極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

2つの昆虫食と1の経済命題

2013年01月29日 | EMF安全保障

 

 

 

【養魚の昆虫食】

疑問だった養殖用昆虫について調べてみた。ところで、水産養殖は食料供給の手段としは勿論、
日本が誇るべき産業の1つだ。2008年の日本の水産養殖の生産量は約120万トン、生産額は約
千億円におよぶ。世界的には(1)漁獲低減・人口増加による食料の安定供給の必要性(2)
健康志向に基づく魚食の普及(3)BSE・鳥インフルエンザなどの疾病の流行による畜産の
限界などを理由に水産養殖の意義が注目されているというのだが、日本の水産養殖は衰退の危
機にあり、世界的にはこの30年で養殖生産は8倍近くに激増し、ノルウェーやチリ、中国・ベ
トナムなどのアジア諸国を中心に増加あいているのとは対照的に、日本の養殖生産高は1990年
代をピークに減少傾向しているのだ(上図)。日本の水産養殖業が直面する課題の1つに「飼
料価格の高騰」があり、養殖用飼料に必須の動物性たんぱく質は、カタクチイワシやアジなど
の小魚を粉末化した魚粉など賄われ、そのほとんどを輸入に頼っており、近年の水産資源の減
少や燃料費の高騰、さらに他国での需要の急増を背景に、魚粉価格は2倍以上に跳ね上がって
いる。その対策として大豆かすなどの植物性たんぱく質を利用し飼料中の魚粉含有量を低減す
る試みが行われ、愛媛大学 南予水産研究センターの三浦猛教授らは、魚粉の低減化や飼料価
の安定化の目的に研究開発を行ってきた。

 

そこで、ハエなどの昆虫はほかの生物に比べて生活環が非常に短く、人工的な安定生産が可能
なこ
とに注目し、ハエのサナギを養殖魚の餌に混ぜて、効果を検証した結果、ハエのサナギを
含有する飼
料(下図)で、(1)イエバエサナギを少量含有させ、魚粉含有量の大幅に低減、
また、マダ
イの海面養殖での実証試験では、魚粉30%+サナギ2.5%を含有する飼料に、体色・
成長性や酸化ストレスの面で、魚粉40%を含有する飼料を上回る結果が得られ、サナギ2.5%
により、魚粉10%の代替が可能と判断。
(2)イエバエサナギには、養殖魚の摂餌性を高め、
誘引する効果(摂餌促進)が認められ、ハマチ稚魚やウナギ稚魚での実験で、嗜好性が格段に
高いことを確認。
(3)さらに、イエバエサナギを含有する飼料を摂取した養殖魚は免疫が活
性化し、魚類の病原細菌に対する耐病性が得られことを確認(免疫活性化)、他種のハエサナ
ギには、イエバエよりも顕著に高い免疫活性化能を持つことが分かったという。



このような研究開発の究極的なイメージは、昆虫類の必須アミノ酸+アルファの効果の解明に
より薬学的、栄養衛生学的、工学・工業的な複合的な側面からの深耕により世界の水産業のト
ップランナーとして世界貢献していることであろう。そのことは同時に、家畜の食餌や人間を
対象としたの昆虫食科学の進行とあいまって持続可能な社会の実現に結びついていくだろう。


 


【シルクパワー全開】

滋賀県 近江町特産フルフルらーめん(特定非営利活動法人いきいきおうみ)が日本テレビ『
シューイチ』の
番組放送(2013.1.27)で第三位に選ばれた。道の駅『近江母の郷』で販売さ
れていた『フルフルらーめん』だが、
「フルフル」とはフランス語で衣ずれの音を意味し、め
んにシルクパウダーが練り込まれている。「めんは、生めんに近い食感。スープは肉のうまみ
が出た本格的な醤
油味で、昔ながらの中華そばの感じ」。シルクパウダーに含まれるアミノ酸
が体にいいと紹介されている。ところで、
シルクパウダーは、蚕の繭をそのまま粉末にしたも
ので、その成分であるセリシンは繭の繊維から抽出された18種類のアミノ酸を含む天然タンパ
ク質です。パウダー状に分解してあるので、小腸での吸収もよく、他の食品の5倍以上とも言
われている。 人間の身体は主に20種類のアミノ酸からできており、筋肉・骨・脳・内蔵・中
枢神経・血液・皮膚・髪の毛など人体を構成するものは、すべてアミノ酸からつくられている
化合物です。つまり、アミノ酸は生命活動そのものをを支える重要な物質です。シルクパウダ
ーを食べることにより、上質アミノ酸が体内に効率よく摂取できて肌本来の自然治癒で、失わ
れたコラーゲンを再生し、うるおいのある美肌を保ちます。シルクの食用の歴史は以外に古く、
漢方生薬としても使われている。

