A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【えいたそモダニズム】Episode 26『サザンクロスの力』ヒデキ/柳ジョージ/バンプ/ゴーイング/ペニシリン/制服向上委員会/CS&N/サバス/ソニックetc.

2019年04月26日 09時59分58秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


4月10日(水)渋谷 TSUTAYA O-EASTでのワンマンライヴ『我々はどこから来たのか? 我々はでんぱ組.incなのか、我々はどこへ行くのか 〜とりま東名阪〜』を観て、改めてでんぱ組そして成瀬瑛美が俺にとって如何に大きな存在であるかを実感した。地下/地上、マイナー/メジャー、キラキラ系/ラウド系といった二元論ではなく、ひとつの表現体(者)として唯一無二の世界を創造し、それを相手の心にダイレクトに伝えるべく芸を磨き上げ、ステージでは努力や苦労の跡を感じさせず輝く笑顔で世界を照らす彼女たちのすべてを無条件に受け入れる俺の志は、もはや宗教的なレベルに達しているのかもしれない。IDOL=偶像という言葉は崇拝の対象(偶像、イコンなど)を指し示す英語であり、語源は「見る」を意味するギリシャ語のιδειν(イデイン)で、ειδo?(エイドス、姿)、idola(イドラ、ラテン語、偶像)からidol(英語、偶像)へと転じていったという由来に照らせば、筆者のえいたそ崇拝こそ、古代ギリシャ文明のミロのヴィーナスを起源とする「アイドル原理主義」に則った在り方である。異端派を自認する筆者がひと回り半して正統派に転じる、人生腸捻転現象を身を以て体現した訳である。そして皮肉でも自嘲でも自虐でもなく、今こそ幸福のまっただ中を生きている実感が在る。そんなタイミングで女神=えいたそに直に会える滅多に無い機会が訪れた。



でんぱの神神DVD 神BOXビリイレブン 発売記念イベント
平成は終わるけど神神は終わらんよ! 令和直前!
平成振り返りゲーム大会&オリジナル特典お渡し会

2019年4月21日(日)12:30〜都内某所

恒例の神神イベント。歌も踊りもなく、ユルいゲームにメンバーが興じる様を見守るだけの現場だが、ライヴとは別の形ででんぱ組らしさが全開する神イベントである。1月7日にでんぱ組を卒業し一般人になった夢眠ねむがサブMCで登場、髪が伸びて大人っぽくなったがねむきゅんオーラはそのまま。初参加で緊張気味の新メンバー2人と対照的に、馴染みすぎるほどの迷司会で場を盛り上げる。「平成」と「昭和」を仕分けるゲームでは、自分の記憶が如何に頼りないか思い知った。"必殺仕分け人"相沢梨紗が勝利を収め、使いたくても使えないでんぱ組テレホンカードが梨紗推しの手に渡った。



ゲーム終了後の特典お渡し会が本日のハイライト。瑛美との接触は昨年11月以来半年ぶり。顔を忘れられてはいないか?何から話しかければいいのか?武道館の感想?プリキュア抜擢のお祝い?ハッピーバースデイ?新曲と新ビジュアルへの期待?等々様々な思いが交錯し、いつものように昂奮気味で口籠る俺に向かって、瑛美の方から開口一番「お題考えてあるよ!」と機先を制されて茫然自失の俺に対して「サザンクロス!」と畳み掛ける瑛美の勝ち誇ったような笑顔の眩しさに「わ、わかったありがとう、サザンクロスね」と鸚鵡のように繰り返すことしか出来なかった。手渡された人狼カードの不吉なイラストに恐れを成してガッツポーズもそこそこにその場を離れた俺の影は、狼の尻尾のように千々に乱れていた。


でんぱ組.inc恒例「神神」イベント、初優勝狙う古川未鈴の吹き矢の行方は

せめて何故サザンクロスなのか問い詰めて、瑛美の不敵な笑顔に亀裂を入れることすら出来なかったか、と一瞬悔やみもしたが、毎週日曜日朝8:30から『スター☆トゥインクルプリキュア』を視聴しえいたそ研究に励んで来た俺にとって、こんな簡単な謎掛けの答えは朝飯前。先週のプリキュアに南十字星、つまりサザンクロスが登場したのであった。最強の敵を倒す為にプリキュアが力を借りたのはサザンクロスだったのである。

●スター☆トゥインクルプリキュア『輝け☆サザンクロスの力!』


「スター☆トゥインクルプリキュア」4月14日(日)放送予告 第11話 輝け☆サザンクロスの力!
私のせいでプリンセススターカラーペンがノットレイダーの元に……。惑星クマリンから地球に戻ってきたけれど、ロケットが着陸するところをまどかさんのお父さんに見られちゃった……!見つからないように天文台に逃げてきたけれど、フワやプルンスを遼じぃにも見られてしまって…、どうしよう…。そんな中、森の中にノットリガーが出現!まどかさんのお父さんにプリキュアの姿を見られたら……。でも、放ってはおけないよ!!


