極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

蜜柑の皮の世界

2013年01月16日 | 日々草々

 

 


【ミカンの皮パワー】

彼女は絶賛する。ミカンの皮をグリルの受け皿入れることで焼き魚を消臭でき、油汚れも水洗いで
簡単に取り除けて大変便利だと喜んでいる。へぇ~そうなんだ。それじゃ洗剤もいらず一石三鳥じ
ゃないかと情報源を聞くと、お友達情報だという(これは個人情報で秘密?!)。みかんの皮に含
まれる天然の油に、上図の成分が、掃除に役立つのだが、今注目されているのはなぜだろう疑問に
思いこれまた早速ネット検索。みかんの酸味の元のクエン酸は、
水垢、石鹸汚れやトイレの尿など
のアルカリ性の汚れを落とす効果があり、有機酸のため除菌、消臭効果がある。また、リモネンは
みかんの外皮に多く含まれ油を分解する作用があり、ガスレンジなどの油汚れを落とすのに効果が
ある。また、ペプチンはミカンの白いすじなどに含まれ、コーティング作用があり、シンクやフロ
ーリングの表面にツヤを出し、ピカピカにする効果がある。従って、ミカンの皮で家庭でも簡単に
マイクリーナーをつくることができる。ネット情報のコピペすると、①水400ccに対し、みかんの
皮4個分をちぎって鍋に入れ、火にかけ→②煮立ったら弱火にし、15分くらい煮る→③冷めたら、
ザルでこして出来上がるという。





成分としては、これ以外に漢方の陳皮の原料だから、医薬品成分のヘスペリジン、ルチンなどフラ
ボン配糖体が含まれて、血圧降下作用もあり、漢方では芳香性健胃、鎮咳薬として、食欲不振、嘔
吐、疼痛などに対して用いられ、外皮を陰干しして乾燥させ、1年以上たったものが生薬として利
用されてきた。つまり捨てるところがないのだ、ミカンは!そこで、もう少しミカンの皮の世界を
覗いてみることとしよう。まず、生薬効能のポリメトキシフラボン類。つまり、脂肪細胞に対する
作用(分化誘導促進やアディポネクチン増加など)、脂質代謝改善、血糖値上昇抑制、血圧上昇抑
制について。とくに、内臓脂肪の蓄積は肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症といったメタボリックシ

ンドロームの要因になる脂肪組織の肥大した脂肪細胞はメタボリックシンドロームを進行させるが、
小型の脂肪細胞は逆にそれを防ぐ物質が分泌される。したがって、肥満を解消するには脂肪の分解
を促すか、分化を促進して小型の脂肪細胞を増やすが重要とされ、脂肪分解の促進といった脂肪細
胞機能を調節するミカン由来成分の効能が確認されている(「かんきつ成分ノビレチンは脂肪細胞
の分化と脂肪細胞中の脂肪分解を促進する」、農研機構)。 
 
 



さて、その、ポリメトキシフラボン類はどのような手段で抽出した方が良いのだろうか?従来から
下記一般式の構造式で表されるポリメトキシフラボン類は、みかん属植物、すなわち柑橘類の果
に多く含まれている。
特にノビレチン(上記式(I)でR1、R2、R3、R4、及びR5の全てがメトキ
シ基)に関しては、発ガン抑制作用等の生理活性が明らかにされている物質だが、食品の分野でも、
呈味改善剤や、香味劣化抑制剤など様々な有用な効果が見出されている。また、
油にはポリメト
キシフラボン類以外に、多種多様な数多くの成分が含まれ、例えば、テルペン類等の炭化水素化合物、ア
ルデヒド、エステル等のカルボニル化合物、アルコール類等の揮発性成分および通常の条件では揮発しな
いワックス類、カロテノイド色素等の不揮発性成分が含まれ、簡便な方法で分離することは困難とされてい
た。
 
特開2010-037317
 
つまり、従来はメタノール、エタノールやクロロホルム等の有機溶剤を用いて加熱抽出する方法や
超臨界流体溶媒を用いて抽出する方法などあるが原料由来のリモネン、リナロール、ゲラニオール、
ネロール、α-タピネオール、シトラール等の炭化水素化合物類、カルボニル化合物類、エステル
類、アルコール類、香気成分、カロチノイド等の色素成分は効率よく回収できなかった(アルコー
ル溶液から溶媒を留去した場合、メトキシフラボン類組成物は飴状に固化してしまう)。「特開20
10-037317 ポリメトキシフラボン類の製造方法」では、原材料のみかん属植物のスイートオレン
ジ(Citrus sinensis)、サワーオレンジ(Citrus aurantium)、タンジェリン(Citrus reticlata Blanco var.
tangerine
)、マンダリン(Citrus reticlata Blanco var. mandarin)、シイクワシャー(Citrus depressa H-
ayata
)として、第一の揮発性成分の蒸留による除去工程が圧力1~百Paかつ温度120~220℃の条件
であり、第二の薄膜減圧蒸留装置での蒸留工程が圧力0.4~2Paかつ温度190~260℃の条件下の
製造方法が提案されている。尤も、こんなものは家庭でつくることは現実的でない。つくれと言え
ばつくれなくはないが無駄だろ。地産地消型のプラントならわたしたちの仲間内で実現できなくは
ないが、要はモチベーションとインセンティブ次第だ。