 

蚕由来のシルク(絹)タンパク質は、フィブロインとセリシンという2種類のタンパク質から
構成されている。その中で、セリシンは、保湿、抗酸化、紫外線吸収作用等の特徴が注目され、
化粧品等に幅広く利用されている。その際、効率よくセリシンを抽出するために、シルクパウ
ダーの状態で処理することも多い。また、シルクフィブロインは製糸、製織工程において大量
に排出されている。従来、シルクタンパク質からセリシンを抽出した後のフィブロインは、十
分な利用法が見い出されていなかった
。近年、その廃棄物としてのフィブロインを有効利用
する方法が求められている。例えば、シルクフィブロインを粉末化したものは、化粧品、食品、
医薬品等に用いることができる。ここで、シルクフィブロインは、特定の中性塩水溶液に溶解
させることが可能であり、塩を除去後に凍結乾燥で脱水することにより、フィブロイン粉末が
得られ、水分とともに加熱圧縮することにより、板状の材料となる。また、シルクフィブロイ
ンをハロゲン化アルカリ金属塩/低級アルコール/水の3成分を特定の比率で混合した溶媒に
溶解することで高粘度の紡糸原液とし、該紡糸原液を乾湿式紡糸した後、次いで溶媒抽出と延
伸および洗浄することにより、シルクフィブロインからなる材料を得ることができる。



一方、繊維強化プラスチック材料の分野において、環境負荷の低減や廃棄処分のしやすさを目
的としたグリーンコンポジットの研究開発が進められている。生物由来の繊維や樹脂は、石油
由来の繊維や樹脂とは異なり、再生可能な資源である。また、生物由来の繊維や樹脂は、ガラ
ス強化繊維を用いた材料と比べて、燃焼、分解等が容易である。これに対して、ガラス繊維強
化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等は、高い強度を示すものであるが、廃棄時に粉
砕および焼却し難い。従来、マトリクス材料に強化繊維材料を加えて強度の向上を図った繊維
強化複合材料の技術が存在している。例えば、マトリクス材料として生分解性樹脂を用いて廃
棄時の環境負荷を少なくする技術、強化繊維材料としてセルロース繊維材料を用いた技術、強
化繊維材料としてシルク繊維材料を用いた技術等が開発されている(例、熱可塑性樹脂とシル
ク繊維材料(絹織物)とからなる繊維強化複合材料が示されている。

しかし近年、シルクの主成分であるフィブロインが10数種類のアミノ酸で構成されているタン
パク質であることから、その特性を活かして非衣料分野での応用が増え、
食べるシルクが顕著
となっている。パウダー状のものから錠剤まで、さまざまなフィブロインの栄養補助食品が開
発され。フィブロインの成分で最も多いグリシンは、コラーゲンや天然保湿因子の原料になる
他、神経を静める作用、目覚めがよくなる作用、あるいはコレステロール値の抑制や免疫力の
向上などの働きがあることが知られている。また、アラニンは、グリシン同様、コラーゲンや
天然保湿因子の原料になる他、体内でエネルギーに変わるとともに、疲れにくく、肝機能をサ
ポートする働き、体脂肪を分解する働きも認められている。さらに、セリンは表皮や爪、髪を
つくるシステインの基でもある。こうしたフィブロインに含まれるアミノ酸に着目し、美容と
健康のサポートを目的とした栄養補助食品の実用化が進んでいる。
食品化については、かねて
からフィブロインの分子量が大きいことから消化吸収に課題があるといわれてきたが、酵素分
解法など、より安全にアミノ酸やオリゴペプチドという低分子化することが可能な技術も確立
され、消化吸収という課題も克服されている。
さらに、生体に馴染みやすく、細胞が再生しや
すいことから、生体適合性に優れたフィブロイン膜を使った人工皮膚なども研究されており、
実用化も近いといわれている。 2010年4月には、岩手大学との共同研究により、「カイコシル
クパウダーペプチドにおけるLC-MS/MSならびにアンチエイジング機能の解析」という論文が
発表(上写真)されており、フィブロインにおける今後の可能性が広がっている。

 

そうか、シルクラーメンか、昆虫も奥が深いんだ!いま嫌われているスズメバチも強精剤として抽出液
やサプリメントとして販売されるかもしれないし、ロイヤルゼリーは貴重な体質改善剤として販売される
日もちかい。蚕は、衣料品と見直され、医療品として、あるいは幼虫は食餌として百パーセント役立つ
てくれるかもしれない。そう考えると未来は明るいじゃないかと腑に落ちた。

