A Challenge To Fate

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【勝手に翻訳】内気なアイドル「でんぱ組.inc」はヲタクパワーでJ-POPを革命する。

2014年08月24日 02時58分53秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


J-POPの六人組はヲタク連中の為、そして総てのボッチの為に音楽を作る。

MTV Iggy
2014年8月21日
Words by Daniel Robson(ダニエル・ロブソン)

フェスティバルの名前に「ロック」と謳っているが、ステージ上のグループはどう見てもロックバンドではない。区別し易いように色違いの衣装を着た6人の若い女の子が、見事な振付けで踊り、甲高いMCで聴衆にアピールしながら、ユニゾンでJ-POPを歌っている。でんぱ組.incがロックバンドじゃないのは確かだが、かと言って標準的なポップアイドルグループでもない。

「このフェスには去年出演し、今年もまた呼んでいただきました。だから、私たちにはロックフェスに相応しい何かがあるんだと思います。」Rock In Japanフェスティバルのライヴ前の楽屋でブルー担当の藤咲”ピンキー”彩音が話す。彼女は間違っていない。何故なら、作られたポップグループであるにも拘らず、でんぱ組には「本当の」音楽を好むファン層に固定ファンがいるのだから。



その理由のひとつは彼らの曲が本当の音楽だからである。福嶋”もふく”麻衣子のプロデュースの元で、でんぱ組は、非常識なごちゃ混ぜスタイルと、アッパー過ぎる合成プログラムビートと、安っぽいシンセと歪んだギターリフと、伝統的な歌謡曲と、超緻密なプロダクションをすべて備えている。日本のメインストリーム・ロックが今まで以上に保守的になっていく一方で、でんぱ組のサウンドは、カオスな振付けと合わせて、すべてを歓びと創造性の爆発へと導くエキセントリック性に貫かれており、まさに正しいバカ騒ぎと言えるのである。

しかし、でんぱ組がロックと上手くクロスオーバーするもうひとつの理由は、メンバーが、あなたが好きな感受性の強いロックスターと同じく、ダークで孤独な場所からやってきたことである。ピンキー、夢眠ねむ(ミントグリーン)、相沢梨紗(白)、最上もが(紫)、成瀬瑛美(イエロー)、古川未鈴(赤)の6人は東京・秋葉原で出会った。そこはヲタク(妄想狂)がアニメ、漫画、ビデオゲーム、メイドカフェ、アイドルグループなどへの尽きない愛を永遠に追求出来る聖地である。メンバー自身がヲタクであり、それぞれ自分だけの孤独な趣味を持ち、メンバーのうち二人は部屋から出て外の世界に直面することを恐れる引きこもり(shut-ins)だったことを告白している。ディアステージというイベントバーででんぱ組.incを結成したことが、彼女たちが自分の殻から外へ出る理由を与えたのである。

音楽フェスほど外部に向かって開かれた場所はない。未鈴は認める「内気な人間は、周りにこんなに多くの人がいる場所が苦手なのです。」元引きこもりであり、私が特に彼女に向けて質問をしない限りインタビュー中ひと言も口をきかないほどの、グループで最も内気なメンバーであるもがは、ショーの前はいつも神経質になり、その為に中国の薬に頼っていると言う。「野外フェスは何よりもボクを神経質にさせます。一日中周りから音楽が聴こえてくるので、自分のショーが近づいていることを過剰に意識するからです」と語る。

World Wide Dempaの略である「W.W.D.」という2013年の大胆なシングルで(ちなみに「でんぱ」は放送用電波、「組」はグループの意味)、メンバーは順番に、キュートなアニメ声で、どうやって自分の問題を克服したのかを歌った。オンラインゲームや無限のアニメ愛好など破滅的な中毒を乗り越えて、一緒に立ち上がって世界を目指す、という含みもある。それは肯定的なメッセージであると同時に、ユーモラスな一撃でもあり、自分が世の中にフィットしない、と感じたことがある人なら誰もが納得する魅惑的な組み合わせである。



