昨年度筆者の地下アイドル観察は新たな局面に入り『地下アイドルへの招待』『Extreme Music From Japan〜ジャパノイズと地下アイドル』『Meet the Underground Music〜ネクロ魔瑳里ちゃんの地下アイドルへの招待』など、多くのアイドル妄想論を著した。その一方で、筆者の妄想の師匠であり、一生涯妄想することを誓ったでんぱ組.incのえいたそ☆成瀬瑛美さんをテーマにした妄想論『えいたそモダニズム』の執筆ペースがスローになったことを指摘する読者も多いだろう。しかしこれは筆者の嗜好の変化や心変わりによる「推し変・他界」ではない。
大きな理由はえいたそ本人の成長である。2017年末に新メンバーを迎え7人組になったでんぱ組は、2018年は順調に活動を行ってきた。若い新メンバー2名を見守る年長メンバーの中でも、えいたそが持ち前のポジティブな明るさでグループのパワーの原動力になっていることを感じる。金髪の最上もがの脱退で、ひとり茶髪のえいたそが特に目立つようになったこととも無関係ではないだろう。しかし昨年末に「スター☆トゥインクルプリキュア」の声優キャストに選出されたことが発表され、夢眠ねむの卒業で意気消沈気味だったでんぱ界隈に大きな慶びをもたらしたことは、彼女の努力の賜物であり、大いなる成長の証である。一介のヲタクに過ぎない筆者としては、順調に夢を実現させていく彼女に、戯けた妄想ばかりしていては申し訳ないと、心のどこかで遠慮していたのかもしれない。
⇒成瀬瑛美「プリキュア」新作のメインキャストに抜擢「夢のようで幸せ過ぎます!」
その一方でえいたそは大丈夫だから、もっと手間のかかる地下アイドルの推しメン:都子(爆裂女子)/瑳里(ネクロ魔)/KOYAMA FLAME(ハミシス)/楠 芽瑠(キスエク)/コットン(ドッツ東京)etc.の面倒を見るべきだ、と高を括っていたことも事実。地下現場に通い詰めるあまり、でんぱ組の情報チェックが疎かになり、リリースやイベント、メディア露出のフォローが足りなくなったことも確かである。
1月1日リリースのニュー・アルバム『ワレワレハデンパグミインクダ』はファンクラブでんぱとう限定スペシャルパッケージを購入したが、お菓子の缶のような形状に気後れして、正月三が日は手も付けず神棚に飾っていた。昨夜やっと封を開け、CDを聴いてみたところ、これがまた素晴らしく良い。最近のステージで展開される「カオスを混沌のママでパワーに転化する」超スピーディーなサウンドパノラマが繰り広げられ、地下vs地上/マイナーvsメジャー/前衛vsポップ/陰vs陽の二元論の垣根を吹き飛ばす解放感に満ちている。何よりもメンバーの歌声に溢れる無限大の喜びが、聴き手の心と身体を歓喜の嵐に巻き込むのである。
武道館公演『JOYSOUND presents でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館 ワレワレハデンパグミインクダ ~宇宙からの帰還~ supported by VILLAGE VANGUARD』を間近に控え、気持ちも新たに妄想論『えいたそモダニズム』執筆に挑む覚悟を決めた。
【えいたそモダニズム】Episode22『学園トゥインクル』
2018年11月17日(土)東京 TOC有明コンベンションホール
でんぱ組.inc「プレシャスサマー!」リリース記念2ショットチェキ撮影会
9月30日(日)に実施予定だったが、台風24号の影響により延期になっていたシングル・リリイベの振替イベント。12時からの第1部の2ショットチェキ撮影会の衣装は惑星セーラー服なので、10月12日の爆裂女子都子生誕祭の為にヤフオクで購入した学ランを着て行った。セーラー服コスプレは多いが、学生服姿はゼロの現場はアウェー感たっぷりだが、都子ちゃんや爆団(爆裂女子のファンの総称)から似合うと褒められた晴れ姿に迷いは無い。いつも以上にドキドキしながらえいたその前に出ると「わあい、学生服♥」と喜んでくれた。ブログをネットで読んでいると言われて舞い上がって次のお題を尋ねるのを忘れかけたが、えいたその方から『学園』でどうかな?と言ってくれた。
