A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ヒグチケイコ+川口雅巳+内田静男 TRIO/広瀬淳二+今井和雄 DUO@阿佐ヶ谷Yellow Vision 2022.3.21(mon)

2022年03月22日 01時36分39秒 | ネコ動画


ヒグチケイコ keiko HIGUCHI (dr/v)+川口雅巳 masami KAWAGUCHI (g)+内田静男 shizuo UCHIDA (b) trio
広瀬淳二 Junji HIROSE (sax)+今井和雄 kazuo IMAI (g) duo

open18:00 / start18:30 ¥2,300+1D



2020年7月18日(土)『騒音天獄番外編・即興の夜』に出演して以来1年半ぶりの阿佐ヶ谷Yellow Vision。最近米Black Editionsから新作LP『Vertical Laguage』をリリースしたヒグチケイコと、川口雅巳(ニューロックシンジケイト, THE HARDY ROCKS)&内田静男(UH, Kito mizukumi rober)というTokyo Undergroundミュージシャンとのトリオに加え、即興音楽のベテランふたり、広瀬淳二と今井和雄のデュオを間近で見られる機会はあまりない。まん延防止法が解除される前日ではあったがYellow Visionはほぼ満員の盛況。コロナ禍で苦境に陥ったエンタメ業界の地下の地下に集う異端音楽愛好家の熱気はどんなワクチンよりも心と身体の正常化に効果があるに違いない。

●ヒグチケイコ+川口雅巳+内田静男 TRIO


ヒグチの歌とピアノは何度か聴いているが、ドラムを観るのは初めて。両腕を休みなく振り回して連続するビートを叩き出す様はまるでハードコアのブラストビート。さらに足で複数のエフェクターを踏み変えながら、2本のマイクでヴォイス・パフォーマンスを展開。ピアノ演奏を観たときは蜘蛛のような動きと感じたが、今回は前足が10本ある蟷螂(カマキリ)の捕食行動を幻視した。川口は指弾きでアブストラクトなフレーズを紡ぎ出し、ピックを使って歪んだロングトーンを炸裂させる。完全即興ではあるが紛れもないロック・ギター・サウンドにウィルコ・ジョンソンの狂気を感じた。二人に挟まれた内田は、我関せずと唯我独尊プレイを貫くように見えるが、トリオの重心となる堅固な存在感を発揮していた。ダイナミズムに溢れた三者のプレイは昨今の不穏な世界の影を切り裂く稲妻にように感じられた。
意外なことに川口と内田は、どちらも20年以上日本のアンダーグラウンドシーンで活動し、さらにどちらも灰野敬二と共演している(川口=哀悲謡,THE HARDY ROCKS、内田=滲有無)にもかかわらず、今回が初共演とのこと。歴史的な瞬間に立ち会ったのかもしれない。




●広瀬淳二+今井和雄 DUO


歴史的と言えばサックスの広瀬とギターの今井のデュオは、日本フリージャズ史に記録されるべき貴重なコラボレーションと言っていいだろう。「そろそろやろうか」「いいよ」と和やかな言葉を交わして、おもむろに爪弾くギターのストロークに重なるテナーサックスの静かなメロディから始まり、激しさと音量を増して爆音に至っても歌心は変わらない。激情に身を任せることなく、両者がお互いを敬いながら作り上げる音像が流れるように変化していく。終止直立不動で吹き続ける広瀬に対して、オートワウや逆回転効果エフェクター、さらにボトルやスプリングを使って全身でギターをかき鳴らす今井の運動量が凄い。これは対話?対決?ストーリーテリング?ラヴアフェア?―そんな疑問を抱く間もなく、目の前にある音と音の戯れに酔いしれるしかなかった。その波動を浴びて身体の内側で騒ぎ出す生命の息吹を感じつつ、自分は「音楽」よりも「音」が好きなのかもしれない、と思った。



好きとしか
言いようがない
この音が

140218 Masami Kawaguchi 3/3 with Keiko Higuchi 川口雅巳+ヒグチケイコ
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