A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

中川翔子/小林幸子/でんぱ組.inc@舞浜アンフィシアター 2015.5.5(tue)

2015年05月07日 00時51分05秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


中川翔子バースデーライブ 
超☆貪欲生誕祭 30だお!全員集合!!
ゲスト:小林幸子/でんぱ組.inc




10年ぶりに降り立ったゴールデンウィークの舞浜駅は相変わらずの賑わい。昼近かったのでTDL目当の家族連れより、ショッピングモールのイクスピアリでウィンドウショッピングを楽しむ友達グループやアベック(死語)が多い。お上りさん状態で地図と不親切な標識を頼りに辿り着いた舞浜アンフィシアター前の広場は、コスプレ大会の様相を呈していた。アニソン人気は知っていたが、しょこたん現場がコミケ(コミックマーケット)化しているとは予想外。きゃりー現場のお子様コスともでんぱ現場のセーラーコスとも異なるガチなレイヤーだらけで面白い。



会場に入って驚くのがテレビ等でよく見る名前が並ぶ祝い花の数。流石芸能界の第一線で活躍するしょこたんへの賛辞が溢れるピンクの花*花。その周りを意気揚々と闊歩するレイヤーに圧倒されつつホールに入る。ステージ後ろのひな壇(パフォーマンスシート)にとりわけ濃いレイヤーが並ぶすり鉢状の360度円形シアター。天井の四面モニターで30年の記録映像を上映。この日三十路に足を踏み入れたボッチアイドルは「もうボッチじゃない」と高らかに宣言した。

 

『しょこたん☆ベスト』は持っているが、曲を覚えるほどの聴き込んでいない。それでも一回聴けばノレるポップなメロディーに、周囲を真似て盛り上がる。逆にでんぱソングは、初めて聴いてノルのは難しいのでは?などと要らぬことを考えた。小林幸子のディナーショーオーラ、でんぱ組のキレ上がったわちゃわちゃ感、ラストスパートのブチ上げヒートアップ攻勢に元祖ヲタクアイドルの底力を見た。


しょこたん“ぼっち”卒業宣言!ラスボス、でんぱ、ベジータと“レベル30”を祝福

<Set List>
01. Brilliant Dream
02. ストロベリmelody
03. souffle secret
04. rainbow forecast
05. Shiny GATE
06. calling location
07. RAY OF LIGHT
08. 「ありがとうの笑顔」
09. さちさちにしてあげる / 小林幸子
10. 風といっしょに / 小林幸子・中川翔子
11. PUNCH LINE! / しょこたん♥でんぱ組
12. pretty please chocolate on top / しょこたん♥でんぱ組
13. ドリドリ
14. LUCKY DIP
15. 涙の種、笑顔の花
16. 9lives
17. フライングヒューマノイド
18. 空色デイズ
<アンコール>
19. 午前六時
20. make a wish♡
21. 愛いっぱい、せいいっぱい

30年
育ってきたよ
バッカルコーン





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不失者@高円寺ShowBoat 2015.5.3(sun)

2015年05月05日 00時15分15秒 | 灰野敬二さんのこと


灰野敬二 生誕記念公演 ~不失者

不失者  灰野敬二 / 亀川千代 / Ryosuke Kiyasu




記憶にある限りでは、国内での不失者公演は2013年11月21日六本木SuperDeluxe以来。昨年10月17日に同じくSuperDeluxeで開催されたRed Bull Music Academyのイベントに不失者名義で出演したが、主催者の要望でそう名乗っただけで、別メンバーのセッションユニットだった。1年半ぶりの不失者ワンマンライヴが5月3日灰野の誕生日に開催された。毎年恒例の灰野生誕記念公演にバンドとしての不失者が出演するのは初めて。


(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

立見も出て盛況の会場には、例年に比べ女性客が多い印象を受けた。ボッチ客が大半を占め、静寂に包まれることの多い客席だが、グループ客の会話もそこここで聴こえ、ちょっとした解放感が漂う。トレードマークのお香に代わって、この日はアロマオイルを焚いており、いつもの濃厚な異世界感も薄い気がした。しかし開演時間15分押しで揃いのロングヘアーの三人がステージに登場すると、これから始まる秘技に備えて会場の空気がピーンと張るのを肌で感じた。



