極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

亜鉛シグナルと概日時計

2013年01月13日 | 新弥生時代

 

 

 

【水ヶ浜でジュブリルタ】
 
例により、外出しようと彼女が提案するので、ジムを変更し近江八幡の「シャーレ」まで車を走らせる。現地
に着くと、レストランの前では工事途中の鐘楼(上写真)が目に付く、ドアーを開けると大きな薪ストーブが
赤々と燃えている(下写真)。さすが、寒いために湖岸に着きだしたテラスには外で食事している客はない。
早速、いつもの近江牛とレーズンのドライカレーとオレンジジュースを注文しランチ(彼女は、紅茶とドライ
カラー、カレーにはサラダ付いている)。この行き帰り道の景色は文字通り「美麗眺望」で、作業につまると
ひとりでドライブすることがある。

医療介護の教課単位取得試験の難しさとかデジタル革命に影響をもろに受けている仕事先の話を
彼女から聞いていた。こちからから話す種はないので、一通り話しをして、帰りに近くで栽培
売している完熟ミニトマト(14個入、250円と安い)を1パック買う。それにしても春には完成

しているだろうから、そのときは鐘を鳴らしてみよ。






【亜鉛シグナル】 

亜鉛が生命活動に欠くことのできない必須微量元素の1つであることは周知の通り。約半世紀前
に発見された亜鉛欠乏症以来、様々な細胞への機能が明らかにされてきた。この亜鉛は総亜鉛量で
約2~4gに維持、この総亜
鉛量の維持に毎日約10~15mgの亜鉛を飲食物摂取することで維持でき
ているが、
小腸上皮細胞により速やかに取り込み→血中循環→各組織・細胞へ運搬される。また、
栄養学的には、亜鉛欠乏が成長障害の原因であり、ヒトゲノムが有する全遺伝子の約4~10%が
Zinc finger motir” などの亜鉛結合ドメ
インをコードしこれまで以上に重要視されている。古く
から亜鉛は数百種類以上におよぶ酵素や転写因子の立体構造の維持や活性化に寄与し、カルシウ
ムのように細胞外からの刺激を細脳内で伝達するためのシグナル伝達分子として機能しているが、
同様に、生体内耳鉛の調節機構と亜鉛シグナルが解明されているので考察する。

 

金属イオン貯蔵は亜鉛をはじめとする過剰な金属イオンをづレヤる役割を果たし、この亜鉛恒常
鉛トランスポーターやメタロチオネインの発現と局在による複合的な調節を受ける。それぞれの
「亜鉛シグナル機軸」は特異的な標的分子をもち、亜鉛トランスポーターて輸送された亜鉛イオン
が、直
接的に、あるいはシャペロンを介して間接的に標的分子へ受け渡され、選択的にシグナル
伝達経路を制御し、様々な細胞機能を統御。例えば、ある1つの『亜鉛シグナル機軸』の破綻は、
その機軸に対する補填機構がない場合、疾患や異常の原因となるというものだ(上図参照)。
最近、蛍光プローブの開発により微量の細胞内金属イオンが可視化できるようになり、生体内総
亜鉛量の恒常性に加えて、細胞応答における細胞内亜鉛イオンの重要性が明らかになってきた。
これまで亜鉛イオンは、酵素や転写因子などのタンパク質の活性や立体構造の維持に寄与する補
因子的な役割を担う金属以外に、亜鉛トランスポーターなどを介して、カルシウムイオンと同様
に細胞内でシグナル因子として働らき、細胞機能を制御することまで分かり、これを亜鉛シグナ
ルである。この『亜鉛シグナル機軸」研究の展開により、免疫疾患や骨軟骨代謝関連の疾患の新た
治療方法の開発につながることが期待されている。

※ シグナル伝達
※ 亜鉛イオンによる新しい骨代謝制御機序 “亜鉛シグナル機軸
※ Role of gp130 and Zinc signaling in the immune system.バイオサイエンスとインダストリー vol.71 No.1
※  Zinc signal: Novel regulatory system for signal transduction in health and djsease,
※  シャペロン分子;シャペロン(chaperon または chaperone)とは元来、若い女性が社交界に
デビューする際に付き添う年上の女性を意味し、タンパク質が正常な構造・機能を獲得するのを
デビューになぞらえた命名である(クリック@下図)。

 

 


【24時間リズムを生み出す 遺伝子発現調節機構】

さて、地球の自転により生じる昼夜の明暗サイクルは、生物にとって非常に大きな環境変動だね。
その
ため、生物は自ら時間を知り、あらかじめプログラムされたサイクルで様々な生体機能をコ
ントロールする
ことで、効率のよい生命活動を営んでいることが知られている。概日時計は、約
24時間周期の生
命を維持するシステムは周知されたことだが、その概日時計が正常に機能しない
と、動物では時差ぼけや睡眠障害、ホ
ルモンバランスの異常などが起こり、植物でも光合成能力
の低下や収量の低減を招くことか
ら、医学、薬学、農学などの観点からも最近注目が集まってい
る。概日時計から発せられる時間情報は、主
に遺伝子発現のリズムを介して種々の生命活動に伝
えられ
、時計の振動子と転写制御システム間のリンクの解明を目指した研究が世界中で進められ
いるというわけだいまだ良く分かっていないないのが現状だ。