スター☆トゥインクルプリキュア 第11話予告 「輝け☆サザンクロスの力!」



【えいたそモダニズム】Episode 26『サザンクロスの力』
北半球に住む者は見ることができない南十字星は、北極星や北斗七星以上にミステリアスでロマンチックな星座として数多くの歌や漫画や小説のテーマになってきた。夢みる乙女のひとりとして、瑛美の心の中に妄想の根を張っているのは間違いない。そして新体制初ツアーに於ける「瑛美はどこから来たのか? 瑛美はでんぱ組.incなのか、瑛美はどこへ行くのか 」という自問自答の果てに出した答えのひとつが「サザンクロス」に違いない。その意味を探ることで「神はどこから来たのか?そして神はどこへ行くのか?」そしてさらに「この神とは何者か?」という神学上の究極の疑問の答えが見つかるかもしれない。ポジティブだけじゃなく、ネガティヴでマイナスのパワーも秘めている「サザンクロス」の秘密を探っていくことにしよう。

●西城秀樹『南十字星』


「南十字星」は、1982年3月25日にリリースされた西城秀樹の41枚目のシングルである。デビュー10周年記念作品としてリリースされ、東宝創立50周年記念の日豪合作による戦争映画『南十字星』の主題歌であるが、あえて主題に対するストレートな表現は使わず、男女のラブソングとして「帰らぬ愛」、「帰らぬ恋人」を歌うことにより、戦争の悲劇をイメージさせている。

1970年代にトップ男性アイドル歌手として人気を得て活躍した新御三家、郷ひろみ・西城秀樹・野口五郎の中でも、ワイルドな男らしさをアピールした秀樹は、最もキャラクター化された男性アイドル像を生き抜いた。彼の歌う南十字星は、傷だらけのローラが情熱の嵐の果てに見た桃源郷のシンボルであった。

南十字星 / 西城 秀樹



●尾崎亜美『Southern Cross』


シンガーソングライターの草分け尾崎亜美が3年間の沈黙のあとにリリースした通算19作目のレギュラーアルバム『Natural Agency』(1991)に収録のナンバー。

76年デビュー。当時ニューミュージックと呼ばれた自作自演歌手(シンガーソングライター)の代表格のひとりが尾崎亜美だった。井上陽水などニューミュージック歌手の中にはテレビ出演を拒否する者も少なく無かったが、尾崎亜美は積極的にテレビの歌番組に出ていた印象がある。「亜美」という名前が昭和五十年代の日本ではハイカラなイメージがあった。最近再注目されるシティポップの流れで聴くサザンクロスはバブリーなきらめきを放っている。

Ami Ozaki - Southern Cross (1991) [Japanese Pop/R&B]



●柳ジョージ『星空の南十字星(サザンクロス)』


75年にバンド、レイニーウッドを率いてデビューした柳ジョージのソロ・デビュー曲。アルバム『GEORGE』(1982年)は、J-WALK、井上堯之バンドの井上堯之(g)、大野克夫(k)、佐々木隆典(b)、コーラスの山根麻衣と山根栄子(a.k.a. A-KO)の山根姉妹らによる新たなバンド、ザ・バンド・オブ・ナイト・ファミリーを結成しての制作。

70年代半ばのテレビの歌番組にエレキギターを弾きながら歌う歌手が出演することは少なかった。たぶん初めて観たエレキギタリストが柳ジョージだったと記憶している。タバコをくゆらせながら枯れた色のストラトキャスターを弾く姿はカッコいい大人のイメージだった。後に洋楽を聴くようになって、エリック・クラプトンの真似だったことを知った。ここで歌われるサザンクロスは、50歳を過ぎてもパンクだノイズだアイドルだ、と騒いでいる筆者には永遠に到達できない渋い大人の侘び寂びの世界である。

柳ジョージ 星空の南十字星



●BUMP OF CHICKEN『サザンクロス』


BUMP OF CHICKENの3年ぶり(2014年時)通算7枚目となるオリジナル・アルバム『Ray』に収録。『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~』主題歌「友達の唄」や漫画家・井上雄彦とコラボレーションを果たした「Smile」、『FINAL FANTASY 零式』テーマ・ソング「ゼロ」、映画『ALWAYS 三丁目の夕日’64』主題歌「グッドラック」他、シングル曲を多数収録。

