市民活動家を警察謀略痴漢冤罪でっち上げ逮捕か
「杉並からの情報発信です」主催者の山崎康彦氏が、6月19日に興味深い事実を紹介くださった。記事タイトルは、
「公安警察5名の謀略部隊が電車内で「痴漢事件」をでっち上げて市民活動家を逮捕!」
というものだ。
詳しくは「杉並からの情報発信です」
をご高覧賜りたいが、以下、記事の概要を転載させていただく。
「ネットメデイアの監視と弾圧を目的とする「コンピュータ監視法」が6月17日の参議院本会議で民主、自民、公明の賛成多数で可決・成立しました。
この間この治安立法を阻止するため精力的に活動していた一人の市民活動家が6月15日の深夜帰宅途中の電車内で「東京都迷惑防止条例違反」容疑で逮捕されました。
市民活動家のY氏は男3名、女2名の公安警察・謀略部隊に電車内で「痴漢事件」をでっちあげられ逮捕されたのです。
しかし彼らの謀略工作が余りにもずさんだったため、東京地裁の裁判官は検察官が出した10日間の検察拘留請求を却下し釈放を決定しました。
検察官は「抗告」もできなかったのです。
Y氏は昨夜9時半3泊4日の警察拘留だけで無事釈放されました。
ご本人は「植草さんの事件もあり車内では吊革を両手で掴むなど十分注意していたのだが不覚にも嵌められてしまった」と反省していましたがいたって元気です。」
▼ 昨夜Y氏に直接聞いた「事件」の経緯
1)自営業で市民活動家のY氏は6月15日午後6時から渋谷で開催された緊急座談会「コンピュータ監視法の実態と危険性を暴く」に参加しその後の打ち上げ会で酒を飲み少し酩酊状態で午後11時頃井の頭線
渋谷駅
から明大前駅
で京王線に乗り換え帰宅しようとした。2)Y氏は京王線
千歳烏山駅
に向かっていた車内で「貴方痴漢したでしょう」と25、6歳の女性に突然声を上げられ腕を掴かまれた。ドアから2.3列くらい中側でした。Y氏は「女の腕の掴み方は普通では考えられない位に強く今から考えれば訓練されてたような気もする」と言っています。
3)車内は混雑していてドアーから2-3列目に立っていたY氏は吊革につかまらず右手はショルダーバッグのベルトを抑え、左手はフリーで下におろしていました。
4)多少酩酊状態であったY氏は右横から女性が突然声を上げたので最初何が起こったのか理解できず「何言っているのだ」と反論するのが精いっぱいでした。
5)電車が千歳烏山駅に到着し多くの乗客と一緒に押し出される形で駅に降りた。
6)「痴漢したでしょう」と叫んだ女性とは別の女性1名と男性3名がどこからともなく近づきY氏をとり囲んだ。
7)2名の駅員が来て「痴漢したでしょう」と叫んだ女性に「警察を呼びますか?」と聞き女性が「呼んでください」と答えたので駅員は警察に連絡した。
8)5-6名の警官が2台のパトカーで到着しY氏は成城署に任意同行された。警察官は任意同行と言い駅で現行犯逮捕とは言わずに連行した。
刑事は取調室で「お前は逮捕されてるんだ」と怒鳴った。
9)警察では取り調べが朝の5時ごろまで続いた。供述調書には間違いを訂正させ事実経過を正確に書かせてから署名した。
10)最後まで「逮捕令状」は見せられなかった。現場で現行犯逮捕せず「任意同行」で警察に連行してから「逮捕拘束」したのは「不当逮捕」ではな いのか?
憲法第33条の「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらな ければ、逮捕されない」に違反している。
11)翌日(6月16日)午前と午後警察の取り調べがあった。
12)6月17日(金)に検察官の取り調べがあり検事調書に事実経過を正確に書かせてから署名した。
13)若い検事は「被害者からの告発があり10日の拘留を出さざるを得ないが却下され釈放された場合は任意の出頭は可能か」と聞いてきので「可能 です」と答えた。
14)6月18日(土)に東京地裁の若い女性裁判官が検察の10日間拘留請求を却下し釈放を決定した。その際裁判官は「検察から「抗告」が出されると他の裁判官が10日間の拘留を認めてしまうかもしれない」と言ったが結局検察からの「抗告」は出されなかった。
15)昨日(6月18日)午後9時半成城署から釈放された。
▼ 3泊4日で釈放された理由
救援連絡センターの担当者が「検察拘留が却下され釈放されたのは非常にまれなケース」と驚いた3泊4日で釈放されたおもな理由は以下の3つが考えられます。
一つは、公安警察の謀略部隊のでっち上げがあまりにもずさんでお粗末だったため警察と検察は逮捕したものの証拠も証言もなく「事件」化できなかったこと。
二つ目はY氏が憲法の保障する「基本的人権」を盾に警察と検察の圧力に一歩も引かず「痴漢行為は一切やっていない」と一貫して主張したこと。
三つ目は、救援連絡センター(03-3591-1301)や弁護士さんや支援する仲間の「支援体制」が迅速に機能して警察・検察の権力乱用に歯止めをかけたこと。
▼ 今回の事件は経済学者植草一秀氏への「痴漢謀略事件」とそっくり!
