A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【FREE ZINE】『盤魔殿アマルガム Vol.34』公開~ケロッピー×剛田/Gaji/絶対零度/レクリプス・ヌー/ACTIVE RECOVERING MUSIC/ゲダリア・タザルテス+イベント情報

2021年04月22日 00時00分01秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium AMALGAM Vol.34
“Libération printanière” issue

2021年4月16日発行


盤魔殿DJ 今月の1枚
盤魔殿DJ陣が毎月お気に入りの音源をご紹介。こだわりの選盤からどんな世界が広がるかお楽しみください。

●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
Keroppy Maeda x Takeshi Goda / ELECTRIC TJURUNGA / Live Recordings @ Kondo Sound Body Laboratory(Les Disques Du Daemonium)


盤魔殿でもおなじみケロッピー前田&剛田武によるアブストラクト音響デュオ作品。チューリンガとはオーストラリア先住民族アボリジニの宇宙観を表す(木や石で作られた)楕円形の魔除けとして知られるが、ここではそのチューリンガ宇宙観をふたりが即興演奏&電子化することで音響結晶化させている。さらにその触媒として先日他界した近藤等則のスタジオである近藤音体研究所が使用されており、地球とのネイチャーな交信を目指した晩年の近藤等則作品との共振性も注目すべき。エレクトリック・ディジリドゥーやリード・フルートを筆頭に様々な電子&アコースティック楽器(非楽器)を駆使して生み出されるインプロヴィゼーション空間は、まるでポポル・ヴが縄文時代にタイムスリップしたかのようなリチュアル・コスモロジーに満ち満ちている。


●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
Gaji /Blowpipe (Remastered)
 (左:オリジナル盤/右:リマスター盤)

さてさて今回の盤魔殿なんだけど、私は「やすこ と ゆうこ」という、まるで昭和のアイドル、または怪しい演歌ユニット(笑)のようなテーマでプレイさせて頂くのですが...
「ゆうこ」こと現Din RemoterのYuko Hasegawa嬢が参加していた伝説のBand「Gaji」の1stアルバムのリイシュー盤をご紹介させて頂きます。オリジナルは痛郎の井出氏が運営していたレーベル「ZK Records」より1994年にリリースされたものですが、今回のリイシュー盤は当時の未発表曲 「Hide」を加えたうえ、更に綿密なリマスターが施されているという超お薦め版(盤)なのです。
「Gaji」は1992年結成し高円寺20000Vを中心に活動。ノイズと変拍子を中心に練られた、トランシー+切れ味のあるループ系ビート+ノイズギターにストイックな構成と中性的な透明感のあるボーカルは聴く者を独特の世界に誘います。シカゴ系のへヴィクール+NY系アヴァンコンテンポラリーな変則性を持ち合わせ、ソリッドなアタック感も鮮烈なこの名盤は、今でもAmazonにて購入可能ですので、1人でも多くの人に体験して頂きたく切に願う今日この頃なのです。


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
絶対零度 / LIVE at 回天'80 + Junk Connection EP


1979年に結成され吉祥寺マイナーの地下音楽と新宿ロフト&渋谷屋根裏のパンクロックを繋ぐ存在として82年まで活動したポストパンクバンドの黎明期を明らかにするアルバム。1980年5月に六本木スタジオ・マグネットで開催されたレコーディングライヴ「回天'80」で録音された未発表ライヴ音源と80年に地引雄一の自主レーベルJunk ConnectionからリリースしたEP『絶対零度』のデジタルリマスターを収録。一聴してガーンと来るの波止康雄の強烈なヴォーカル。岩石のようにゴツゴツと粗削りなロックサウンドの圧を突き崩す衝動のパワーは、INUの町田町蔵の河内弁に負けない東京のべらんめえ精神の発露である。ヴォーカルの波止脱退後の音源は2013年に2枚組CD『絶対零度II』と『絶対零度III』の2セットが発売されたが、正直言ってバンドとしての全体像を掴むには膨大かつ多様過ぎて、消化不良のままだった。今回のリリースでポストパンク世代=第三世代を象徴するアヴァンギャルド・ロック・バンドとしての本質が明らかになった。改めて後期のサウンドを聴き直してみて、日本のパンク‣ニューウェイヴ史を再検証する必要があるかもしれない。それほどの衝撃作といえる。


