イブプロフェンのデジタルケイジアン

 

 

 

【レイとチェーホフ】

 

　　　　　　再び翔ぶがごとく走る馬たち、酔っぱらったニカノールの奇声、
　　　　　　風と執拗な雪が目の中に、ロの中に
　　　　　　毛皮のコートのひだのひとつひとつに飛び込んできた……風が唸り、
　　　　　　御者たちは怒鳴った。そして狂乱のごとき咆吼がつづく中で
　　　　　　私はこの不思議な、どんでもない一日のことを隅から隅まで思い出してみた。私の
　　　　　　人生の中の特異な一日。私には自分の気が触れてしまったか、
　　　　　　あるいは自分が違う人間になってしまったみたいに思えた。なんだか
　　　　　　昨日までの自分自身があかの他人のように見えた……十五分の後には
　　　　　　彼の乗った馬車はずっと後ろに遅れ、その鈴の音は
　　　　　　吹雪の咆吼の中に飲み込まれていってしまった。

 

             Again the flying horses, the strange voice of drunken Nikanor, the wind and the persistent
             snow, which got into one's eyes, one's mouth, and every fold of one's fur coat....
             "Well, I am running a rig," I thought, while my bells chimed in with the doctor's, the wind
             whistled, the coachmen shouted; and while this frantic uproar was going on, I recalled all
             the details of that strange wild day, unique in my life, and it seemed to me that I really had
             gone out of my mind or become a different man. It was as though the man I had been till
             that day were already a stranger to me.

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　          　　　　アントン・チェーホフ「二台の馬車」（『妻』より）
　　　　　　　　　　　　　　　　　  　 　　　レイモンド・カーヴァー 『滝への新し小径』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　村上春樹 訳  ‘ Two carriages ’

 

 

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【ベンザブロックがヒット】

年明けて、再び眼底付近からの偏頭痛が再発。それでも右側頭部から左に変わっているが。それで、
時折というか、風邪の症状で扁桃腺周辺の痛みに武田製薬のベンザブロックＬを服用、愛用（これ
はいけないっか？！）。これを服用するとわたしには凄く効く。ただし、胃弱な体質や胃の状態次
第では、できるだけ胃に優しくして服用しなければならないし、イブプロフェンは肝臓疾患、また、長
期に渡る投与は心筋梗塞の危険性を増大させるの原因にもなるので、これも要注意だ。

周知の通り、総合感冒（かんぼう）薬は、頭痛・発熱・のどの痛み・筋肉の痛み・咳・くしゃみ・
鼻水・鼻づまりなどといった、いわゆるかぜ症候群（普通感冒）の諸症状の緩和に効果を出すよう
に解熱剤（解熱鎮痛剤）と鎮咳去痰薬・抗ヒスタミン剤などを複合した医薬品である。日本では、
現在一般用医薬品（大衆薬・OTC）として広く発売されている。剤形としては錠剤・カプセル剤・
粉末（細粒・顆粒など）・飲料（シロップ・ドライシロップなど）のパッケージで発売されている。
ところが、感冒薬は大衆薬（OTC）市場規模の中核にあり、製薬・売薬会社にすればおいしい市場とい
うわけで販売方法規制緩和が話題となっている。懐疑的に意見に感冒の９割がウイルスによるものだが
「 インフルエンザ脳炎がみられるのは、世界中で日本列島と台湾の一部だけ。かつては、世界七不
思議の一つだったが、欧米の医師が日本列島に特有な「総合感冒薬」が原因と看破。無作為対照化
試験の結果、総合感冒薬は治癒を遅延させることが判明。そればかりか、日本では毎年 100人の乳
幼児が、「インフルエンザ脳炎」で死亡し、100人が重い後遺症を残している（近藤誠・著「よくな
い治療、ダメな医者から逃れるヒント」や「医原病」）にくわしい。　風邪の諸症状は、ウイルス
を排泄（咳や鼻水）し、弱体化させる（＝発熱）作業。だから、症状を抑えない方が早く治る。し
かし、社会生活をしているので、希望があれば、ひどい咳には麻薬系「咳止め」。鼻水には「点鼻
薬」を処方する。去痰剤は何の効果もない、効果的な去痰法は水分をよく摂ること。　同じ文脈で、
感冒様症状を自覚し 2日以内で、「仕事があるので」という希望者には「タミフル」を ２回内服し
てもらう。SARS系ウイルスによる感冒には効果なし。他にできることは「うがい」。この場合、イ
ソジン（殺菌作用があるので、味方の菌を殺す）などのうがい薬より、水道水がよい。そして、な
るべく食べないこと、栄養をつけると免疫能が低下。　解熱鎮痛剤は禁忌。ただ、咽疼痛が強い場
合や頭痛には、アセトアミノフェン（カロナール）を処方します（OTC（Over the Counter；医師の
処方箋なしで買える薬）は、タイレノール）」（「風邪薬の犠牲者、異端医師の独り言、2012.12.
10 」）との批判がある。

