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『事 ある 事』~灰野敬二、吉田隆一、SOON KIM
開場:19:00 / 開演:19:30(終演21:30予定)
前売り:3,000円 当日:3,500円 1ドリンク別
灰野敬二 (g,vo,etc)
吉田隆一 (baritone sax)
SOON KIM (alto sax)
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灰野敬二が日本の個性派ミュージシャンとコラボレートする『事 ある 事』と題されたコンサート。タイトルの意味については説明がないが、「事」=人、ミュージシャン、出来事、演奏、音楽と考えると、「事」と「事」が出会うことにより足し算「事+事」や掛け算「事×事」ではなく、「ある」(在る・有る・或る)=存在が介在することにより別の在り方=「事 ある 事」が可能ではないのか?という謎かけではないかと想像する。以前『NO NOT JAZZ』というタイトルでナスノミツルとデュオ公演を行ったことを思い出す。ナスノのベースと灰野のスネアひとつだけで演奏した驚異的にストイックで苦行に似たライヴ経験だった。
⇒『NO NOT JAZZ』灰野敬二+ナスノミツル@渋谷LUSH 2018.10.24 (wed)
共演のふたりのリード奏者はいずれも灰野との共演歴がある。
吉田隆一は2012年8月に初共演している。灰野がギターの他ドラムやフルートを演奏し、轟音がクラッシュする激しいライヴだった。
⇒灰野敬二+吉田隆一@入谷なってるハウス 2012.8.21 (tue)
SOON KIMは2017年に2回灰野とデュオで共演した。対決ではなく共調を感じさせるオーソドックスな即興演奏が、逆に音楽の自由度を感じさせる共演だった。
⇒灰野敬二+SOON KIM@下北沢Lady Jane 2017.3.18 (sat)
⇒灰野敬二 × SOON KIM@大岡山Goodstock Tokyo 2017.6.9(Fri)
ちなみに吉田隆一とSOON KIMは『Jazz Artせんがわ』でのセッションで共演したことがあるそうだ。これまで別々にデュオでコラボした三人がひとつの場で会(在・有)って、「事」を成すことで、未知の「事」の在り方が示されるかもしれない。そんな期待が渋谷の半地下にある公園通りクラシックスの空間を満たしていた。
1stセット。冒頭でいきなり灰野のギターの地鳴りのような爆音が空気を振動させる。金属(スプーン)を使ったプレイだった。KIMはハイトーンのメロディ、吉田は循環呼吸によるドローンを奏でる。灰野はダフ(大型のタンバリン)からドラムへと移り、二つのリード楽器の隙間を断続する打音で切り取る。吉田はバスフルートの不穏なメロディが印象的。後半灰野はギターに戻りナチュラル・ディストーションでサックスを脅かす。それに動じずKIMは気持ちよさそうに流麗な旋律を吹き続ける。35分の短いセットだったが、事の始まりの予感に満ちた演奏だった。
2ndセットは「事」の前にある程度流れを決めていたようだ。KIMと吉田がロングトーン中心に演奏し、灰野が低いヴォイスで唸る形でスタート。灰野はマイクから離れて跪き、KIMのサックスのベルの中に声を吹き込む。低い唸りがハイトーンの叫びに転じ、サックスの旋律とハーモナイズする。吉田は金属の鐘でリチュアルな雰囲気を醸し出す。灰野はギター~タンバリン~ドラムと演奏し、最後はマイクを掴みはっきりした声で歌う。哀感たっぷりのサックスの伴奏で「だいじょうぶ」と歌うエンディングは慈愛と安らぎに満ちていた。覚醒するような閃きの言葉のアンコールで「事」(ライヴ)は終焉を迎えた。
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即興という言葉を好まない灰野だが、3人の人間がその場でひとつの音楽を作り出す過程は本当の意味での即興と呼ぶのが相応しい。KIMと吉田の演奏に含まれるジャズの要素が、灰野の非ジャズの表現と交わることで、ジャズでなくジャズでもある何か(ロック、インプロとしても同じ)が生まれたように思う。それが『事 ある 事』の意味なのかどうか、今後のゆくえを見定めて行きたい。
人 ある 人
音 ある 音と
歌 ある 歌
●次回のコラボレーションはドラムとチェロ。
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2020年11月15日(日) 東京 渋谷 公園通りクラシックス
『事 ある 事』~灰野敬二、外山明、森重靖宗
有観客ライヴ(配信無し)
開場:19:00 / 開演:19:30(終演21:30予定)
前売り:3,000円 当日:3,500円 1ドリンク別
灰野敬二 (g,vo,etc)
外山明 (drums)
森重靖宗 (cello)
予約:公園通りクラシックス
03-6310-8871
http://koendoriclassics.com/