ところでシアノバクテリアは、酸素発生型の光合成を行う原核生物であり、すべての植物の葉緑
体の共通祖先と考えられているが、このバクテリアの概日時計の中心振動体(へぇ~~~そんな
のなるの?びっくり!)は、細胞質に存在するKaiA、KaiB、KaiCと呼ばれる3種のタンパク質の
みから構成されている。この時計が生み出す時間情報は、ゲノム全遺伝子の1/4に及ぶ約700の遺
伝子発現リズムに伝えられ、遺伝子群の転写には、ヒスチジンキナーゼSasAと、レスポンスレギ
ュレーターRpaAからなる二成分制御系(バクテリアに広く保存された環境応啓一転写制御機構)
が深く関与するというが、どのように24時間周期の転写リズムが、「時計の針の動き」に関する
実体は謎だった。そこで、華岡光正千葉大学准教授らのグループが、転写因子であるRpaAとター
ゲット遺伝子間の相互作用を調べ、いずれの時間帯においてもRpaAとDNA間に結合を認められな
いことを突き止める。このため、24時間周期の転写リズムを生み出すためには、RpaAだけではな
く、別の因子の機能とRpaAのホモログであるRpaBに着目し、このターゲット遺伝子への作用を調
べた結果、時計遺伝子kaiBCのプロモーター領域に特異的に結合するのはRpaAではなくRpaBであ
ることを見いだし、また1日の様々な時問帯のRpaARpaBの結合パターンを調べRpaBの結合は
夜に強く、朝方から昼にかけて徐々に弱まり、夜になると再び結合する周期性を発見する。この
24時間周期の結合パターンは、kaiBCなどターゲット遺伝子の発現パターンとちょうど逆相関し、
RpaBは負の転写因子として機能する一方、RpaAは正の転写因子であることが示されたが、何れ
の時間帯においても結合が認められず、DNAに結合せずに転写制御に関与し、
夜間にRpaBの結合
で抑制した転写を、朝方から昼間にかけてRpaAを解除することを示唆しているという(参照@上
図)。このように、RpaARpaBがそれぞれ正・負の転写因子として協調的に働くことで、時計
の振動中心から得られた時間情報を正確にゲノム全体の遺伝子発現リズムに伝達すると想定でき
る。真核生物の概日時計は、これまで動物・植物を問わず転写翻訳のフィードバック制御が重要
な役割を果たす。最近、遺伝子発現を介さない振動体の存在が話題となったが、それでも中心振
動体の実体は今も明らかでない。一方で、原核生物であるシアノバクテリアにおいては、中心振
動体がKaiA、KaiB、KaiCの3つのタンパク質のみから構成すること、そのうちKaiCのリン酸化リ
ズムが約24時間の周期を決定に重要であることと、この中心振動体とゲノムワイドな遺伝子発現
リズムをつなぐ直接的で、完全なループの解明成功した。

 




この成果を踏まえ、植物や微生物の光合成機能は、「グリーン・イノベーション」として注目さ
れているが、光合成機能の利活用上。概日時計機構は、光合成をはじめ様々な代謝機能を最適化
の究極的なシステムと捉え、将来、光合成能や生産性を向上させるなどの応用研究に展開する上
での大きな手がかりとなるという。また、農学分野における実用化への道が拓かれたと同時に、
概日時計機構は動物にも広く見いだされることから、医学・薬学分野への応用も期待でき、正と
負の転写因子の協調機能が、24時間周期の遺伝子発現み生み出され、分子スイッチの設計などの
合成生物学分野への応用も期待されるという。




※ 分子スイッチ

この技法は、「この宇宙に存在するものすべて固有振動をもつ。そうもう一度強く思い定めた瞬
間、またひと
つ、わからないものが生じた。」(『糸切り餅と諸子の固有振動』)の派生試行と
なるが、分子スイッチの設計の開発も重要だけれど、これらの振動体に同周波数を外部から照射
印加し共振動させるとどうなるかというアイデアが浮かんできた。農作物に被害を与える害虫や
寄生植物の固有振動がわかれば、新しい非化学物質系除草や害虫駆除方法になるのではと。今夜
はこれ以上時間を割いて考察するのは留め置くが、化学物質による複合汚染の問題解決に役立つ
のではと思った次第である。これらを踏まえもう少し新しい生物工学種について考察してみたい。 

 

 

コメント
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