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江戸時代の生活 ⑧ -食事③-

2009年11月19日 14時55分25秒 | 江戸時代とは・・・・・

江戸時代の庶民の食事は「一汁一菜」ということを書きました。
ということをどこの書物にも書いてあるのですが、実際はどうだったのでしょうか?

天明2年(1782年)に刊行された「豆腐百珍」という本には、豆腐料理100種類の作り方が書かれています。
この時代に、料理書としてベストセラーとなったということは、食に関して一般的に関心が高かったということなのでしょう。
というのも、その後続々と料理本が出版されていることから、推測がつきます。

  

  書物 「豆腐百珍」    

「豆腐百珍続編」 「卵百珍」 「海鰻(はも)百珍」 「蒟蒻(こんにゃく)百珍」「長芋百珍秘密箱」などで、それらには、かなり手の込んだ料理の作り方が出ているのですが、板前さん向きと考えられており、一般家庭向きではなかったのではないでしょうか?

江戸後期には、「為御菜」という出版物が出ており、この内容には、一般庶民が食べていただろうと思われることが詳しく書いてあるそうです。

   江戸時代 料理屋風景

この書物は、相撲の番付に見立てて作ってあり、いわゆるランキング表なのです。
この欄外には、「日々徳用倹約料理角力取組」と書いてあり、要は安くて倹約の出来る料理を意識して書きならべたようです。

行司には、「沢庵」「ヌカ味噌漬け」「なすび漬け」「梅干し」などが並び、世話役として「でんぶ」「ひしお」「みそずけ」「日光唐辛子」などが書いてあります。

主催者は「みそ」「しょうゆ」「しお」の調味料が並んでおり、年寄という欄には「かつおぶし」「しおから」「なめもの」「ごましお」が書いてあります。

相撲番付では、西方、東方にそれぞれ大関、関脇以下の力士名が書いてあるのですが、この「為御菜」では、精進方魚類方に分かれてそれぞれの料理名が書かれてあります

「精進方」の大関には「八杯豆腐」うすく切った絹こし豆腐を軽く煮て、大根おろしをのせたもの)
関脇には「こぶあふらげ」(昆布と油揚げの煮物)
小結は「きんぴらごぼう」   前頭筆頭が「煮豆」
以下、「焼き豆腐」、「ひじき白あい」、「切干煮つけ」、「切りぼし煮つけ」、「芋がらあぶらげ」、「小松菜のひたしもの」
季節ものとして、<春>には、「けんちん」「わかめのぬた」「のっぺい」「たんぽぽの味噌和え」
<夏> 「なすのうま煮」「ささげのごぼう和え」「そら豆煮つけ」「たけのこあらめ」
<秋> 「若菜汁」「芋煮ころがし」「ふろふき大根」「とろろ汁」「あんかけ豆腐」
<冬> 「湯豆腐」「こんにゃくおでん」「納豆汁」「ねぎ南蛮」

「魚類方」の大関には、「めざしいわし」 関脇は「むきみ切干し」(あさり、はまぐりなどのむき身を切干大根と一緒に煮たもの)
小結は「芝エビからいり」 筆頭前頭は「まぐろから汁」
以下、「こはだ大根」「たたみいわし」「いわししおやき」「まぐろのすきみ」「しおかつお」

季節ものとして
<春> 「まぐろきじ焼き」「ひじきむきみ」「いわしのぬた」「かきなます」
<夏> 「芝エビ豆腐」「鯵たで酢」「こはだ煮びたし」「くじら汁」「どじょう鍋」
<秋> 「蒸しはまぐり」「芋煮だこ」「酢だこ」「にしん煮びたし」「焼き秋刀魚」
<冬> 「なまこ生姜」「しらす干」「さわらあんかけ」「卵とじ」

こうして見ると、ほとんどが現在の酒の肴のようです。
味噌汁と香の物と一緒にこれらの一品がつていたのでしょう。