このほかに効能で言えば、抗アレルギー剤(副作用が生じず、安全なIL-12又はIL-2産生
促進剤及びIL-4産生抑制剤)、目尻、額、口元などの膚の形成を抑制する伸展刺激介在メラ
ニン生成抑制剤、繊維芽細胞増殖促進効果などの膚外用剤、膚化粧料、保湿剤、管内増殖因
子産生促進剤、毛乳頭細胞増殖促進剤、膚の角層剥離の促進剤など広範にわたる。

 

 

世界では陸上風力から洋上風カヘの展開が進んでいる。ほぼ全てが着床型と呼ばれる海底に杭打ち
するなど、固定式の風力発電だ。一方、日本では洋上風力は緒についたばかりである。震災後突如
として、浮体式洋上風力発電という海に風車を浮かべる方式が脚光を集めだしている。世界的には
珍しい方法だが日本に導入定着するのかどうか懸念されている。着床式洋上風力は、水深が浅くな
いと建設コストが高くなってしまう。故に日本では遠浅の海が少なく、すぐ水深が深くなることか
ら着床式ができるエリアは限定される。そこで注目されるのが、風車を海に浮かべる浮体式洋上風
力だ(なお、浮体式といっても海底ケーブルでの接続もあるので、移動できないように繋留される)。
この技術で実際に商用機を用いて実験しているのはノルウェーStatoil社が2009年に設置したSiemens
2.3MW
商用機によるスパー式浮体構造のHywind、ポルトガルPED社らが2011年に設置したvestas 2M
W
商用機によるセミサブ型浮体式の2例。順調に稼働しているが問題はコスト高。日本の洋上風力
のポテンシャルを見れば、水深の深いエリアに適地が多いことから浮体式の役割は大きい。洋上風
力は世界的にコストが高く、ドイツなどは洋上風力の買取価格を高くしているものの、メガソーラー

を含む太陽光の買取価格が急落し、洋上風力への風当たりは強くなり発電コストが問題を抱えてい
が、もとものと、着床式より浮体式は設置コストが割高だ。福島沖の浮体式洋上風力発電の実証
実験は、将来の福島復興の名目で、実証研究の後にさらに100kWの設置検討に入っている。ところ
が 平均風速 7.4 m/s
程度と風速としては世界的に相当低い。浮体式洋上風力の成功は、日本の風力
関係者の総力と本気度が試されているという(参考@「環境ビジネス」2013.spring)。このような状
況では、よほどしっかりとした試用実行計画を立てなければならないだろう(選択と集中)。
 
     

 
 
今夜は2つのことを考えていた。1つは、量子ドット太陽電池の製造方法で表面プラズモン共鳴す
る波長の光が照射されると局在表面プラズモン共鳴により、微粒子の周囲に増強された強い電界(
近接場光)が発生するが、13年前にこの近接場光に着目し大津元一現東大教授の著書(上図)を購
読したことを思い出していた。つまりナノスケールの製造技術には近接場光は欠かせない。いまで
はナノフォト
ニクスという言葉がすっかり定着したが、その当時は目新しいものであった。その大
津教授が3つの
U (Universal=普遍、Unique=独自、Ultimate=究極)に当てはまる研究テーマを絶
えず追求してこ
られたいう(近接場光の発生と応用、すなわちナノ・フォトニクスの先駆的な研究
を始めたのはこ
の追求の成果だと)。ところで、昨夜に偶然に、たまたま「牛の目玉」で賢兄石井
智幸とのエピソードを掲載したが、今日がその命日の三回忌であることをすっかり忘れていたのだ。
偶然とはいえ鳥肌が立つような感覚に身廻われる。そう、運命とか、宿命とかというもの感じた。
そんなことを考えていたが、彼は企業内労働組合の書記長、支部長、委員長を長く勤め後、定年ま
で高齢者の社内事業会社の社長を勤める。十数年前のその当時、近況報告の思い出が蘇った。つま
り、未来の仕事を考え発展させるに、有機EL、燃料電池などの新規事業立ち上げ調査中のわたし
と、今ある高齢組合員の仕事づくりの彼との相互理解という点で、妙なズレを生じたという二度目
の経験をした。というのもそれほどまで、交わす言葉は、さながら二人で宙を自在に飛び交うよう
なもので徒手空拳なわたしへの励しというものとは違った。違ったと言えど、そのことは想定内で
あり問題ないのだが、寧ろ、怪我の後遺症の影響かと気遣かわせるものとして心に残っている。近
接場光ナノフォトニクスの仕事が本格化しつつあり、これからひとりで頑張らなければならないな
らないのだ。「ほら、石やん言ってた通りなったやろ」「そうやなぁ、大ちゃん」と、元気であれ
ば、また二人で宙を自在に飛び交うかのような会話ができたものを、已んぬる哉。

コメント
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