
ナチスドイツに略奪されたエゴン・シーレの絵画「ひまわり」を巡って美術オークションの世界で繰り広げられる駆け引きの行方を、実話にインスパイアされて描いた映画。
パリのオークションハウスで働く競売人アンドレは、エゴン・シーレ作と思われる絵画の鑑定を依頼され、元妻で相棒のベルティナとともに地方都市の工場労働者マルタンの家を訪れる。本物であることを確信してオークションにかけようとするが、その絵を巡って様々な欲と陰謀と駆け引きが渦巻いて行く。

登場人物がみんな一癖あって、やたら感じ悪いのです。
アンドレは絵に関しては確かな審美眼を持っているようですが、成金男で上から目線。
そのアシスタント、オロールに至っては、息をするように嘘をつく。
アンドレとオロールの職場での会話は、神経の細かい人だったら心を病みそうなとげとげしいものです。
そのオロールの今の父親、実の父親が出てくるのですが、嘘をついたり陥れたりするばかりで、どういう関係なのか結局の所ハッキリとは明かされない。
あの癖のある人物像は、欲のない労働者階級の青年マルタンの清廉さを引き立てているのかとも思いますが。

その絵は実はナチスによる強奪品であり、しかもナチスはそれを退廃芸術として価値のないものとしていた。
それを労働者階級の家族が所持していた経緯とか、癖のある登場人物たちが棘のある会話を繰り返すところとか、そのくせ最後は愛し合う関係になるところとか、実にフランス映画らしいとも言えます。
感動する類の作品ではありませんが、オークションの裏側の嘘だらけの駆け引きなど面白く視聴しました。
原題は『Le tableau volé』で「盗まれた絵画」、英題『Auction』。
公式HP
エゴンシーレも癖のある絵ですものね。
そのあたりがマッチしているのでしょうか。
そのエゴン・シーレの「ひまわり」です。
枯れたホオズキのように見えるのですけどね。