乱数に従って強弱をつけるような不定形のドラムと重低音ベースの呟きが並走する。ギターの弦をスライドバーが滑り、非メロのリフが吐き出される。三者はそれぞれの世界に閉じこもるかのように、絡み合わない交歓が続く。それぞれ譜面を覗き込み、時折灰野が身振りで指示を出す様子を見て、これが気分任せの即興ではなく、細かく譜面に描かれたコンポジションであることを思い知る。余りに禁欲的な自己コントロールには余分な熱がない。



冒頭の曲で「意味を持つことが出来ない深さへ導いてあげる」と歌われた通り、演奏が進むにつれてバンドと観客が共に際限のない深みに降りてゆく。息をするのも躊躇われる冷徹さを突き破ったのは、へヴィロックビートの「暗号」の精神解放エナジーだった。短い休憩を挟み、今度は天上へ導くヘヴンリーな30分超の「ここ」に酩酊。再び禁欲の世界に回帰して、アンコールを切り裂くハードコア演奏で終了。のべ3時間半に亘る魂の旅路だった。



明らかに1年半前とは桁違いの鍛錬ぶりを見せつけたワンマン公演を体験して、改めて感じたのは「THIS IS DIFFERENT」ということ。他の何者とも違う唯一無二のロック。「違う」ということは大きな武器でありパワーでもあるが、それを貫き通すためには透徹した意志の力が必要であろう。この三人はすでに「違い」の深みの底に辿り着いたのだろうか?



失われざる者よ
私を深みに
連れてって

<灰野敬二 LIVE SCHEDULE>
5月6日(水)新宿NINE SPICES 21:15~22:00
JAM FES2015



5月16日(土)Helsingor, Denmark
Click Festival



5月21日 (木) 六本木SuperDeluxe
マハンニャワ 2 DAYS:インプロ!!!!!~センヤワ with 内橋和久 と セッション仲間
出演:マハンニャワ(センヤワ with 内橋和久)/灰野敬二/山川冬樹/大野由美子/吉田達也/小山田圭吾



5月22日(金)高円寺 Mission's
Koenji Mission's 8th Anniversary!!【ROCK】
ACT灰野敬二/鳥を見た/ゴイゾン/Lakka and more..!



5月29日 (金) 六本木Super Deluxe
灰野+石橋 / 勝井+ユザーン two drums & two flutes
出演:灰野敬二 + 石橋英子 two drums & two flutes duo/勝井祐二 + ユザーン violin & tabla duo



<灰野敬二 -experimental mixture- TOUR2015>
※企画・制作お還りなさい

7月3日(金)高松 SOUND SPACE RIZIN'
Opening Act / ピクニック・ディスコ、and more

7月4日(土)岡山 GYPSY ROSE
Support DJ / ichirota
Opening Act / -△misumi-

7月5日(日)和歌山 Bar No.11
DJ / FUYURI、ICR、KATAGIRI
Live / the birth for nil

7月6日(月)京都 Urbanguild
Live / 和田晋侍、数えきれない、もぐらが一周するまで
Time Painting / 仙石彬人



8月21日(金)代官山 晴れたら空に豆まいて
-特別企画- 勅使川原三郎×灰野敬二×MERZBOW
出演■勅使川原三郎・灰野敬二・MERZBOW

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八十八ヶ所巡礼@渋谷クラブクアトロ 2015.5.2(sat)

2015年05月04日 01時52分05秒 | 素晴らしき変態音楽


八十八ヶ所巡礼
-One man LIVE- 888 - 新曲召喚祭 -


八十八夜の仏滅に新曲が降りてくると噂の渋谷YahooBookOffビルヂング4,5階のコンサートベニューを訪れた。奇しくも前日横浜BayHallにて開催されたでんぱ組.inc女子限定ライヴのニコニコ生放送を観覧して、マキシマリズム(最大主義)全開の目紛しい展開に目眩と頭痛を覚え、コンタクトを外すのを忘れて寝入ってしまった翌日。瞳バリバリ状態でバンド界のマキシマリスト八八のライヴに見参するとは、神の恩寵か悪魔の囁きか。ここ10年でのべ1000回を軽く超える筆者のライヴ参戦歴の内でも客層の若さでは一二を争う八八現場は、サブカル系のぼっち女子も散見するものの、アリーナ最後列の筆者の周りはお笑いライヴに通ってそうなティーンネイジ女子二人組の姿が目立つ。