「たくさんあるよね」と言われて「大丈夫」と応えたが、探してみると「学園」をタイトルにした曲は余り無い。そこで瑛美さんのJK時代の姿を妄想しながら『学園あるある』的な楽曲をピックアップした。この曲を聴くことで、自分と瑛美が学生時代に出会ったとしたら、どんなラブロマンスが生まれるか、妄想していただければ幸いである。
●でんぱ組.inc『白魔女学園』
『白魔女学園』(Innocent Lilies)は2013年9月21日(土)公開のでんぱ組.inc主演のドラマ。仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズを制作しているテレビ朝日と東映が制作している。2015年、シリーズ第2弾『白魔女学園 オワリトハジマリ』(Innocent Lilies: the end and the beginning)が劇場公開された。
でんぱ組は初期からセーラー服を衣装にしているが、具体的に『学園』を標榜したのはこの映画からである。学校を舞台にした少女たちのバトルは、メンバーが子供の頃から馴染んできた設定であり、それを実演できることは妄想女子の夢であろう。特に田舎でアニメ漫画に憧れて育ったえいたそにとっては、たとえ汚れキャラであってもこの映画が夢の第一歩だったことは間違いない。
【予告】「白魔女学園 オワリトハジマリ」60秒ver.
●フィンガー5『学園天国』
1974年3月5日に発売されたフィンガー5の5枚目のシングル。累計売上は105万枚を記録。オリコンシングルチャート最高位は第2位。「個人授業」「恋のダイヤル6700」に続き、学校生活がテーマ。
当時10歳だった筆者はこの曲で「学園」という洒落た言葉を初めて知った。同い年の末っ子・妙子とひとつ上の丸めがねの晃は、キラキラ輝いて同じ日本人とは思えなかった。テレビ漫画の「リボンの騎士」や「キャンディキャンディ」と同じ香りがした。一方とことん日本人的な暗さのある「タイガーマスク」や「どろろ」も好きだった。
学園天国
●福山雅治『トモエ学園』
福山雅治の配信限定シングル。2017年12月1日リリース。黒柳徹子の半生を描いたテレビ朝日系列ドラマ「トットちゃん!」主題歌。タイトルは黒柳の母校であるトモエ学園に由来する。
他人の学生時代の歌を書くことは、筆者のえいたそ妄想に似て、事実以上のファンタジーを加味しなければ意味がない。「黒柳さんの人生を描くところからスタートし、その中で、『自由』『幸せ』とは、特に『自由』とはどういうことかを自身に問いかけました」「楽曲の中で描いた『自由』とは、すべての個性を肯定すること」と語る福山は筆者以上に真面目な妄想家のようだ。
福山雅治 - トモエ学園
●ラモーンズ『ロックンロール・ハイスクール』
パンクロック・グループ、ラモーンズが同名映画の為に書き下ろしたナンバー。1979年6月リリース。映画にはラモーンズも出演している。
ロック撲滅運動を行う堅物教師に高校生がロックンロールで反抗するというストーリーは、50年代にビル・ヘイリーとコメッツが「ロック・アラウンド・ザ・クロック」をヒットさせた映画『暴力教室』以来の学園+ロックの設定を踏襲している。掃除の時間に箒をギター代わりにバンドの真似をした経験はえいたそにもあるかもしれない。
Rock & Roll High School - The Ramones
●横浜銀蝿『ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編)』
横浜銀蝿、正式名称「THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL(TCR横浜銀蝿RS)」の2枚目のシングル。1981年1月12日発売。発売元はキングレコード。オリコン週間2位、年間15位。他に「試験編」もリリースされた
「ロックは不良の音楽」と日本で呼ばれたのは5〜60年代だというが、現在に至るまでその風潮は消えてはいない。特に暴走族や校内暴力が全盛だった80年代の不良=ツッパリはソリを入れたリーゼントが定番スタイル。それに対抗したパンクスもアナーキーをはじめとする不良スタイルだった。何故か筆者の周りにツッパリはいなかったが。
ツッパリ・ハイ・スクール・ロックン・ロール(登校編)
●シンディ・ローパー『ハイ・スクールはダンステリア』
「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」 (Girls Just Want to Have Fun) は、アメリカの女性歌手シンディ・ローパーのソロ歌手としての最初のメジャーシングル曲。1983年8月にリリースされ世界的なヒット曲になった。日本でのシングル発売時のタイトルは「ハイ・スクールはダンステリア」であったが、後に原題を片仮名表記したタイトルに修正された。
世界的にMTVがブームになり、洋楽ミュージックビデオがお茶の間でも流れるようになった80年代半ばを象徴するヒット曲。とにかくカラフルで陽気なイメージは、今で言えばパリピのようだが、当時の日本の女子にはなかった垢抜けた魅力を振りまいた。えいたその弾けたキャラの元祖はシンディ・ローパーかもしれない。
Cyndi Lauper - Girls Just Want To Have Fun (Official Video)
●E-girls『Highschool ♡ love』
E-girlsの11作目のシングル曲。2014年9月10日にrhythm zoneより発売された。オリコン週間2位、年間82位。Googleが発表したYouTube Rewind 2014の「2014年トップトレンド音楽動画(日本)」で13位を記録した。
E-girlsはアイドルなのか違うのか、未だにはっきり分からない。パフォーマンスの隙のなさや女子人気の高さはK-POPを彷彿させるし、何よりも地下アイドルの持つ「陰」の部分がまったく感じられない。E-girlsは高校のマドンナを目指すポジティブ女子の象徴なのであろう。弱き心を愛する筆者にとっては現時点ではOUT OF REACHである。
E-girls / Highschool ♡ love
●The Prettiots『Boys (I Dated In Highschool)』
ニューヨーク・ブルックリン出身、ローティーンの頃からユーチューバー、モデル、女優として活動していたカリスマ女子3人組プレティオッツの1stシングル。2015年に英ラフトレードじゃらリリースされた。
ウクレレ片手に「高校の頃付き合っていた男の子たち、見かけは大人っぽいけど中身は子供で我が侭、イザとなるとビビっちゃって可愛いの」と歌う女子目線のストーリーは、童貞を殺す○○が流行る日本でも同じだろう。悶々とした草食系男子だった筆者に比べ、漫画やアニメや同人誌から大人の世界を学んだ十代のえいたその知識は遥かに高かったに違いない。
The Prettiots-Boys (I Dated In Highschool) (Music Video)
●アリス・クーパー『スクールズ・アウト』
「スクールズ・アウト」(School's Out)は、アリス・クーパーが1972年に発表した楽曲。当時のバンド・メンバー5人の共作で、アルバム『スクールズ・アウト』からの先行シングルとしてリリースされた。「永遠の夏休み」をテーマに、クリスマスの朝と学校が休みに入る直前を「人生で最も偉大な3分間」と考え「その3分間を歌の中に捕らえられたら、凄いことになるだろうな」と考えた作ったという。
学校が休みになる夏休みの解放感は、学生じゃなきゃ味わえない。1ヶ月間、いやな仕事や嫌いな上司や仕事先の顔を見なくて済む休みが社会人にもあればいいのに、と思ったことは誰でもあるだろう。それが不可能だからこそ、俺は今日も推しメンに会いに行くのだ。つまりえいたそは<俺の夏休み>つまり『プレシャスサマー!』なのである。
Alice Cooper - School's Out (1972) HD 0815007
ヲタクには
アイドル現場が
夏休み
▼えいたそ=夏休み説
でんぱ組.inc「プレシャスサマー!」