つまり、内気さは、特に非主流派サブカルチャーのファンにとっては、グループの大きな魅力なのである。。それはまた、アメリカ合衆国やアジア地区の志を同じくするファンの為に定期的に公演するグループにとって、容易く共感を得られる資質でもある。

「アメリカでのサイン会でファンと話した時、ボッチと思われている日本のヲタクは少なくとも他のヲタク連中と付き合えるけれど、アメリカではボッチは本当に孤独なんだ、ということに気付きました」とねむは言う。「彼らはオンラインで友達を見つけるか、遠く日本まで来て何処か自分が所属出来る場所を探すかするしかありません。だから、そんな人たちは、私たちのショーに来て一緒に歌うことで、多少の慰みを得られると思います。」

この世界に通じる魅力は、彼女たちの音楽とイメージに反映されている。例えば、最新シングル「ちゅるりちゅるりら」とそのビデオには、侍・忍者・温泉・巨大モンスター・古風なビデオゲーム・着物など、長年の日本の象徴的イメージの雑多な要素をブレンドして、文化的アイデンティティの感覚を伝えている。



「海外からのツアーのオファーがたくさんありますし、私たちの曲には『でんぱれーどJAPAN』や『サクラあっぱれーしょん』といった、現代日本を要約するような言葉を持ったタイトルがあります」と梨紗が言う。「海外の、侍など日本文化のファンは、そんなテーマを歌うアイドルグループに興味を持ってくれると思います。」

「私たちがやっていることとアニメやビデオゲームなどの世界には共通するリンクがたくさん有ります。だから現代日本文化の感覚を伝え易いのです」とねむが付け加える。

「ちゅるりちゅるりら」はカップヌードルのコマーシャルに使われた。あまりにも日本らしい商品なので、一種のパスポートになるかもしれない。

「私たちはみんなカップヌードルが好きなので、こんなに日本に密接に関連する商品とコラボできて幸せです」とねむ。

「ヲタクもカップヌードルが好きなんです。だってビデオゲームを中断しないですぐに作れるから」と梨紗は笑う。「お湯を注ぐだけで食事の出来上がり。」

でんぱ組は2013年8月にアメリカを訪れ、カリフォルニア州サンタクララでのジャパンエキスポUSAに出演した。大きな通りから膨大な量の食事まで、アメリカでは何もかもが如何に大きかったかが、冗談の種になっている。

「ジャパンエキスポで会ったファンがセーラームーンに似てるって言ってくれたんです」と瑛美がくすくす笑う。「私はずっとセーラームーンが大好きだったから、とても興奮しました。」

もしあなたがロックファンで、まだこのアイドルグループが自分を魅了することが納得出来ないなら、彼らの2012年のビースティ・ボーイズの「Sabotge」のカバーを聴いてみたまえ。「アンタらに言ってやろうか、破壊活動(サボタージュ)だぜ!」と金切り生声で絶叫した直後に、一転してポップなシンセトラックに切り替わり、楽しそうに「ウーフー!」と叫ぶ。狂ったビースティーズのオリジナルに忠実なのに、別モノの独創的な何かに変わっている。

「オリジナルをリスペクトすると共に、正真正銘でんぱ組.incの曲と言えるバージョンにする必要があったんです。だから真っ向から挑戦して私たちのすべてを注ぎ込みました」とピンキー。「ビースティ・ボーイズのファンも気に入ってくれたみたいで、とても嬉しいです。」

ロックバンド?アイドルグループ?それともその間の何処か?。。なぜわざわざカテゴライズしようとするのか?でんぱ組.incは、あなたがポップチャートに感じるのと同じくらい楽しいし、どんなファンでも大歓迎してくれる。

万国の
ボッチとヲタクは
連帯せよ

訳注)表題:Shy Idols Dempagumi.inc Nerd Out(*), Break the J-pop Mold
*Nerdは「仕事にばかり熱中していて社会性のない(つまらない)人」という意味から転じて「無能な人、まぬけ、ダサイ奴、ヲタク」という意味。「Nerd Out」は「猛勉強をする」という意味でもある。

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