瑛美が好きなバンプの「サザンクロス」。「弱者の反撃」を意味するバンド名は「マイナスからのナンバーワン」を目指したでんぱ組の先輩格と言える。オルタナ/メロコアの影響のあるサウンドはともかく、優しい歌声と聴き手に元気を与える前向きなメッセージに満ちた歌詞はJ-POPの基本形。瑛美にとって自分に素直になれる心の拠り所であろう。

サザンクロス BUMP OF CHICKEN



●GOING UNDER GROUND『南十字』


GOING UNDER GROUNDのアルバム『TUTTI』(2006)に収録。NTTドコモ東海キャンペーンCMソング。

JAMの曲名からバンド名を取った通称ゴーイングはバンプと同世代のJ-POP/J-ROCKの担い手である。垢抜けない歌声が人間味を感じさせ、俺的にはバンプよりも親近感が在る。とはいえ、恥ずかしながら意味的には正反対のロードオブメジャーや、青春パンクのGOING STEADYとごっちゃになってメロコアのバンドだと思い込んでいたことをサザンクロスに告白したい。

南十字/GOING UNDER GROUND



●PENICILLIN『南十字星』


2011年に結成19周年を迎えたPENICILLINが、自主レーベルTHAT RECORDSからリリースした第1弾アルバム『WILL』に収録。文字通りその楽曲からはバンドの“WILL (強い意志)”が感じられる力作になっている。

JK時代にV系ロックの追っかけ、つまりバンギャだった瑛美の中には10年経った今でもV系女子の血が流れている。生誕イベントでディルアングレイを歌うときの「Vたそ」オーラは俺の好きな瑛美のスタイル。最近15年ぶりに会社の後輩とバンドを組んでL'Arc-en-Cielをカヴァーしている俺にとって、もはやV系ロックはアウェーではない。瑛美と俺の新たな絆が産まれたのである。

南十字星 · PENICILLIN



●制服向上委員会『南十字星』


制服向上委員会(せいふくこうじょういいんかい、略称:SKi - Seifuku Kojo Iinkaiより)は、1992年に結成されたアイドルグループ。メンバーは随時入れ替えられて継続していたが、2006年9月24日をもって“卒業”した。その後、SKiファミリーとして実質的に活動は継続し、グループではないが集合体総称という意味合いを持っていたが、2010年9月20日にグループとして再始動した。

灰野敬二と共に前衛ロックバンド「ロストアラーフ」のドラマーとして活動したおしめこと高橋廣行が運営する「制服向上委員会」は頭脳警察のPANTAが曲を提供したり、脱原発の歌を歌ったり、政権批判をしたり、折に触れて話題となる異色のアイドルグループである。そんな「セイコウイ(制向委)」が歌うサザンクロスナンバーはトロピカル歌謡。歌われるパラダイスはサイケデリックジャーニーの果ての涅槃のことだろうか。

制服向上委員会 南十字星



●S☆UTHERN CROSS『REVOLUTION~ワタシタチノカクメイ~』


S☆UTHERN CROSS(サザン☆クロス、単にサザンクロスとも)は、2011年4月に結成された鹿児島県のご当地女性アイドルグループである。2018年には日本各地のご当地アイドル日本一を決定する大会『U.M.U AWARD~ご当地アイドルNo.1決定戦』で全国の頂点に輝いた。

南のイメージに相応しく鹿児島にサザンクロスを名乗るロコドルを発見。とはいえ九州から南十字星は見えないが。初の全国流通盤「REVOLUTION~ワタシタチノカクメイ」はギターロックに九州の民族楽器ゴッタンのフレーズが絡むエスノメタルナンバー。民族衣装をアレンジしたコスチュームも魅力的。爆裂女子の新曲「超革命」と並ぶアイドル革命ソングとして注目したい。

公式MV【 REVOLUTION~ワタシタチノカクメイ~ 】S☆UTHERN CROSS



●ザ・バンド『南十字星』The Band / Northern Lights - Southern Cross


原題『Northern Lights - Southern Cross』。カナダのロックバンド、ザ・バンドがボブ・ディランとのアルバム制作と全米ツアーを経て発表したスタジオ6作目。故郷カナダの大地と自然を連想させるスケールの大きな楽曲を、モダンで洗練されたアプローチで聴かせるバンド後期の傑作にして、1970年代アメリカン・ロックを代表する逸品。1975年作品。

