地下アイドルへの招待
第 13回: 2018 年地下アイドル総決算
第 13回: 2018 年地下アイドル総決算
DJ Necronomicon ネクロノミコン(aka 剛田武)
これまで 12 回にわたり地下アイドル計 26 組を紹介してきたが、新陳代謝の激しいアイドル現場に振り回されて、時の過ぎゆくままに推し増しを続けていては時間も金も精力も尽き果てて、枯れ木のように朽ち果てる運命が見えてくる。時には立ち止まって、“推しごと納め”をせねばなるまい。ちょうど世の中は街が華やぐクリスマスも過ぎ、1年の総決算の大晦日から1年の計が有ると言われるお正月に突入中。荒れ放題のハロウィンに倣ってニューイヤーイヴを渋谷のスクランブル交差点の雑踏の中で過ごすと言う愚の骨頂をテレビで嘲笑いながら、ノンアルビールに酔っぱらい除夜の鐘を聞き逃す愚行を冒した2日前の記憶も遠く、夜更け過ぎに雪へと変わるはずの雨も降らない三賀日はひとりボッチのベッドの中で微睡ながら推しの数を数えてみるのも悪くない。(アルファベット順)
●爆裂女子-Burst Girl-
2019 年 1 月 7 日にデビュー1周年を迎える暴れまくりのパンクロックアイドル爆女こそ、筆者が最も激しく推すアイドルグループである。リリースは会場限定CD シングル 1 枚のみだが、既にLP なら 2 枚組分のレパートリーを持っており、パンクだけに収まらないバラエティを垣間見せる。しかしながら爆女こそ音や映像パッケージではなく、ライブ現場で体験すべきライヴアイドルの急先鋒であり、デジタルやバーチャルの限界を明らかにする試金石に他ならない。Entertainment Through Pain(痛みを通した娯楽)というスロッビング・グリッスルのタイトルは爆女にこそ相応しい。
爆裂女子-BURST GIRL-/ナンシー【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
●HAMIDASYSTEM
デビュー2 周年を迎えたばかりのメロディック・エレクトロニカ 4 人組ハミシスは 2 枚のミニアルバムをリリース。最新の『歪んだ鉛筆は誰かに折られないために』は”物語プロジェクト“として 4 人のメンバーそれぞれを主人公にしたオリジナル小説とビデオを作成し、音楽・映像・言葉三位一体のハミシスワールドを創造した。その成果は2018年12 月 17,18 日連続で開催されたワンマンライヴ『黄昏の君/黎明の貴方』にて舞台上で披露された。2019 年には着座の会場でのライブが開催されるという。はみ出す勇気で臨む新展開が楽しみ。
HAMIDASYSTEM - 行方 (Official Music Video)
●Maison book girl
結成 5 年目のニューエイジポップユニット、ブクガは昨年 11 月に 3rdアルバム『yume』をリリース。初めて聴いたときの変拍子とミニマリズムの衝撃はお洒落スタイルのオブラードに包まれて殊更意識することはなくなったが、言葉とサウンドの繰り返しが生む既視感は、1950 年代の SF の過ぎた未来を追体験するような捻じれた快感を与えてくれる。12/16 に着座のホールで開催されたワンマン公演は、音だけでは捉えられない『yume』の体験アトラクションとして、アイドルライブの新境地を感じさせた。1月17日に灰野敬二とコラボを果たすコショージメグミのポエトリー活動にも期待したい。
Maison book girl / 夢 / MV
●NECRONOMIDOL
ブクガと同じく結成 5 年目に突入した暗黒系アイドルユニット、ネクロ魔は昨年9 月に 3rd フルアルバム『VOIDHYMN』をリリース。デビュー以来のブラックメタル、ダークウェイヴの陰鬱感に加え、ヘヴィメタルやゴシックロックのエモーションを注入した独自の世界を拡大させた。4 回の海外ツアーを敢行、特に 10 月の H.P.ラブクラフト・フィルム・フェスティバルへの出演は、結成以来のクトゥルフ神話へのオマージュが公式に認められた証であった。確実に世界に爪痕を残した侭で初期メンバー2 名が卒業を発表。2019 年1月13日から新体制で新たな地平を目指す。
NECRONOMIDOL - STRANGE AEONS Music Video
●xoxo(Kiss&Hug) EXTREME
デビュー2周年を迎えたプログレッシヴアイドル、キスエクは2018年6月に全国流通盤『The Last Seven Minutes』、7月に『組曲「革命」』、10月にMELLOW GREEN WONDERとのコラボシングル『ν-Romantica』をリリース。キラキラ系からラウド系、さらに本格プログレバンドまで対バンを問わないフレキシブルなライヴ活動を通じて、プログレッシヴロックとアイドルポップの融合という斬新なコンセプトを定着させてきた。複雑な曲を満面のアイドルスマイルで軽々こなす四人のメンバーの癒しパワーで、偏屈なロック/プログレ界隈を革命して欲しい。
イロノナイセカイ / xoxo(Kiss&Hug) EXTREME 2018.10.6 吉祥寺シルバーエレファント
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2周年を迎えたシューゲイザーアイドル、ドッツ東京は4回に亘るワンマンライヴや10回以上の定期公演と精力的に活動したが、9月にメンバー二人が脱退し3人組になった。以降メンバー増強すること無くトリオとして活動続行。不可解なコンセプトは相変わらずだが、メンバーの努力や健気さが明確に発揮され、人間らしいグループに見えてきた。あたかも妖怪人間ベムが人間になったように。2019年の動きが読めないが、良きにせよ悪しきにせよ何か大きな変化が起こるような気がしてならない。現在コットンと呼ばれる推しメンのノイズ活動はどうなるのだろうか。
20180818 「ねぇ」LIVE映像 ( tipToe. ・・・・・・・・・ TWOMAN「Tokyo Sentimental」@渋谷WWW )
2019年
新アイドルとも
出会いたい
▼何はともあれココからスタート