 

【現代金融政策論】 


日銀は29日、平成14年7~12月に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。当時は不良債
権処理が懸案だったが、デフレ克服も課題となっており、日銀は金融緩和策の一環として物価
目標をめぐり議論。同年12月17日の決定会合で、当時の速水優総裁が物価目標について「経済
を無謀な賭けにさらすということ。政策として適当でない」と導入に否定的な見解を述べてい
たことがわかったと報じられた。それによると、この決定会合で、速水総裁は「インフレ予想
ではなくて、成長予想を高めることが重要で、それこそが経済再生に向けた政策の王道」と強
調。他の出席者からも「なかなかインフレにならないところから無理矢理やっていくので、か
なりの確率で(目標幅を)オーバーシュート(上振れ)してしまう」(当時の植田和男審議委
員)などと、物価目標の導入には慎重な意見が相次いでいた。それから約10年後、日銀は今月
22日の決定会合で安倍晋三首相の要請を受け入れる形で2%の物価目標の導入を決断。金融政
策のあり方は大きく転換した。当時はゼロ金利状態で利下げ余地はなく、日銀は当座預金残高
を目標とする量的金融緩和政策を実施していた。日銀は、開催から10年がたった決定会合の議
事録を半年ごとに公開していという。




このニュースの前、麻生太郎財務相は28日、臨時閣議後の記者会見で、日本政府の経済政策は
「円
安誘導が目的」との批判が海外から出ていることに対し「ドルやユーロを下げても、俺た
ちは文句を言
わなかった。(円相場が)10円か15円戻したら(欧米が)文句を言うのは筋
としておかしい」と反論した。
最近の円安傾向は「日本はデフレ不況からの脱却が優先順位の
一番。円が結果として安くなるのは付
随的に起きている話だ」と指摘し、また財務相は2013年
度の実質成長率を2・5%とする経済見通し
に関して「世界経済は下振れリスクの懸念が前よ
り薄らいでいる。株価も上がっている」と話し、見通し
を達成する可能性は高いとの見方を示
した。ただ「生活で感じるほどの景気の良さはもう少し先になら
ないと出てこない」とも指摘
したことが報道されている。

さて、10年前と言えば、半導体と液晶パネルの活況は最高潮に達していて、職場の後輩たちに
このような経験は二度とないよと話してあげたた記憶がある。この時分に既に日銀と政府との
デフレ対策で激し議論されていたことはある意味、少し安堵させるものではあるが、輸出競合
国の追い上げは、自国通貨切り下げ”強かに組み込まれていたこと(該当政府は否定するだろ
うが)を、あるいはその可能性を自覚していたのか疑問だ。さて、『抗癌最終観戦記』の続き
を。


  また日銀のなかには、「良いデフレ」と「悪いデフレ」を分けて考える者もいるという。
 良いデフレとは、物価の下落が景気の悪化をともなわないもの。悪いデフレとは、物価下
 落が景気の悪化をともなうものだ。「物価の下落」と「景気の停滞」を分けて考えるよう
 になったが、今度はそれを「良い」「悪い」というモノサシで測るようになったのである。
 良いデフレの例とされるのが、パソコンである。パソコンは現在、数年前では考えられな
 いほどに安価になっている。家電量販店に行けば、五万円以下で手に入る場合もあるほど
 だ。かつては10万円以上が当たり前、その前ならさらに高かったのだが、飛躍的に購入し
 やすくなっている。だが、それは景気とは関係のないこと。需要収縮が価格低下の原因で
 はない。パソコンが安くなった理由、それはまず第一に、技術革新と生産性の向上である
 日銀の「良いデフレ」「悪いデフレ」論は、一つひとつのものの価格と、経済全体の価格
 とを、混同している。パソコンの値段が下がったからといって、それが物価全体の下落に
 つながるというわけではない。デフレとは、物価全体が継続的に下がる状態のことをいう
 からだ。日本には、このようにデフレを容認する者が数多くいる。日銀にも、政治の世界
 にも。 他の国では、後述するリフレ政策までしてデフレを止めても無駄だという学者が、
 10人のうち一人か二人はいるだろう。だが、デフレが良いものだという議論は間いたこと
  がない。一方、日本では、ほとんどの学者は日銀の政策を擁護することが多く、10人のう
  ち一人か二人だけが「デフレは困る、デフレを止めて緩やかなインフレ気味に経済を導け」
  と正しいことをいっている状態。金融政策は効かないものだと信じている人間が数年前ま
  で多勢を占めていた。