瑛美からサザンクロスのお題をいただいて、俺の頭に浮かんだのは洋楽に興味を持ちはじめた中学1年生のころに買った音楽雑誌『GUTS』増刊号に載っていたアメリカンロック20選で紹介されていたこのアルバムだった。ザ・バンドをきちんと聴いたことは無いが、たき火を囲んで男たちが立つジャケットは鮮明に覚えている。素朴なメロディとアコースティックなサウンドが懐かしくも垢抜けない。田舎の男が歌うサザンクロスは田園風景のような癒しを与えてくれる。

The Band - Acadian Driftwood



●クロスビー、スティルス&ナッシュ『サザン・クロス』 Crosby, Stills & Nash / Southern Cross


60年代以来のアメリカン・ロックを携えて、三たび集ったクロスビー、スティルス&ナッシュ。クロスビーの抑制の効いたヴォーカル、スティルスの力強いギター・ソロ、ナッシュの確信に満ちた楽曲。3人のハーモニーも健在のままに、過ぎた時間からの意欲と希望をうたうオリジナル第4作『デイライト・アゲイン Daylight Again』(1982年作品)に収録。

60年代末に有名フォークロックバンドのメンバーによるスーパーバンドとして話題になったクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングは、それぞれソロ・アーティストとして十分な人気があるにも関わらず何度も再結成を繰り返している。それは「夢を諦めない」というでんぱ組の姿勢と共通する。かたやおやじロック、かたやアイドルだが、夢を追うのに国籍/性別/ジャンルは関係ない。サザンクロスは希望の星なのだから。

Crosby, Stills Nash Southern Cross (Remastered Version)



●ブラック・サバス『南十字星』 Black Sabbath / The Sign of the Southern Cross


英国のハードロックバンド、ブラック・サバスが1981年に発表した10作目のスタジオ・アルバム『悪魔の掟』(原題:Mob Rules)』に収録。ロニー・ジェイムス・ディオ加入後としては2作目のアルバムで、また、本作よりヴィニー・アピスが加入した。

原題は「南十字星の徴」。悪魔崇拝をテーマにしたアルバム、リリカルなアコギがヘヴィロックに転じて壮大なメタルバラードになる。生まれたときから消えない悪の十字架を背負って生きる運命に抗う罪の落とし子の生き様をサザンクロスに託した人間讃歌である。

Black Sabbath-Sign Of The Southern Cross



●パティ・スミス『南十字星の下で』 Patti Smith / Beneath the Southern Cross


パンク詩人パティ・スミスが最愛の夫や親友、弟を次々と亡くし、深い悲しみと喪失感を乗り越え力強く未来へのベクトルを持った、1996年発表のアルバム『ゴーン・アゲイン Gone Again(また逝ってしまった )』に収録。

夫のフレッド・ソニック・スミス(元MC5)、カメラマンのロバート・メープルソープ、NIRVANAのカート・コバーンなど逝ってしまった友人たちに捧げたこのアルバムにゲスト参加したジェフ・バックリーも翌年に逝ってしまうという呪われた作品。しかしパティの力強い歌声は、死者への追悼ではなく、生命を讃える希望に満ちている。サザンクロスの希望の光があればどんな悲しみも乗り越えられるさ、瑛美さん。

Patti Smith performs «Beneath the Southern Cross» | SVT/NRK/Skavlan



●ソニック ChthoniC『南十字星』


台湾のブラックメタル・バンド、ソニック (ChthoniC、閃靈樂團)の6thアルバム『髙砂軍 Takasago Army』(2011)に収録。英語名の「Chthonic」はギリシア神話の地下の神「クトニオス」を意味する。

台湾の歴史や伝説をモチーフにした歌を歌うソニックは、与党の旗を燃やすなど、政治的なパフォーマンスも行う硬派なバンドである。ここで歌うサザンクロス(南十字星)は、太平洋戦争で日本軍に徴兵され熱帯の密林地帯で大量に戦死した高砂義勇隊が見た最後の希望の光だったのかもしれない。

Chthonic --- Southern Cross 閃靈 --- 南十字星


以上の考察によりサザンクロスとは桃源郷・涅槃・希望・夢・革命・癒しであることが明らかになった。そして瑛美が俺に伝えたかったのは、二人の心がサザンクロスの絆で結ばれている慈愛だったに違いない。いつか必ず瑛美と二人で本当のサザンクロスを見に行こうと心に誓った。

赤十字
イエロー十字
鍵十字

でんぱ組.inc「コスモツアー 2019 in 日本武道館」Trailer Movie
コメント (1)
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