経済学者の植草一秀氏は2001年―2006年の「小泉・竹中構造改革」は米国流の「新自由主義」を日本に導入し用としている、と激しく批判していました。
特に2003年5月に小泉政権がりそな銀行を一時国有化した際に「破綻合併」の方針を一転して「国有化」方針に転換したのは、竹中金融担当大臣(当時)による「国家によるインサイダー取引」と鋭く糾弾したのです。
植草一秀氏は2006年9月13日午後10時頃京急本線
の品川駅
-京急蒲田駅間の下り快特電車内で女子高生に痴漢行為をしたとして東京都迷惑防止条例違反の現行犯で警視庁により逮捕されたのです。警視庁公安部は取引先の宴会で酒を飲みかなりの酩酊状態で反対方向の電車に誤って乗り込んだ植草氏を「痴漢事件」をでっち上げて逮捕したのです。
植草氏を尾行していた謀略部隊は女子生徒に「痴漢行為」をして声を上げさせ、乗客を装った私服刑事が植草氏を「犯人」として取り押さえ、蒲田駅の駅員につきだし警察に逮捕させたのです。
小泉純一郎政権は2006年9月26日で終了し次の安倍晋三内閣に交代しましたが、2006年9月13日に起こした公安警察による植草氏への「痴 漢事件」は小泉・竹中政権が仕掛けた最後の「謀略」だったのでしょう。
今回Y氏にかけられた「痴漢事件」は経済学者植草一秀氏にかけられた「痴漢事件」とそっくりなのです。」
(転載ここまで)
山崎氏が紹介されている今回の事件について、詳しいことを私はまだ確認できていないが、上記のことがらが事実だとすれば重大である。
一般の人々は、「現行犯逮捕」という言葉を聞くと、犯罪が現実に行われているその最中に、犯罪を確認して逮捕が行われたものだと勘違いしてしまう。
「現行犯逮捕」とは、もともとそのようなものであるはずなのだが、現実はまったく異なっている。
被害者が被害にあったことを声に上げた場合でも、被害者が犯人を特定できていない場合は多い。このような場合に、その場の状況で、犯人だと思われてしまった人物が存在したとしよう。この人物が取り調べ室に入った途端、この人物は、事後的に「現行犯人」にされてしまう。誰も、この人物が犯人であるのかどうかを確認できていなくても、この人物を警察が現行犯人としてメディアに報道させた瞬間から、この人物は「現行犯人」にされてしまうのだ。
あるいは、明らかに任意の取り調べで警察に足を運んだところ、事後的に虚偽の「現行犯人逮捕手続き書」などがねつ造されて、「参考人の出頭」が「現行犯人の連行」にされてしまう。この場合も、メディアが「現行犯人」として報道した途端、一般人は、この人物が犯行を実際に行っている現場を取り押さえられたものだと勘違いしてしまう。事件当初のこの種の虚偽報道が、人々の心象形成に決定的な影響を与える。
日本では、刑事訴訟手続きにおけるDUE PROCESSが、完全に無視されている。本来は、DUE PROCESSを満たしていない刑事事件捜査は、捜査そのものが無効とされなければならない。日本の警察・検察・裁判所制度が前近代に取り残されたままである、その第一の証左が、この「DUE PROCESS無視」の横行である。DUE PROCESS無視を取り締まるのは裁判所の役割だが、検察に支配される裁判所は、本来の機能をほとんど果たしていない。
上記記事に記載された市民運動家は、ぎりぎりのところで、冤罪被害者にならずに済んだということで、良かったと思うが、事件の真相には、重大なことがらが数多く含まれていると考えられ、今後、さらに徹底した事実関係の究明が求められる。