                浜田宏一著『アメリカは日本経済の復活を知っている』

 

同上著書の「第一章 経済学二〇〇年の常識を無視する国」からの抜粋部分(背景カラーはわたし
が加筆)は、浜田宏一と見解を異にする箇所である。勿論、日銀のデフレ善悪論とは無関係では
あるが、『デフレギャップとギリシャ国債』で記載した“ソロー残差”を取り上げたが、「技術
と経済成長」の話。米国の経済学者のロバート・ソローは、古典派経済学の成長モデルの研究と
ソローモデルでよく知られているが、ソロー残差とは、生産力をあげるには、労働やその他材料
を増やすか、投入する資本 (機械) を増やすか、あるいは技術革新によって効率をあげるかだ。
このうち技術革新は直接は計測できないけれど、ほかのものの増分を生産量の増分から差し引け
ば、残ったのが技術革新の分だとするロバート・ソローのアイデアで、この考え方をもとに、
後アメリカの産業力はほとんど (87.5%) が、技術革新によるものだと主張したのだが、「2006年
第一四半期において、PCのプロセッサは90nmで製造されており、65nmのチップはIntel(Pentium D
およびIntel Core)からのみ出荷されていた。10年前では、チップは500nmで製造されていた。各
企業は45nmや30nm、さらにそれ以下の細かさのチップを製造するために起こる複雑な技術的課題
を解決するため、ナノテクノロジーを用いて開発を行っている。これらのプロセス技術は半導体
産業が直面するムーアの法則の限界を延命させる方向にある。
最近のコンピュータ業界の技術ロ
ードマップ(2001年)は、ムーアの法則はチップ数世代にわたって継続するであろう、と予測し
ている。この技術ロードマップでの計算によると、この10年間でチップ上のトランジスタ数は2
の100乗個にまで増加するだろう。半導体産業の技術ロードマップではマイクロプロセッサのトラ
ンジスタ数は3年で2倍になるとしているので、それに従うと10年で2の9乗個になる」(「個人
史としてのデジタル革命」-「5.コンピュータと半導体
」)と喩えられる『デジタル革命』の
基本法則がすさまじ勢いで貫徹波及していく時代であり、そのことの影響がどの程度寄与してい
るのかの計量経済学の新しい命題を強く意識させるが故、無視できないと考えている。そして、
ソロー・モデルは長期モデルで、rが均衡点から乖離した場合に均衡点r*に収束しても、収束に10
年やさらに半世紀もかかれば現実に意味しないとの弱点があり、技術進歩と貯蓄率の
外生性を改
善するためにラムゼイ・カス・クープマンズモデル(単一部門の成長モデル)、フォン・ノイマ
ンの多部門成長モデル、内生的成長モデル(経済現象を外生的要因によってではなく、体系内の
内生変数によって説明する考え方。内生的成長論では、外生的に与えられた技術進歩ではなく、
広義の資本ストックの充実といった内生的要因を経済成長の源泉とみなす)を派生→内生的成長
論は、ポール・マイケル・ローマーはR&Dなどで生み出される知識やアイディアが最終財の生産
に投入される中間財の種類を増加させ、その増加が最終財の生産性を向上させる過程-アイディ
アが非競合財であり規模に対して収穫逓増する特性を持ち、
例えばアイディアの投入を2倍にす
れば産出量は2倍以上になる。すなわち、
アイディアを生産するには最初に固定費用がかかるも
のの限界費用がゼ
ロであるという点で、アイディア(知識)を生み出す際にはコストがかかるが、
一度生み出されたア
イディアをコピーしてもう1単位つくるにはコストはほとんどかからない(
1→N型生産)であり、このような
性質を持つ財は完全競争市場では最適に供給されず、最終財
市場で完全競争の仮定を維持する一
方、アイディアを投入要素とする中間財市場を独占的競争市
場としてモデル化するという特性を帯びているという現在的な意味付けとその計量評価が-ノー
ベル経済賞級課題が残されているというわけだ(これは少し難しかったかな?)。それが彼とわ
たしの差だと考えている。


とはいえ、「量的緩和政策―2001年から2006年にかけての日本の経験に基づく実証分析―、財務
省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」平成22年第1号(通巻第99号)2010年2月

下図)のように‘インパルス法統関数’などの高等数学、線形(または非線形)はもとより離散
系数理手法を多用しこの複雑な経済現象の解明をエネルギッシュになされていることもまた現実
なのだ。


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