お笑い女子のお気に入りはギターのKatzuya Shimizu(参謀と演技指導)。今時珍しいギターヒーロー然とした風貌で、ベース&歌のマーガレット廣井(主犯格)の「ギターっ」のコールに応えてステージ中央に進み出て、これ見よがしにストラトキャスターを掲げ客の頭上に変態ギターフレーズの火花を撒き散らすShimizuに、波動拳の要領で両腕を前に差し出し念を送る二人組は顔を見合わせて大笑い。成る程、緊縛変拍子も刺青極道変態オーラも極右的愛国スローガンも軽くいなして、面白ネタに転化するのが当代若者気質に違いない。



そんな若気の至りこそ、世相の大半を形成するコンサバクラスターへの究極のカウンター勢力かもしれない。ヤングリベリオンの担い手は、攻撃的国民的音楽をテーマ曲に全国津々浦々のライヴハウス周辺に仏滅毎に集結して、仏狂法典の解釈を巡り喧々諤々のディベートを繰り広げながら、メインカルチャーへのレベルアップに備えているのかもしれない。極道と含み笑いの賢三(ドラム)の動向が気にかかる。


八十八ヶ所巡礼公式サイト
_
5/2 八十八ヶ所巡礼CLUBQUATTROセトリ
1. 攻撃的国民的音楽
2. 惡闇霧島
3. ((((未練))))
4. 霊界ヌ~ボ~♨
5. 粋NALI
6. 仏滅トリシュナー
7. 新曲
8. 都会の魔界
9. 太陽ヲ盗ンダ男
10. Violet Purple ible
11. 新曲
12. 茫漠冥途草
13.オノボリサン
14.ユーレイ・ドライヴ
15. 新曲
16. 新曲
17. PALAMA・JIPANG
18. 赤い衝動-R.I.P.-
19. IMNY
20. ohenro3
21. 新曲?
22. 具現化中
23. 日本
25. 仏狂
-en-
25. 新曲
26. 浮世

あーっ
新曲が
降りてきた

『十三月八十八日』
□5/29(金)@吉祥寺WARP
□GEZAN vs 八十八ヶ所巡礼
★予約枚数に限りがあるのでお早めに→warpticket@rinkydinkstudio.com


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【来日決定!!】ロック詩人エリオット・マーフィーがパリの街角からボンジュールとやってくる。

2015年05月03日 00時52分36秒 | ロッケンロール万歳!


米シンガーソングライターのエリオット・マーフィー 24年ぶりの来日公演が決定

来日決定!!!!
現在も放浪し歌い続ける伝説のストリートシンガー【 ELLIOTT MURPHY 】24年ぶりの来日公演 決定 !!!
東京2公演が8月に。

AUG 22 ( sat ) 代々木 ZHER THE ZOO
AUG 23 ( sun ) 新宿 MARZ

Ticket in Advance \6800 ( inc: VAT )
入場時別途DRINK代がかかります
前売りチケットの発売は、5月6日(水/祝)正午から、VINYL JAPAN店頭で発売開始!!!!
問い合わせ:英国音楽/VINYL JAPAN:03-3365-0910


Elliott Murphy Official Site

エリオット・マーフィー(Elliott Murphy 1949年3月16日ニューヨーク生まれ 66歳)
エリオット・マーフィーは同じ1973年デビューのブルース・スプリングスティーンとともに「第2のボブ・ディラン」と呼ばれた。ストレートなギターサウンド、陰影のある歌詞、ニューヨ-クの街を描いた文学的な歌詞は、敬愛するヴェルヴェット・アンダーグラウンドに通じる、ストリートのロケンロー。鮎川誠や大江慎也など心酔するミュージシャンは日本にも多い。1990年の来日公演は今でも語り草になっている。90年代にパリに移住し、現在ヨーロッパで精力的に活動する。いろんな雑誌に寄稿し、10冊近い著書を著す作家でもある。最新アルバムは、1973年のデビュー作『AQUASHOW(アクアショウ)』全曲を再レコーディングした『AQUASHOW DECONSTRUCTED』。



エリオット
パリの街角
佇む詩人

Elliott Murphy - Full Concert - 04/22/77 - Capitol Theatre (OFFICIAL)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

THE GOLDEN WET FINGERS@六本木 EX THEATER 2015.4.29(wed)

2015年05月02日 03時12分05秒 | ロッケンロール万歳!


