極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

糸切り餅と諸子の固有振動

2013年01月02日 | 日々草々

 

 


【急発進の初詣】

昨日は、快晴のなか母の初春の賀詞にさざ波苑へ行く。近くの天満神社の参拝打
診するが生きたくないというので彼女と二人だけで参拝する。境内には滋賀大学
経済学部の美術部の絵馬が所狭しと奉納されていたが、受験を控え親子らは真剣
な目差しで合格祈願している風景に遠い風景を重ね合わせていた。ところが、旧
い御札や絵馬を忘れたため、急遽、彼女が多賀神社へ参拝に行くと言い出した。
それならそれで早めに予定を入れなきゃと思いつつ、マイピーシーの作業途中な
もので苛ついてしまう。19日に茂木健一の講演があるので、その予約やホームペ
ージの更新やらの作業速度のアクセルを踏むこととなる。あっと、斉藤さんから
年始メールが届き開封するその中に家族写真が同封されていたが、これまた驚い
て彼女にもみせる。要するに美男美女で息子さんはジャニーズ系と揃いも揃った
りというわけだ。




多賀大社は五年ぶりだと記憶しているが、その帰り、糸切り餅を買って帰りたい
というので、店でそれと本諸子の甘露煮を買うことに。多賀糸切餅は、あんこを
包んだ長い棒状のお餅を糸で短く切ったもので、赤青3本の糸状の模様が入って
参詣の土産としてはもちろん、これを目当てに県外から来る人も多い。鎌倉時代、
元寇(1281)の戦勝記念に作られたとのいわれのある餅だが、江戸末期、子供の延
命と幸せを祈り創られたという説もある。そんことで午前中の外出を終了させ、
作業を続けるのだが、よせば良いの、朝一に見た日刊工業新聞の「海洋エネ開発
に無限の可能性-研究進む“海の力”活用」をみて、日本の造船業界が海洋開発
分野に力を入れるということを知り、本当は「プロジェクトファイナンス」を考
察を予定していたところを、急遽進路変更。とはいえ『サンデル教授の白熱教室』
の公開討論(テーマは何だったけ?市場経済と市場社会だったけ?)を見流しで
作業をすすめるが、いまどきの若い子は堂々と教授を交え流暢な英語で討論でき
るのだと感心しながら、わたしも機会さえあれば話せるんだがと、年甲斐もなく、
消えかけているチャレンジャー魂に火をつけたりしていた(わたしは昔から寝起
き前に、彼女(どの彼女?)と楽しいセックス直前の夢をみて目を覚ましたり、
流暢な英語?を喋りながら意識をグラゼーションさせ目覚めるという変な癖があ
るのだが、今朝は後者のパターンで目覚めたばかりだ)。

【波力発電の実力は?】

さて、その波力発電だが、英国、ポルトガル、ノルウェーでは研究開発実績は、
下表に示すように浮体式洋上風力を含めた海洋エネルギーの実証機の実海域試験
の発電容量は着実に10年に10倍の速度で進んでいる。その潜在能力というと答え
に窮する。海洋エネルギーは占める割合は9%程度と決して高くないる。とはい
え、いろいろな予測があるが、平均的なものとしてトロント大学教授のダニー・
ハーヴェイは各種の仮定のもと、2050年の世界のエネルギー事情を次のように予
測している。

・6000-12000GWの風力エネルギー発電量
・6000-12000GWのCSTP(太陽熱)発電量
・3000-4000GWのBiPV(建材一体型太陽光発電)または、太陽光発電の発電量
・多少の地熱とバイオマス発電、および水力発電量の増加
・主要な再生可能エネルギー資源のある地域と主要な需要地域を相互接続する高
 圧直流送電施設

・想定された40年の耐用年数を超える既存の原子力発電所すべての廃炉

沖合浮体式洋上風力の拡大により波力発電、潮流発電の系統接続、施工、保守の
コストが劇的に低減し、グローバルな観点からは基幹の再生エネルギーは風力、
太陽熱が主体となり、その半分位の量の太陽光、そして多少の地熱とバイオマス
発電、それに加えて波力、潮流、温度差の海洋エネルギーとなるだろうと考えら
れる。一方国内の他の再生エネルギーとのコスト比較は、順調に実証試験が進め
ば2020年段階では他の再生エネルギーと比べて遜色ないコストとなると見積もら
れている。日本の周りの海洋エネルギーの近い将来利用可能な離岸距離30km、水
深100m以浅のポテンシャルは、欧米では水深100m以深の係留が現在の技術開発の
ターゲットであることを考えると、より深い水深のポテンシャルも今後の利用対
象であり、膨大なエネルギー資源が日本の周りに存在しているが、国際競争では
むしろ後発であり、他の多くの再生エネルギーと同様に海洋エネルギーでも国際
競争力のある技術開発が肝となる。海洋エネルギーの種類、その中のシステムの
どの部分に集中して技術開発を行うかについて細かく取捨選択し、戦略的に集中
した研究開発投資が大切であることはいうまでもない。


