それはまことに見事な朝だった。太陽は明るく輝き、
あちこちに見える真っ白な残雪の中にその光線を
切り込ませていた。この大地に今まさに別れを
告げんとする雪は、まさにダイアモンドのように眩しく
光っているので、どても正視することはできない。その隣では侍ちかねたように
秋蒔きのトウモロコシが緑の若芽を突き出していた。ミヤマ鴉たちは
畑の上をいかにも悠々と漂っていた。鴉は空を舞い、地面に降り、
何度かひょいひょいと跳ねてから、両足をしっかりとそこに
据えることになる。
アントン・チェーホフ『悪夢』
Such diamonds
村上春樹 訳
【発光の発酵】
パナソニック エコソリューションズ社は、12月31日の大晦日に、京都の清水寺の鐘楼や仁王門、西
門を、同社のLED照明を用いてライトアップしたという。今回のライトアップでは、暗い空間に情緒
豊かな夜景を演出するため、人が感じる明るさ感や、空間の印象を左右する光のメリハリ度の設計を
工夫し、同社は今年の11月に、清水寺の本堂や大講堂など13カ所にLED電球を計817個奉納していた。
このニュースを知り、4年前の冬を思い出す。丁度退職し、郷の白山神社の宮世話の長で、蝋燭提灯
は火災のリスクい割には手間が掛かるのこの際、デイライトと組み合わせ発光ダイオードに置き換え
ようと計画(実際は一部の充電式電飾蝋燭のみ実現)したのをきっかけに、全国の神社仏閣の提灯蝋
燭の電飾化事業のプロトタイプとして協力企業に見積依頼したが、アッサリと断られた。今回の震災
と原発事故で急速に発光ダイオード普及したが、その当時はそのことがなくとも置き換わると予測し
た上でのことだ。そう言えば、震災ひとつで急速に普及することを学んだ。パナソニックの電飾演出
・演色技術には勝てないが、もし乗りが良ければ、お調子者のわたしだからそのまま事業拡大し全国
の神社仏閣、世界の教会への営業展開していたかもしれない。と、そんな‘とら狸皮’の正月の夢と
なった。
Othello: A Minute to Learn...A Lifetime to Master. Rules of the game
もうひとつ。郷土産品の開発も宮世話仲間(ひとりは一年前に他界)でふな寿司などのなれ鮨につい
て話し合っていたことも思い出される。ネタはなんでもいいのだが、やはり農水業と関係の深い食品
になりやすく、イチゴ栽培などの話も持ち上がったこともあったが、マンゴやトリフ、わさび、ブラ
ッドオレンジ、アボガドなどのよそ者のなりものも悪くはない。それを青果として商品開発するのか
加工食品としてだすのかの知恵比べとなる。好みで言うと、日本のどこにも売られていない大根・か
ぶらの古漬けなどは、一番ゆびに含まれるだろう。また、味噌とのからみでアボガドの味噌漬けも同
格にある。といってもアボガドそのもはどちらかといえばあの脂ぎった食感は大トロ同様好きではな
いのだが、味噌漬けにすることでオセロゲームのように一番好みに返わる。もっとも、“A minute to
learn, a life time to master”(覚えるのに1分、極めるのに一生)ということだから、遊びも仕事と同じ
なんだよね。戻そう話を。まず、アボカドは種と皮を取り除き、半分に切り、合わせ味噌(みそ(中
辛)・大さじ8、酒・大さじ3、みりん・大さじ3をボウルに、味噌、酒とみりんを入れ、馴染むま
でよく混ぜる)に、半量を保存容器に入れる。2枚組になっているキッチンペーパーを1枚にはがし
(カーゼでもよい)、みそ床の上にのせ、アボカドを並べる。もう1枚のキッチンペーパー(ガーゼ
でもよい)を並べ残りの合わせみそをのせて、ひと晩おく。
食べ方は自由自在、スライスして器に盛、お好みでオレンジ、レッドペッパーなどを添えることで塩
気と柑橘の酸味が絶妙。スライスしないで、そのままバターナイフですくってパンにつけてもおいし
い。また、豆腐との味噌漬けや魚介類とのコラボもありバリエーションは豊かだ。アボガドを味噌発
酵だけでなく、糠、魚醤、麹、乳酸などで発酵とこれまたたくさんある(材料×発酵菌×方法)中で
これだというものに出会えれば、‘コスモテル’のブランドは世界中に鳴り響くというものだ。これ
は本気にしても良いテーマで、正月の初夢とすることとしよう。