THE GOLDEN WET FINGERS TOUR 2015 『DANCE ON FIRE 』
チバユウスケ(Vo,Gt)イマイアキノブ(Gt)中村達也(Ds)
 



今年1月8日中村達也50歳記念ツアーで2年ぶりに復活したロケンロートライアングルGolen Wet Fingers(GWF)の、3月21日からスタートしたDance On Fire(DOF)ツアーのファイナルが、ゴールデンウィーク(GW)初日のギロッポンにて開催された。
THE GOLDEN WET FINGERS@恵比寿リキッドルーム 2015.1.8(thu)



広いステージの中央に敷かれた絨毯の上にこじんまりとセットされたドラムとアンプは丁度練習スタジオの部屋のサイズ。時折絨毯の外へ出てアピールするも、演奏はほぼ十畳程度の範囲内で展開される。お互い顔を見合わせて、時折冗談を飛ばして笑いながら進行するステージは、ロケンローライヴでありながら、三人のプライべートなスタジオでの練習風景を垣間見せるリラックスした空気が流れていた。



バンドを結成して初スタジオ練習で、せーので音を合わせたときの感動は、いつまで経っても忘れない。何度ステージを重ねても、新バンドを結成したとき、メンバーが変わったとき、新曲が出来たとき、大きなライヴが決まったとき、その時々のスタジオ練習は期待と緊張が入り交じった独特の気分が喚起される。バンドとして何かを生み出そうとするその瞬間、メンバーだけにしか分からない連帯感と対抗心と劣等感と優越感と愛と友情と血と汗と涙が渾然一体となった感情が共有される。



それを初期衝動と呼ぼうが自己顕示欲と呼ぼうが魂の叫びと呼ぼうが構わないが、それを共有できる相手とバンドをやるのが最高の歓びであり、そんな相手に巡り会う為に人はロケンローし続けるのかもしれない。それはまさに炎の上の踊りに他ならない。ただし心の炎は移ろい易いので、常に同じ相手と共に踊ることが出来るとは限らない。そういう意味では、この三人の心の炎はこの1ヶ月強の間に共に最高潮に燃え上がったと言えるだろう。



約3ヶ月半に亘って燃えてきた心の炎は、この日のステージで一気に燃え尽きたのかもしれない。夢から醒めたようにメンバーそれぞれが個別の活動に戻っていく。しかしまたいつの日か、三人の炎が一緒に高まったとき、夢の中からGWFが再び姿を現すことを楽しみにしていたい。



一本気
金の濡れ指
炎の舞踏

THE BIRTHDAY(チバユウスケ)

The Birthday、10周年イヤー幕開け告げる「I KNOW」「MOTHER」

MANNISH BOYS(中村達也)

MANNISH BOYS、“2ケツ”と“3ケツ”で全国行脚する夏ツアー

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【Disc Review】木管ジャズの黄金郷~ハリス・アイゼンシュタッド『ゴールデン・ステートII』

2015年05月01日 10時29分04秒 | 素晴らしき変態音楽


『Harris Eisenstadt/Golden State II』

Songlines Recordings - SGL 1610-2

Harris Eisenstadt (ds)
Michael Moore (cl)
Sara Schoenbeck (bassoon)
Mark Dresser (b)

1. The Arrangement Of Unequal Things
2. Seven In Six / A Particularity With A Universal Resonance
3. A Kind Of Resigned Indignation
4. Agency
5. Gleaning