●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
レクリプス・ヌー/ネガティブ


彼は、実は私の友人でもある。一度デュオでライブパフォーマンスを行った事もある。
しかし、そんな贔屓目を除いても彼の音には抗い難い魅力がある。
彼は以前、主にハーシュノイズを演奏する事が多かった。その後餓鬼道への参加を経て、少々色合いが変わって行った様に感じる。
レクリプス・ヌー参加時の餓鬼道は音にずっしりと重みがあり、とても好きだ。
ハーシュノイズを鳴らしながら、パワーエレクトロニクス宜しくネイティブな英語で叫ぶスタイルは非常に説得力がある。彼自身は日本が好きなので、パワーエレクトロニクスにありがちなネガティブな問題は無い。
このアルバムではボーカルに何人かのサポートメンバーを加えて録音されている。
ネガティブ、と言う言葉には、良くない意味合いしか無いのかもしれない。しかし、ネガティブであるが故に力強い表現に近付く事は確かにある。ノイズと言うスタイルは、極端に歪ませた音を美しく響かせ、特殊な趣味趣向を持つ者を楽しませる外道であり、ジャンルとしての成り立ちは説明がし辛く、一体音楽なのかそうでないのか、かれこれ三十年かそこら論議され続け未だ決着がついていない。しかしながら、ネガティブでありながら力強く歩んで行けるのは、ノイズを奏でる事でしか実現出来ないのではないだろうか?
そして険しい道のりを、敢えて選んだ者にしか見えない桃源郷とも言えるのではないか。


●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
ACTIVE RECOVERING MUSIC / PHYSONECTS


本作はNo Schools Recordingsを主宰する大藏雅彦氏が”ACTIVE RECOVERING MUSIC”名義で製作した12音列技法とサイン波によるドローン作品。
氏の解説から一部を引用させていただくと”サンゴやクダクラゲなどのコロニーを形成する群体生物の、私たちには観測できないけれどあり得るかもしれない文化、思考、言語、音楽などをイメージしています。”とのこと。
カセットを再生すると、、、サイン波の重い振動が骨に僅かに伝わる...時間をずらし放射される高音や低音のそれぞれが長い持続の先で重なり震える際に浮き上がる光に僕の記憶は晴れ上がり、真っさらに抜かれるようだ…
調性のない動きは生物の一連の様態のみならず氏が述べる"あり得るかもしれない文化”をイメージし易いように意識に映し出してくれる…そして、揺めき、変遷する過程で底へと深まれば深まるほど、生命の呼吸に触れさせてくれるような…そんな不思議な感覚さえも降り立つ…


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
ゲダリア・タザルテスの遺作 Book +CD quoi qu'il ens soit(それが何であれ)
 

2021年のはじめに73歳で亡くなったゲダリア・タザルテスの遺作。
2019年5月9日、パリのサンメリー教会で行われたライブla chute de I'ange (天使の堕落)の音源を付属したもの。
スペイン系ユダヤ人の家系に生まれたタザルテスは、1979年にファーストアルバムDiasporasを発表し、現代音楽シーンの特異点としてフリーミュージックの世界に現れた。彼の死のニュースを聞いて、最初に思い浮かぶのは、彼の声、前代未聞の可塑性を持つ複数の言語で展開する変調とう言うべき声だ。Diasporasではタザルテスのホーミーのような声、酩酊した老人のような異言んだ、様々な声がフリーフォームな演奏とともに展開する。セカンドアルバムTazartès Transportsは透明ジャケと透明レコードでリリースされ、民族音楽とノイズのコラージュのような曲もあれば、リズミックなノイズのような曲もあり、今日聞いても全く古さを感じさせない。そしてサードアルバムUne éclipse totale de soleil(皆既日食)は世界各国の民族音楽のエッセンスをつなぎ合わせた、クール&ドープでアブストラクト作品となり、ノイズパーカッションの人力グルーヴに宗教的儀式の祈りや歌声、子供の声、自然音、オルガンらのサウンドスケープがスピリチュアルにコラージュされている。しかし彼の作品が本当に理解されるのは21世紀になってからで、初期作品は一部の好事家に収集されるにとどまった。この間彼はバレエ音楽などの仕事をして生活していたが、作品リリースは少なく、まさに幻の音楽家だった。21世紀になって彼の音楽が様々な面で先駆的な存在であったことがようやく理解され、数多くの作品がリリースされるようになった。ディスコグラフィーを見てもらえばわかるが、その作品の多くは21世紀に発表されたものだ。独創的で表現力豊かな声を駆使し、様々な楽器を演奏し、磁気テープを操作し、音による彫刻を作り続けた彼は、例外的なミュージシャンであった。その作品はいつまでも残り多くに人々に親しまれるであろう。