さて、その原理をみてみよう、波浪エネルギー利用技術の現在の主流は、下図に
示す振動水柱(oscillating water column、略してOWC)型だ。この方式では、水柱の
往復運動により発生する往復気流を、空気タービンと発電機によって電気エネル
ギーに変換する.振動水柱型の代表例としては,2000年に世界初の商用波力発電
所として英国・スコットランドで操業開始したリンペット,海洋科学技術センタ
ーのマイティ・ホエール,そしてEUの支援の下で開発が行われているポルトガル・
ピコ島の波力発電所などがる。振動水柱型波力発電は構造が極めて簡素な上、波
とタービンとの間に空気を介してエネルギー変換のため海象異常時の構造物への
対策が比較的容易に行えるいうもの。 

振動水柱型波力発電では、2次変換装置として往復気流中でも常に同一方向に回
転する特殊なタービンがしばしば使用され。現在、波力発電用往復流型タービン
として世界の主流であるウエルズタービンと衝動型タービンがある。下図はウエ
ルズタービンで、
ウエルズタービンは、図に示すようにハブに対称翼を取付角0°
で取付けただけの単純構造を有する往復流型タービンで、現時点では波力タービ
ンとして世界の主流となっている。ウエルズタービンの前後に案内羽根を設置し
たものが採用されているが、ウエルズタービンは,在来のタービンに比べて効率
が低く、原理上動翼の周速が大きいので高出力の場合、強度,保守および騒音に
難点があり、本タービンが反動型であるため、流れの状態によっては動翼に失速
し、エネルギーが効率よくないといわれる。

また、衝動型タービンは、高効率、低速化を実現するタービンとして、下図に示
す自己可変ピッチ案内羽根を有する衝動タービンが開発されている。この波力発
電用衝動タービンは,往復流において作動するように動翼前後に案内羽根を設け
てある。
案内羽根はピボット回りに設定取付角の差(θ2θ1)の範囲で自由に
回転できる.波による往復気流により,自動的にピッチング運動ができるように、
ピボット位置は案内羽根の動翼側にある。上流側と下流側の案内羽根は、往復流
において軸流速度が小さい間に反転してそれぞれ所定の取付け角θ1θ2に設定
され、軸流速度が大きくなるとタービン作用を行う。

 

タービンでは案内羽根が回転する機構を有するため、可動部の保守という点でや
や不安で、この欠点を克服するため,現在ではさらに固定案内羽根付衝動タービ
]が提案されている。衝動型タービンは、低速回転で高効率が得られるという
利点を有するため、ウエルズタービンに替わる波力タービンとして注目されてい
る。入力波浪パワーPwに対する出力Poがウエルズタービンの2倍以上に達するこ
とされているという。

【符号の説明】

1 ハブ(hub,根元部)  2 前縁円筒または前縁曲板  3 羽根平  4 軸孔  5 留めネジ孔
6 円筒留めネジ

ところで、沖縄大学の研究グループは、従来のウエルズタービに、羽根板の前縁
に円筒などの丸みの付加し、静止時から定常回転までの起動時間を大幅に短縮し、
停止時の軸負荷トルクが大きくでき、低中回転数域でも回転を持続できる性能を
有し作動範囲が広くできるように改良している。因みに、従来型より起動時間は、
45秒とかなり長く、一方、発明のタービンの起動時間は、5秒程度とかなり短
くほぼ1/9だという
(特開2012-241705 曲板または円
筒を前縁とする平板羽根
の軸流タービン風車)。いまはコンピュータシミュレーション技術が普及し開発
改良速度が速くなり、総合的なより緻密な研究がなされてきている。


【固有振動自動調節機能付き波動発電装置】


【符号の説明】

1 波力発電装置 2 浮体 3 振動体 4 バネ 6 付加質量体 7 水面 8
発電機 10 突出体 15 水収容部 19 ポンプ

波力発電装置としては、二つの物体を上下方向に互いに相対運動させて発電機を
を駆動するものが一般的だが、波周期に合わせて振動体の質量およびバネが選定
されるが、浮体はその固有周期が波周期よりも大きい場合には浮体が動揺しない
ので、浮体の固有周期を設計波周期よりも小さくするように設計されるが、実海
域の波周期は主として3~10秒程度まで幅広く変化し、場合により浮体の固有
周期よりも実海域の波周期が大幅に大きくなり、浮体が効果的に動揺せずに波力
発電装置の設備利用率が低下してしまうという問題があった。
上図の浮力発電装
置は、浮体の質量mb、浮体の付加水質量mbaおよび浮体の浮力バネ係数kbの少
なくともいずれか1つが調整可能とされているので、変化する実海域の波周期に
応じ、浮体が動揺するように浮体の固有周波数を調整することができ、波力発電
装置の設備利用率を向上きる。その原理は、水面の変動すなわち波周期に応じて
浮体が揺れ、この浮体の揺れに基づいて内部の振動体が往復直線運動を行い、こ
の往復直線運動に基づいて発電機を駆動し発電を行う。浮体の固有周波数fnは、
浮体の質量をmb、浮体の付加水質量をmba、浮体の浮力バネ係数をkbとした場合、
上式(1)から求められる。
 

この宇宙に存在するものすべて固有振動をもつ。そうもう一度強く思い定めた瞬
間、
またひとつ、わからないものが生じた。年齢を重ねれば重ねただけ分からな
いものが増えている気がする。「門松や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり
めでたくもなし」とは、実はなにも分からぬままに死を迎えると詠ったのではな
いかとそんなことをふと考えさせる作業を終えた。
 

※吉本隆明は<死>とは他者が決めるものと定義していた。

コメント
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