。
やっぱり被爆国の人間ですから…
ただ、映画としてフラットに見ると、構成は上手だし役者さんたちは全員とても良かったし、なので、高い評価となるのも頷けます。
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ここなつさま (zooey)
2024-04-11 22:03:44
難しかったですよねえ。
一度観たくらいでは、とてもちゃんと理解できない。
さりとて私は二度も観たくない。
映画としてはよくできていると思いますが
オッペンハイマー、性格も問題がある人として描かれていましたね。
まだごく最近の人で子や孫も健在だろうにと心配してしまうほどです。
天才とはそんなものなのかもしれませんが。
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