Ghedalia Tazartes Discography
* Diasporas, LP, recorded 1977, Cobalt, 1979
* Quelque Part Quelqu’un, mini LP, recorded 1978, released 2011
* Tazartès Transports, LP, recorded 1979, autoproduction, 1980
* Une éclipse totale de soleil, LP, recorded 1979, Celluloïd, 1984
* Tazartès, recorded 1979, LP, AYAA, 1987
* Check Point Charlie, CD, AYAA, 1990
* Voyage à l’ombre, CD, Demosaurus, 1997
* 5 Rimbaud 1 Verlaine, mini-CD, Jardin au Fou, 2006
* Les danseurs de la pluie, mini CD, Alga Marghen, 2006
* Alma Marghen Anthology, 4cd box Alga Marghen 2006
* Jeanne, CD, Vand’Oeuvre, 2007
* Hystérie off Music, CD, Jardin au Fou, 2007
* Repas Froid, CD, Tanz Procesz, 2009
* Les Comores w. Reines d’Angleterre, LP, Bo’ Weavil Recordings, 2009
* Ante Mortem, CD, Hinterzimmer, 2010
* Works 1977-79, 4 LP-Box, Vinyl on Demand, 2011 (read more below)
* Repas Froid, reissue LP, PAN 17, 2011
* Granny Awards, LP, PAN Marghen, 2011
* Globe et Dynastie w. with Reines d’Angleterre, Bo’ Weavil Recordings, 2012
* Coda Lunga, CD+DVD, VDN 816, 2012
* Voyage à l’ombre, reissue CD, Hinterzimmer, 2013
* GOL et Ghédalia Tazartes – Alpes, recorded 2011, LP Gollaberation vol.6, Planam Golta, 2013
* LA., LP, dBUT interambiance 007, 2014
*Ghedalia Tazartes, Bruno Letort, Cube Quartet, Etenesh Wassié, Semelles de Vent, Cubic Series #13, 2014
* Il regalo della Befana 12″ S/Sided, Holiday Records, 2015
* La Bar Mitzvah du chien/Don’t cry for me LP Bisou Records 2016
* Vooruit 17.05.2015 (live with Chris Corsano and Dennis Tyfus), LP Ultra Eczema 199, 2016
* Ghedalia Tazartes, Paul Romanchuk, Andrzej Załęski, Carp’s Head, MonotypeRec, 2016
* Ghedalia Tazartes and Maia Dunietz, Schulevy Maker, recorded live at Café Oto, London in 2013, issued in 2017, Holo7
* Quoi qu’il en soit (a 40-page book with photos by Tazartes) + live CD by Tazartes, Quentin Rollet and Jerome Lorichon. Bisou Records, 2021.


<―――――――――――----------------------EVENT INFORMATION----------------――――――――――――――>
2021年
4月28日(水)阿佐ヶ谷TABASA
BURST 公開会議
17:00 OPEN 17:30 - 19:30 番組配信 20:00 CLOSE
チャージ1000円 ドリンク(キャッシュオン)
出演
ピスケン 元BURST編集長
釣崎清隆 死体写真家
ケロッピー前田 身体改造ジャーナリスト
酒井よし彦 扇情カメラマン


5月4日(火)中野サンプラザ
「あなたの聴かない世界vs唸る語る、盤魔殿」


トークショー
出演:持田保、宇田川兵夫
午前10:15~12:00
料金:1,819円(税込2,000円)
(料金には当日中野サンプラザ開催の”まんだらけありある”入場券と持田&宇田川特別制作Zine料金も含まれています、お得!)

まんだらけ主催の精神世界&オカルト系展示即売イベント「ありある」にて日本の霊的音楽についてのトークショーを持田&宇田川コンビが開催します。
予定としては大本教から日本ヒッピー文化、企業化した精神世界、オウム、オーラの泉以降のスピ系からJアノンまでを、音楽作品を紹介しながらヤバヤバ・トークしたいと思ってます(ヤバヤバなので当日録音や撮影はマジ禁止!)。

コロナの密を考慮して定員30名限定!現在前売り予約受付中!!
https://order.mandarake.co.jp/order/detailPage/item?itemCode=1162207149


5月7日(金) 東京・千駄木Bar Isshee
【Sound of BURST DAYS】


open 19:30 / start 20:00(予定)
投げ銭制(別途チャージ500円+ドリンクオーダー)

ピスケン ポエトリーリーディング
ケロッピー前田 ディジュリドゥ パーカッション 電子音 他
DJ TKD サウンドマニピュレーション
釣崎清隆 ベース
剛田武 リードフルート、ノイズドール 他

ピスケンこと曽根賢(伝説の雑誌『BURST』元編集長)が、盟友・ケロッピー前田(身体改造ジャーナリスト)と釣崎清隆(死体写真家)とともに千駄木登場。渋谷Bar Isshee時代から縁のあるTKD武田を交えてピスケン朗読ライブ、地下音楽家・盤魔殿主宰の剛田武&ケロッピーの即興デュオ、さらに釣崎清隆とのBURSTセッションも!!


5月28日(金) 四谷三丁目ConTonTonVino
盤魔殿 Spiritual Lounge
18時30分開場 19時開始
料金未定

DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫 
DJ Necronomicon a.k.a.剛田武 
DJ Subrosa a.k.a.由良瓏砂 
DJ Aura Noir a.k.a.黒い瞳 

盤魔殿
レーベルだって
あるんです

盤魔殿レーベル
Les Disques Du Daemonium
Tokyo, Japan
異端DJイベント『盤魔殿』の音楽レーベル。未だ知られざる新世代地下音楽や実験的アーティストを続々リリース。
The music label by DJ event "Disque Deamonium", specialized for Neo Underground Music in Japan.
詳しくは下記リンクをチェック:
https://lesdisquesdudaemonium.bandcamp.com/music
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