　



特開2006-096749 感冒用医薬組成物 武田薬品工業株式会社

上表は、イブプロフェン、鎮咳成分、気管支拡張成分、抗ヒスタミン成分およびカルボシステイン
を含有する感冒用医薬組成物からなる、かぜの諸症状、特に咳、痰、さらにのどの痛みの症状を改
善する上で有用な感冒用医薬組成物の新規考案の一例。表の上段 より七段までが主な機能成分（無
水カフェイン）で、わたしに有効な成分がこのイブプロフェン。イブプロフェン（ Ibuprofen）は、
プロピオン酸系の非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAID) である。日本ではブルフェン、日本国外で
は、Act-3, : Advil, Brufen, Motrin, Nuprin, もしくは、Nurofen などの商標名で、医療用及び店頭用
医薬品（OTC 医薬品）の両分野において広く流通。関節炎、生理痛および発熱の症状を緩和し、
また炎症部位の鎮痛に用いる。イブプロフェンは1960年代に英Boots Groupの研究部門によりプロピ
オン酸の誘導体として創薬。 イブプロフェンはまた、WHOのWHO必須医薬品モデル・リストに含
まれる医薬品の一つで、関節炎、痛風、腎結石、尿路結石、片頭痛、さらに、小規模から中規模な
手術後や、外傷、生理痛、歯痛、腰痛、筋肉痛、神経痛などの鎮痛目的で使用される。鎮痛薬や解
熱薬で喘息を起こしたことのある者。 消化性潰瘍のある者。 高齢者には慎重に用いる。 重い肝臓
病、心臓病、妊娠後期には使用禁止されている。

一般的な副作用は次の通りである：吐き気、消化不良、消化器潰瘍・出血、肝臓酵素増大、下痢、
ふらつき、塩および体液停留、高血圧。まれな副作用は次の通りである：食道潰瘍、心不全、高カ
リウム血症、腎臓障害、昏迷、気管支痙攣、発疹。他のNSAID薬剤と同様に、イブプロフェンも光
過敏症を引き起こすという報告が存在する (Castell等, 1987)。しかし、イブプロフェンの紫外線
吸収は非常に弱く、太陽光領域にすら到達しない。イブプロフェンの構造は単一のベンゼン環を持
つだけで、共役系が存在するわけでもないので、非常に弱い発色団である。それ故、イブプロフェ
ンは他の2-アリールプロピオン酸類など比較しても、きわめて弱い光過敏症しか引き起こさない。
しかし、これはイブプロフェンを「主役」と見た際であり、イブプロフェンの代謝過程で生ずる危
険性などは考慮していない。他のNSAIDと同様、長期に渡る投与は心筋梗塞の危険性を増大させる。
(Hippisley-Cox & Coupland, 2005)

現代の世界の医療薬品市場は約８０兆円であり、将来的には１６０兆円は下らない規模になることが
ある意味約束されている。その中の一般用医療品（1/5?）の一部の総合感冒薬のその中のプロピオン
酸系の非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAID) のその中でのイブプロフェン（主なメーカ：八代製薬株
式会社山本化学工業、BASF、Hubei Biocause Heilen Pharmaceutical、Shasun Chemicals and Drugs など、
2007年の厚労省調べ、約5億6千万円＠日本）となるが、人口縮小の我が国では、OTC医薬品の販売権
の激しい奪い合いが起きている？、そのこととは関係なく、ベンザブロックＬを聞こえは悪いが、必
要悪として、効率重視でこれからも服用していくぞ～～～！

 

※「環境水中における医薬品に関する研究」 
※「医薬品開発に求められる環境リスクアセスメント」

 

【角を矯めて牛を殺す】

過去最高利益で話題になったのはサムソン電子だけではない。ローカルだが原電の話。本当におめで
たい役人天国・日本でのこと。牛の曲がった角を直そうと手を加えているうちに牛を殺してしまうが、
転じて、少々の欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまうたとえ。枝葉末節にこだわっ
て、肝心な根本を損なうことの喩えは、牛を勤労納税者と消費者で角は‘原子力村とそのグループ’
として看ればぴったりだ。同様の喩えはいくらで挙げることができる。‘アベノミクス’に対する‘
巨額赤字国債’や‘ばらまき公共事業’に対する批判もその一例だ。前者は必然視として、後者を最
適化問題としてとらえているわたし（たち）は、言ってみれば、時折襲う頭痛に悩ませられながらイ
ブプロフェン剤をポケットに忍ばせながら難題に立ち向かうドンキホーテ、否々、デジタルケイジア
ンが（そんなの聞いたことがない？ えぇ～～っ、知らなかったの？はじめての登場ですよ！世界で
はじめての！）、烏滸がましき限りだがアベノミクスを擁護する。