Composed by Harris Eisenstadt


photo by Ziga Koritnik

妄想力を刺激する木管ジャズの黄金郷

管楽器には金管と木管がある。楽器の素材が金属製か木製かには無関係というが、実に紛らわしい分類である。高校のブラスバンド部のパート練習は打楽器、金管、木管に分かれていた。サックスは金属製だが木管グループである。純木製(100% Pure Wood)のクラリネットやオーボエ、金属製だが細くてスマートなフルートやピッコロといった直線管楽器に対して、U字型真鍮のサックス隊は、文字通り捻くれた変わり者集団のようだった。”ストレート”な木管楽器群の中で、大きさと木目の美しさでひときわ高貴なオーラを放っていたのがバスーンだった。大きさだけなら自分のバリトン・サックスも負けていないが、塗装の剥げた錆色の管が不格好に曲がりくねった様は、どう見てもノートルダムの鐘衝き男カジモドだった。仲間だと思っていたバスクラリネットも、バスーンの隣で勝ち誇った笑みを浮かべていた。

しかしポピュラー音楽、特に即興音楽に於いてはサックスこそ花形。ブラバン時代の鬱憤を晴らすかのように、センターで吹き捲くるサックス奏者の顔は、晴れ晴れと輝いていた。そんな即興ジャズ・シーンに突然女王バスーンと執事クラリネットが乱入した。贅を尽くした上流階級専用倶楽部の木目調の舞台に大人しく座っていればいいものを、何故また喧騒の街ブルックリンの極端音楽家の隠れ家に紛れ込んだのか。訝しむ気持ちを抑えてお手並み拝見と洒落込んだら、優雅な美貌の内に狂気を孕んだ崖っぷちのバランス感覚に驚愕しつつ魅惑され、過去は忘れて、即興義兄弟の契りを結んだ。

そんな妄想に耽るほど『ゴールデン・ステートII』の音楽は想像力を刺激する。筆者の場合は高校時代の想い出だったが、聴き手によって喚起されるイメージは様々だろう。リーダーのハリス・アイゼンシュタッドは、1975年カナダのオンタリオ生まれのドラム奏者/作曲家。ニューヨーク、ロサンゼルス、アフリカのガンビアに住んで、ジャズや即興音楽だけでなく、アフリカ音楽や舞台音楽、オーケストラの作曲などを手がけてきた。これまで50作を超えるレコーディング作品に参加し、リーダー作も15作を数える。現在はブルックリンをベースに活動する。

2012年にハリスとバスーン奏者の妻サラ・シェーネベックがカリフォルニア芸術協会のレジデンシーでロサンゼルスに滞在した時に、クラシカルな楽器を即興音楽と融合しようと考え、南カリフォルニア在住のマーク・ドレッサー(b)とニコル・ミッチェル(fl)と結成したのがゴールデン・ステート(カリフォルニア州の別称)だった。その編成で2013年に1stアルバム『Golden State』(Songlines)をリリースし高評価を得る。2014年にカナダの夏フェス・ツアーを企画するが、ニコルが参加できず、代わりにアムステルダム在住のベテラン・リード奏者マイケル・ムーアがクラリネットで加わった。そのカナダ・ツアーの最終日、ヴァンクーヴァー・インターナショナル・ジャズ・フェスティバルでのステージを収めたのが本作。

バスーンとクラリネットの室内楽的響きが、アルコが印象的なベースの馥郁たる低音と共鳴し、柔軟なドラムのリズムに導かれて、次第に道を踏み外して行く様子が、ハリスの有機的なコンポジションで描き出される。作曲と即興/ソロとアンサンブルの境界線が曖昧になり、現実と仮想/正気と狂気/肉体と幽体が渾然一体となって聴き手を包み込む。四本の糸に絡み取られた聴き手の魂は、夢想の世界に誘(いざな)われ、演者と聴者の関係すら暮夜けて、黄金色に染まって共振する。異なる楽器の格闘技ではなく、異なるからこそ生まれるスポンテニアスな交歓の歓びと興奮を呼び起こす作曲センスは、ハリスのドラマーならではの包容力とバランス感覚の証である。(剛田武)


Harris Eisenstadt公式サイト

バスーンで
バスンと一発
バストアップ

▼プログレ界のバスーン女子リンゼイ・クーパー(ヘンリー・カウ)


▼地下音楽界のバスーン女子長谷川真子(マヘル・シャラル・ハシュ・バズ)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする