A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

GLIM SPANKY@東京キネマ倶楽部 2015.5.17(sun)

2015年05月19日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


GLIM SPANKY
「褒めろよ」リリースツアーファイナルワンマン
“Velvet Theater in 東京キネマ倶楽部”




Drop'sと並ぶブルース女子バンドGLIM SPANKYのワンマンライヴに初参戦。会場は3月にDrop'sワンマンを観た東京キネマ倶楽部。思えばこの会場で観たのはキノコホテル、アーバンギャルド、大森靖子&THEピンクトカレフ、赤い公園、八十八ヶ所巡礼、マヘル・シャラル・ハシュ・バズなどどこか時代の斜め上に位置するバンドばかり。ラブホテルと文人の街(Wikipedia参照)鶯谷の名物ホールとして、都心のヴィニューに飽き足らない個性的楽団・楽士に好まれている。
Drop's@東京キネマ倶楽部/灰野敬二+狩俣道夫+森重靖宗@Bar Isshee 2015.3.27(fri)



ロックオヤジの姿目立つ客層はDrop'sと良く似ている。中野ミホ(Drop's)より3学年上の松尾レミ(GLIM SPANKY)は、この劇場でライヴするのを夢見ていたという。ステージ後ろに光る電光文字の「VELVET THEATER」とは、持ち歌のタイトルだが、元グランドキャバレーの絨毯張り床の上でのイベントタイトルに相応しい。 天井からは万国旗風の三角の旗と裸電球の列が吊り下がる。このホールでやると、何故かミュージシャン自ら工夫して装飾したくなるらしい。



Drop'sと異なり、GLIM SPANKYは松尾レミ(vo.g)と亀本寛貴(g)の二人組ユニットだから、サポートメンバーを迎えたステージが果たしてバンドサウンドになるのか興味深かった。最初のうちは、自己アピールに長けたドラマーと、正反対に殆ど動かない大人しいベースが二重の意味で浮いている気がしたが、ファンキーなビートの3曲目辺りから次第に一体感が生まれ、びりびり腰にくるグルーヴがフロアに伝わる。亀本のリバースのファイアーバードから放出されるウーマントーンの粘り気が、ビートと戯れてグルグル廻る。



何よりも魅力的なのはレミの立ち姿。ブラック・ワンピに白ソックス。頭のリボンは魔女の宅急便のキキのモチーフ。ちょっと見清楚なお嬢様の物腰なのに、テレキャスを持った途端に酒焼けしたスモーキーな声でがなる。嗚呼ギャップ萌え。写真のシシドカフカ風前髪パッツンくっきりシャドーではなく、自然に流した前髪と薄化粧が普通っぽくてコレまた萌え要素UP。最も痺れたのは、友人のバンドの歌詞として紹介した「ロックンロール、皆でやればJ-POP」という掟破りの標語だった。客席からのブーイングをものともせず、言い放った度胸は爽快至極。メジャーデビューしても臆すこと無く我が道を貫く、そんな屈強女子が歌うロケンローは、J-POPと呼ばれたとしても決して魂を売り渡すことはないだろう。



<Set List>
1.サンライズジャーニー
2.焦燥
3.ダミーロックとブルース
4.Flower Song
5.MIDNIGHT CIRCUS
6.題名未定曲
7.ヴェルヴェットシアター
8.夜が明けたら
9.踊りに行こうぜ
10.MOVE OVER
11.褒めろよ
12.リアル鬼ごっこ
13.WONDER ALONE
14.夜風の街
15.大人になったら
アンコール1
16.ロルカ
17.Gypsy
アンコール2
18.NIGHT LAN DOT


[2015/5/19 17:53追加]
GLIM SPANKY、「褒めろよ」リリースツアー“Velvet Theater”で閉幕

ブルース女子
フォーキー女子で
ギター女子

フォーキー女子ぶりにも惚れ惚れ。

GLIM SPANKY、アルバムリリース&BLITZワンマン開催を発表
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【即興演奏家に脅威】ついに登場!完全自動即興演奏ロボット『io 0.0.1 beta++』の驚異の世界

2015年05月18日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


アイルランド在住の韓国系ギタリスト、パク・ハンアルは、ワダダ・レオ・スミス、チャールズ・ヘイワード、ロル・コクスヒル、ポール・ダンモール、エヴァン・パーカーをはじめ欧米の即興演奏家と数多く共演する注目の演奏家である。NY即興シーンとの関わりも深く、最新作『アノミック・アフェイジア』は、キャサリン・シコラ(sax)、ニック・ディドゥコフスキー(g)、ジョシュ・シントン(sax)と共にNYで結成したふたつのグループEris 136199とMetis 9の演奏を収めたアルバム。「失名詞症(ものの名称を認識できない失語症)」を意味するタイトル通り、命名不可能な即興物音セッションを展開している。



友人たちに「ハン」(ハン・ベニンクと同じ発音)と呼ばれているというパクの在籍するグループには数字絡みの名前が多い。上記の他にチャールズ・ヘイワード(ds)、イアン・スミス(tp)とのMathulde 253、リチャード・バレット(electro)とのデュオは単純に Numbersという。数学を突き詰めると具体的な数値の存在しない哲学思想に近づくというから、即興の極致の不可知を追求する活動理念の表出かもしれない。その中でも目を惹くのがio 0.0.1 beta++というユニットである。



スリムにしたJOJO広重からファズを取り上げたような鋭角的なプレイのギタリストの公式サイトの表題には「Han-earl Park:guitarist, improviser, constructor」とある。ギタリストと即興演奏家は良いとして、constructor(建設者、構築者)とは? その答えがio 0.0.1 beta++である。



io 0.0.1 beta++とはユニット名であると共に、基本的に4ピースでのこのユニットのリーダーの名前でもある。しかし彼(便宜上)は生き物ではない。2008年にハンが建設した即興演奏ロボットなのである。開発の経緯と仕組みについては公式サイトに概要が書いてあるので詳述はしないが、材料は配管、台所用品、スピーカー、ミサイルスイッチなどで、手作りのチープ感がほのぼのした風情を醸し出している。



即興演奏ロボットの演奏は2010年5月にレコーディングされたアルバム『io 0.0.1 beta++』で聴ける。パク(g)、ブルース・コーツ(as, ss)、フランジスカ・シュレーダー(ss)とio 0.0.1 beta++の共演による男二人女ひとりロボット1体のセッションは、絶妙のタイミングでピロロロと鳴く電子音が不思議な浮遊間を持った第4次元音響。3人と1体は2015年ヨーロッパ・ツアーを計画し、現在オファーを募集中。



人工知能の発達で、チェスや将棋をするコンピューターや、サッカーロボットや掃除ロボットなど、人間が操作しなくても自分で考え行動する機械が登場し、人間以上の実力を発揮しているが、いつかは即興音楽の分野でも、人工知能が人間以上に豊かな感性を持つ時代が来るのかもしれない。でもこんな可愛いハンドメイドロボなら許しちゃう?



公式サイト

ロボットに
インプロさせて
インプルーヴ


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【リズムの時代】第3回「弛緩の時代や何ぞ脈動の歓びに如かん」視姦者の私感的ジャズ・ドラム史観

2015年05月17日 04時01分08秒 | 素晴らしき変態音楽

(Han Bennink)

ブラスバンドでフルートやサックスを吹いていた中高生の頃、ナット・ヘントフの小説『ジャズ・カントリー』に感化されてモダン・ジャズの名盤を何枚か聴いたが、今ひとつのめり込めなかった。その理由のひとつはドラムにあった。ロックやパンクの、ヴォーカルやギターを喰ってやる!という気迫に満ちたドラムに比べ、クールな表情で4ビートを刻むばかりのジャズ・ドラムは退屈でしかなかった。学生時代にやっていた自分のロック・バンドのドラマーが欠席した時に、ジャズ研のドラマーにヘルプを頼んだら、あまりの音量とパワー不足に唖然としたこともあった。


(Sunny Murray)

そんな筆者のジャズ・ドラム観をひっくり返したのが、アルバート・アイラーの『スピリッツ・リジョイス』に於けるサニー・マレイのプレイだった。黒人霊歌を好き勝手に吹き散らすホーン・トリオや心ここに在らずの二人のベースも凄いが、突然思い出したように「タン!タン!タン!」とスネアを連打するマレイの演奏は、祝宴で浮かれる精霊たちを地獄の底から手招きするような不気味なオーラに満ちていた。また、1982年のミシャ・メンゲルベルク&ICPオーケストラの来日公演で観たハン・ベニンクの、ドラム・セットを叩き壊さんばかりのパワーと、おもちゃをばら撒き床をスティックで叩きまわるコミカルなプレイにも衝撃を受け、即興音楽におけるドラムの自由度と可能性に興味を持ち始めた。



ドラムに注目してレコードを聴くと、ドラマーのもう一つの個性が見えてきた。グループの統率者としての役割である。リズム・キープやグルーヴ感といった演奏面だけではなく、精神面での支柱としての才能を持つドラマーは少なくない。アート・ブレイキー、エルヴィン・ジョーンズ、トニー・ウィリアムス、ジャック・ディジョネット、富樫雅彦といったドラマーは、優れた演奏家であるだけでなく、自己のグループやプロジェクトのリーダーとして独創的な音楽をクリエイトしてきた。



昨年1月、クラブ・ジャズの最新型として人気のロバート・グラスパー・エクスペリメントのベーシスト、デリック・ホッジの来日公演を観た。トランペットとツイン・キーボードのアンサンブルはかつてのフューチャー・ジャズに通じるが、度肝を抜かれたのがドラマーの異常なプレイだった。ダンス・ビートだが、アブストラクトなドラミングに気を取られると脱臼しそう。ヒップホップやR&Bの要素以上に、革命的なリズム・センスこそ新世代ジャズの肝ではなかろうか、と目から鱗の思いがした。



筆者がニューヨーク即興シーンに関心を持ったきっかけも、メアリー・ハルヴァーソンのロック・バンド、ピープルでのケヴィン・シェイの変態的なドラミングだった。シェイの名前でYouTube検索して見つけたニューヨークの最新ライヴ動画で、数々のユニークなドラマーの存在を知った。ケヴィン・シェアやウィーゼル・ウォルターなど破天荒なハードコア・スタイルだけではなく、トマ・フジワラやハリス・アイゼンシュタッドなど、作曲センスを備えたバンドリーダーとして活動するドラマーもいる。それぞれがドラム演奏の未知の可能性を追求する求道者でもある。音楽スタイルや常識に囚われず自由な精神で新たな時代のリズムを刻むドラム演奏家の存在が、シーンを面白くしていることは間違いない。

<NY即興シーンの個性派ドラマーたち>
▼People feat. Kevin Shea - Likelihood of Bang

People / 3x a Woman: The Misplaced Files

▼Weasel Walter drum solo at the Lydia Lunch show - Geel - March 30, 2015

Chris Pitsiokos, Weasel Walter, Ron Anderson / MAXIMALISM

▼Tomas Fujiwara Trio "Insomniac's Delight" @ Cornelia Street Café 10-23-14

Tomas Fujiwara & The Hook Up/After All Is Said

▼Harris Eisenstadt September Trio Featurette

Harris Eisenstadt/Golden State II

▼Andrew Drury - Drums for Warren! benefit - Brecht Forum, NYC - Jan 20 2013

Andrew Drury/The Drum & Content Provider

▼Mike Pride - Solo Drums - at Freddy's Back Room, Brooklyn - Oct 22 2013


終日叩くか
ゆっくり叩くか
叩かぬか

▼Todd Rundgren - Bang the Drum All Day


▼Emmylou Harris ~ Bang the Drum Slowly


▼The Waterboys / Don't Bang The Drum


[2015/5/17 15:00 マーク・ラパポート/じゃずじゃ様のアドバイスで、アーティストの仮名表記を修正しました]
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『五月』別名『五色月(いろいろづき)』に色づく女子五組~でんぱ/きっか/チャットモ/P☆/ベビメタ

2015年05月15日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


五月病(ごがつびょう)とは、新人社員や大学の新入生などに見られる、新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称である。抑うつ、無気力、不安感、焦りなどが特徴的な症状。しかし、五月の別名から皐月病(さつきびょう)と呼べば風流に、五色月病(イロイロヅキびょう)と呼べば、WKTK(ワクテカ)ばびゅっ!なイメージになる。要は心の持ち方次第で、「鬱」も「美しく」変えられるのだ。

黄金週間の終わりと一緒にでんぱ組.inc「WWD大冒険TOUR 2015」がフィナーレを迎え、しょこたん♥でんぱ組も5月10日に活動を終了し、燃え尽き症候群で無力さに絶望したでんぱ者(ヲタ)だって、WORLD TOURへの期待に心がトキメキ始める今日この頃。そんな季節の変り目におススメの、五月雨(さみだれ)キラキラ女子を集めてみた。五組の女子ビデを舐めるように味わった後でも、あなた方の心の中にピンクに色どられていない処があったらすぐ電話をして下さい。


しょこたん 大号泣で幕を閉じたでんぱ組.incとの最後のイベント「これで終わるなんて信じられない!」

●でんぱ組.inc『でんぱーりーナイト de パーリー in 国立代々木第一体育館』


2015年2月10日&11日、国立代々木第一体育館2Daysで2万人を動員したでんぱ組.inc史上最大規模ライブ「でんぱーりーナイト de パーリー」が早くも映像作品化!2日目の11日公演を余す事なく全22曲収録。光と色が消えた世界で、でんぱ組.incが妖精たちを探し出すというファンタジーな世界に迷い込んでしまったようなストーリーで始まり、トロッコに乗りセンターステージでのパフォーマンスを繰り広げたり、後半は生バンドと共にオーディエンスを熱狂させたでんぱ組.incが放つエンターテイメントが存分に味わえる内容となっている。




●吉川友


前作『あまいメロディー/「すき」の数え方』に続く、2015年5月6日リリースのシングル。タイトル曲はオペラともミュージカルとも呼びたくなるような、アイドル史上過去に類を見ない17分超大長編。“きっか”が女の一生を謳う、異色の超大作となっている。




●PASSPO☆『Beef or Chicken?』


2015年、8人体制となった新生PASSPO☆の第一弾リリースとなる、通算4枚目のオリジナル・アルバム。シングル「Perfect Sky」「向日葵」をはじめ、収録曲はバラエティに富んだアプローチのROCKを表現。楽曲クオリティにも定評のあるPASSPO☆だからこそできる、攻めの姿勢で臨む一枚。




●チャットモンチー『共鳴』


チャットモンチーの2年7カ月ぶり、通算6枚目のアルバム。男陣(恒岡章、下村亮介)、乙女団(世武裕子、北野愛子)というふたつの4ピース、そして橋本絵莉子&福岡晃子+恒岡章の3ピース、橋本&福岡の2ピースという、4つの形態で自在にレコーディング。常に変化を続けるチャットモンチーらしい、唯一無二の音が詰まった、さらなる音楽的進化を示す楽曲を収録。




●BABYMETAL『LIVE IN LONDON -BABYMETAL WORLD TOUR 2014-』


5月9日メキシコを皮切りにWORLD TOUR 2015をスタートしたBABYMETALの2014年ワールドツアーからロンドン2公演の模様をBD化「BABYMETAL DEATH」「いいね!」「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」「悪夢の輪舞曲」「おねだり大作戦」「Catch me if you can」「紅月 -アカツキ-」「4の歌」ほかを収録。デビュー・アルバム『BABYMETAL』の世界リリースも決定した。



女子ビデを
眺めてシュッシュッ!!
パンチのれんしゅう

えいたそ☆成瀬瑛美 @eitaso · 5月9日
シュッシュッ!!!☆ #パンチのれんしゅうwww
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【追憶バンド奇譚】南半球の「笑う道化師」ラフィング・クラウンズと「玩具愛」トーイ・ラヴ

2015年05月13日 00時15分15秒 | ロッケンロール万歳!


日曜日のAnd Also The Trees公演の開演前SEのエレポップやポジティヴパンクやネオサイケを聴いていたら、オーストラリアのバンド最大のヒット曲「アンダー・ザ・ミルキーウェイ」が流れて、思わずオオッと心の中で拳を握った。近くでおしゃべりに興じていた元ニューウェイヴギャルらしきアラフォー女子グループの一人が「この声聴いたことがある、誰だっけ」と言い出した。心の中で「ザ・チャーチですよ!」と叫んでみたが勿論届く訳がない。他のおば...、否、女子が楽曲検索アプリで調べ「The Church?知らなーい」と言い放った。うーん、ヒットと言っても全米TOP40に入った程度だから知られてないのも当然といえば当然。80年代半ばにAATTと並んで偏愛したザ・チャーチのことを考えていたら、他にもオージー出身のお気に入りバンドを思い出した。AATTのライヴが懐古趣味とは無縁の光を放っていたのは確かだが、ノスタルジーを喚起したことも事実である。AATTやThe Churchと比較にならないくらい知名度の低い南半球の溺愛バンド二組を取り上げる。
【豪州ロック浪漫派】ザ・チャーチ~南半球のサイケデリック・ロック交響楽

●ラフィング・クラウンズ LAUGHING CLOWNS


82年10月、吉祥寺ダイヤ街コスモビル2Fから東急裏へ移転した輸入盤店「レコード舎」の新装開店セールで見つけたレコードの裏ジャケには、如何にもニューウェイヴ然とした男性5人のポートレイト。メンバークレジットにサックスと生ピアノが居るのが気になった。下手なキュビズム風イラストにも引っ掛かり500円ならいいかと購入。投げ槍なヴォーカルに奔放なピアノとフリーキーなサックスが絡む躍動的なロックサウンドは、ポジパンやネオサイケとはひと味違っていた。オーストラリア・シドニーにて1979年に人気パンク・バンド、ザ・セインツのギタリストだったエド・クエッパーを中心に結成されたポストパンク・バンド。フリージャズ、クラウトロック、ブルーグラスの要素を持った音世界はヨーロッパでも評価されイギリス盤もリリースされた。日本の雑誌でもレビューされたが、特に話題になった記憶はない。女性サックスが加わった80年代半ばの音源は、前衛と抒情が同居した独特のロマンティシズムの香りに彩られている。現在Fecebookにアーティストページがあり、当時の記事や写真が発掘されている。現地ではカルト的な人気を誇っている。


LAUGHING CLOWNS Official Facebook page



●トーイ・ラヴ TOY LOVE


オーストラリアの兄弟国ニュージーランドで1978年に結成された5人組。80年にアメリカのBOMPレコードから出たコンピLP『WAVE』に収録された「FROG」という曲で、カエルを真似たコミカル且つ実験的な演奏を聴き気になっていたところ、下北沢のレコファンで唯一のLPに遭遇し300円という破格値で購入。60年代ガレージ風のオルガンと演劇的なヴォーカルが光るプチ変態性サイケデリックロックは、レイン・パレードやドリーム・シンジケートなどペイズリー・アンダーグラウンドに通じる。筆者の知る限りではこのバンドを紹介したメディアは日本には殆ど無い筈。当時偏愛したことすら忘れていたら、一昨年に突然2枚組未発表曲集LPがリリースされて驚いた。ニュージーランドの隠れた名バンドとして再評価されているようだ。 


TOY LOVE Official Site

オーストと
ニュージーあれば
嬉しかれ

▼オージーロックの雄、ザ・チャーチ、2105年3月21日SXWXでのフルライヴ映像
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アンド・オールソー・ザ・トゥリーズ@新宿MARZ 2015.5.10(sun)

2015年05月12日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


英国音楽/VINYL JAPAN presents
【AND ALSO THE TREES】
奇蹟の初来日!! 英国耽美系ネオサイケ/ギターポップバンド、昨年、THE CUREのXmas GigsのSpecial Guestとして出演したばかり俄然注目をあびるAATT!!!! 絶好のタイミングで2015年5月、初の来日公演決定!!

2015/05/09(sat) & 10(sun)
新宿MARZ
09(sat) OPEN the DOOR 18:00/START to PLAY 19:00
10(sun) OPEN the DOOR 17:00/START to PLAY 18:00
Ticket in advance 6,500 yen (inc VAT) plus one drink fee at door of the venue



30年以上前に心酔していた英国の深い木々AATTが結成36年目にして初来日。日本盤は1984年のデビュー作『And Also The Trees(沈黙の宴)』が出ただけだが、『Fool's Mate』や『DOLL』などインディー系音楽誌で美麗なポートレイトやインタビューが掲載され、ニューウェイヴ少女の人気を博したという。イギリスの田舎の古城に住む美少年兄弟は、やおい系妄想少女漫画の恰好のモデルだった。高校時代にジルベール(漫画『風と木の詩』の美少年)と渾名された筆者だが、AATTに惹かれたのはしかし少年愛に目ざめたからではない。


【英国ロックの迷宮】アンド・オールソー・ザ・トゥリーズ~悠久に沈黙する木々の訪れ~

肖像写真やジャケットアートに見られる透徹した美意識、陰鬱なサウンドに色濃いゴシック趣味、そして何よりも魅力的だったのがガラスの破片を拾い集めるような繊細なギターだった。ピート・タウンジェンド譲りの風車奏法やハイジャンプでパワーコードを掻き鳴らすギタースタイルの筆者にとって、俯いたままアルペジオで蚊の鳴くような弱音でギターを弾くことは、真綿で首を絞められるような気分だったが、逆に自由を束縛されるマゾヒスティックな甘い悦びがあった。当時流行った古着のペイズリー柄シャツや昔父が着ていたカシミアのロングコートに身を包み、ギターのソフトケースを肩にかけて、いつも寒そうにコートのポケットに手を入れて大学の銀杏並木を足早に歩き続けた。



当時、感情表現過多の大袈裟なヴォーカルと感じて苦手だったサイモン・ヒュー・ジョーンズの歌う姿を目の当たりにして、それが自己陶酔や耽美派気取りのカッコつけとはまったく異なることを実感した。彼は歌を唄うのではなく、全身を使って詩を叫んでいるのである。シェークスピア劇に象徴されるように、英語圏に於いては演劇と詩作と音楽は同じ地平の表現行為と言える。当然歌詞の内容が重要になるし、AATTが高く評価される理由は深遠な歌詞にある。だから彼らの真価をレコードだけで判断するのは片手落ちに他ならない。初めて生でライヴを経験することで、思いも寄らぬロック表現の深みを知ることが出来た。



演奏に酔い痴れながら心に去来したのは、当時愛読したエドガー・アラン・ポーやラヴクラフトの幻想文学だった。怪奇小説と呼ぶには恐怖感や驚きの要素が少ないこれらの小説の世界にどっぷりハマったのは、崩壊の途を辿る田舎の没落貴族の住処を舞台に発生する荒唐無稽な妄想現象の数々だった。人間世界のすぐそばに異種生物が潜むという世界観は、墓場の鬼太郎の妖怪話に瓜二つ。有り得ない恐怖体験のバカらしさに笑いながらも、もしかしたらと戦慄する。二重の意味で時代錯誤的なAATTサウンドに、浮き世を忘れて陶酔した。目で見て耳で聞く合法ドラッグ体験は、時間と空間を飛び越えて、中世時代の英国牧歌紀行への導きだった。


AND ALSO THE TREES Official Site

三十五年
続けて来たのは
理由がある

Set List
1. Prince Rupert
2. Shaletown
3. Maps in the Wrists and Arms
4. Wallpaper Dying
5. Shantell
6. A Room Lives in Lucy
7. Virus Meadow
8. Mermen of Lea
9. Paradiso
10. He Walked Through the Dew
11. Brother Fear
12. Mucklow
13. Angel, Devil, Man and Beast
14. Only
15. Your Guess
encore
16. Slow Pulse Boy
17. Burn Down This Town
18. Dialogue
19. Rive Droite

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しょこたん♥でんぱ組/おやゆびプリンセス@昭島MORI TOWN 2015.5.9(sat)

2015年05月11日 00時27分49秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


しょこたん♥でんぱ組
「PUNCH LINE!」感謝のスペシャルイベント


ファンのみなさまの熱いご要望にお応えして、4/29発売 しょこたん❤でんぱ組のニューシングル「PUNCH LINE!」のリリースを記念し、東京都・モリタウン昭島 MOVIX前ガーデンステージにて、しょこたん♥でんぱ組の全メンバーで、「PUNCH LINE!」感謝のスペシャルフリーライブ&『しょこたん❤でんぱ組スペシャル生写真』パンチランダムお渡し会を開催します。

<公演日時・会場>
5月9日(土) 東京都・モリタウン昭島MOVIX前ガーデンステージ
イベント内容:スペシャルライブ&メンバー別『しょこたん❤でんぱ組スペシャル生写真』パンチランダムお渡し会
イベント開始時刻:18:00~(前後する可能性がございます)
CD販売開始時刻:10:00~予定(MOVIX前ガーデンステージにて受付)

【イベント内容】
①「PUNCH LINE!」感謝のスペシャルフリーライブ
しょこたん♥でんぱ組の全メンバーによる感謝のスペシャルフリーライブを開催します。
観覧はフリーとなりますが、近くでパンチラを見たい方は、優先エリアへのご入場をお勧めしております。

②メンバー別『しょこたん❤でんぱ組スペシャル生写真』パンチランダムお渡し会
メンバー別による『しょこたん❤でんぱ組スペシャル生写真』パンチランダムお渡し会となります。
基本的にはメンバーごとの生写真お渡し会ですが、ランダムで当たりが出たら、生写真に加えて『パンチ』のプレゼントがございます。
メンバーからの『パンチ』は、某ア○トニオ○木さんの『ビンタ』のようなもので、闘魂的な何かが注入されるはずです。
ただし、あまりにも“くだらない”企画なので、お断り頂いても構いません。



ヲタク女子お色気交歓ユニット「しょこたん♥(大好き)でんぱ組」はテレビアニメ『PUNCH LINE』の主題歌のために考案され、数本のTVやイベントでの話題作りの企画ユニットだった。だが予想以上に本人達が盛り上がり、特に中川翔子のボッチ卒業宣言の大きな動機・要因として、主にネット上で両者のファンを中心に大きくクローズアップされるに至った。急遽発表されたLINE生放送やフリーライブは「パンチラ」ばかりか「パンチ」ともリンクし、ドMのヲタを二重の意味で驚喜させるヒートテック効果を生んだ。集まった観客は公式発表で3000人。特典会には長蛇の列が出来、武道館以来接触の機会が減ったでんぱメンバーとの束の間の交歓を楽しんだ。翌日の秋葉原ディアステージでの応募当選者特典イベントを最後に、この特殊交歓ユニットは解体される。涙はあるかもしれないが、この短期女子会が生み出した奇跡は記憶に残ることだろう。










おやゆびプリンセス
『IDOL HEART』リリース記念イベント


【名称】『IDOL HEART』リリース記念イベント(ライブ+特典会)
【日時】5月9日(土)12:00~、14:00~、16:00~ ミニライブ終了後特典会
【会場】モリタウン東館1F 光の広場(東京都昭島市田中町562-1)
【料金】無料
出演メンバー:山本夏生・宮腰愛美・大道澄香・空野青空・土谷雪乃・島田実祐

イベント当日会場にて、おやゆびプリンセスデビューシングル『IDOL HEART』をご購入いただいたお客様は下記の特典会にご参加いただけます。

購入特典⇒下記のいずれか(購入枚数分特典券進呈)
・お好きなメンバーとの握手券1枚
・お好きなメンバーとの2ショットチェキ1枚
・お好きなメンバーのCDサイン券1枚
・メンバー全員との写メを1枚撮れる券



野外ガーデンステージに朝9時半から並んで13時に特典券をゲットしたので、14時から石川県のご当地アイドル「おやゆびプリンセス」のフリーライブを観戦。筆者は小5~中2を金沢で過ごしたので、あまちゃん関連で知ったおやプリを心の中で応援してきたが、まさたえいたそ目当で訪れた昭島で遭遇するとはヲタも方便である。グループ名の由来は親指を曲げた形が能登半島に似ているから、豪雪地方の除雪アイドルを名乗っている、メンバーは総勢10名で今回のリリイベは選抜メンバーで遠征中。素朴なイメージと元気溢れるパフォーマンスと地元意識の高いMCなど、個性的な魅力が溢れる。目指すはでんぱ組よりNegiccoだろう。除雪パワーで頑張りまっし!






おやゆびプリンセス公式サイト

親指と
人差し指で
パンTWO丸見え

▼ご当地アイドルといえばこちらも?



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【リズムの時代】第2回:トマス・フジワラ&ザ・フック・アップ『アフター・オール・イズ・セッド』

2015年05月10日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


トマス・フジワラ
Tomas Fujiwara

マサチューセッツ州ボストンに生まれ育つ。1994年、17歳でニューヨークへ移り、現在までブルックリンに在住。バンド・リーダー及び数々のアーティストとの共演プロジェクトで、現在ニューヨーク・シーンで最も精力的に活動するドラマーのひとりである。
自己のプロジェクト:トマス・フジワラ&ザ・フック・アップ、コルネット奏者テイラー・ホ・バイナムとのデュオ、即興カルテット、サーティーンス・アセンブリー(バイナム、メアリー・ハルヴァーソンg、ジェシカ・パヴォーヌvln)。
主な共演者:マタナ・ロバーツ、アミール・エルサファー、マット・ミッチェル、アンソニー・ブラクストン、ラズウェル・ラッド、ティム・バーン、マーティ・アーリッチ、マイク・リード等。



【Disc Review】Tomas Fujiwara & The Hook Up / After All Is Said』

482 Music 482-1089

Michael Formanek (b)
Mary Halvorson (g)
Brian Settles (ts, fl)
Jonathan Finlayson (tp)
Tomas Fujiwara (ds)

1. Lastly
2. The Comb
3. For Tom and Gerald
4. Boaster's Roast
5. Solar Wind
6. The Hook Up
7. When

All compositions by Tomas Fujiwara
Recorded February 16, 2014 at Systems Two, Brooklyn, NY
Engineered, Mixed, and Mastered by Jon Rosenberg

Produced by Tomas Fujiwara
Executive Producer: Michael Lintner
Cover Photo: Melanie Minichino



リズムの時代をリードする豪腕ドラマーのエロス

集団(即興)演奏の要は、やはりドラマーなのではなかろうか。極論をいえば、他の楽器、例えばギターやサックス、キーボードは個人的にテクニックを磨き、型破りなスタイルや独自の演奏哲学を提示することで、集団の中で目立つことは可能だが、他者を巻き込み、全員を一つの方向に導くことが出来るかどうかは疑問である。逆に自己主張の強いソリストばかりの集団は、侃々諤々の論争や利害衝突に明け暮れるばかりで、共同製作することすら危うい烏合の衆になりかねない。

しかし、そんな集団を後方からじっと俯瞰するドラマーなら、スネアをBANG!と叩くだけで、その場の空気を一変させることが出来る。音量だけではなく、どっしりとした存在感でメンバー全員の心を支えることは、ドラマーならではの資質と言えるだろう。つまりプレイング・マネージャーとして、リーダーとプレイヤー両方の才能を備えることがドラマーの本懐なのである。

ボストン生まれのトマス・フジワラは7歳の頃にバディ・リッチ&マックス・ローチの『リッチVSローチ/2大ドラマーの対決』を聴いてドラマーを志したという。スポーツ好きの少年にとって、誰よりも激しく大音量でドラムを叩くことは、バスケットボールやフットボールと同じようにヒーロー願望を掻き立てられたのだろう。

しかしトマス少年は成長し、試合を重なることでチームワークの大切さを学び、目立つだけがドラマーではないことを知った。17歳でニューヨークに移り住み、バーやレストランの箱バンで生計を立てながら、自分の音楽を追求した。2008年にメアリー・ハルヴァーソン(g)、ブライアン・セトルズ(sax)、ジョナサン・フィンレイソン(tp)といった即興音楽の猛者を集めて結成したのがザ・フック・アップ。「接続」を意味するバンド名通り、多分にスタンドプレイヤー的資質を持つ曲者揃いのメンバーを、トマスのドラムで接続し交歓させることで、トマスの手になる楽曲に命を吹き込み、ソロでは成しえないバンドならではのケミストリーを生み出し、新たな音楽の地平を描き出している。

トマスの役割は、メンバーの自由な精神を最大限に尊重しつつ、要所を締めて演奏の行方をコントロールすること。バスケットの試合に例えれば、メンバーに好き勝手にドリブルやパスを指示しつつ、最終ゴールは自分が決める。少年時代のドラマーの夢に近づいている自信のほどは、CDジャケットの堂々としたポートレートに明らかだ。

「Hook Up」にはスラングで「キスをする」「いちゃいちゃする」「愛を交わす」という意味があるという。そう思って5人の自由奔放な演奏を聴きなおすと、恋愛ゲームのような甘い香りも嗅ぎ取れる。汲めども尽きぬインスピレーションの泉のような音楽である。
(剛田武 2015年4月13日記)

▼Tomas Fujiwara & The Hook-Up - Vision Festival 18 - Roulette, Brooklyn - June 15 2013


ドラマーの
二の腕は
色っぽい

▼Thumbscrew: Live @ The Windup Space, Baltimore, 1/6/2012, (Part 4)


Thumbscrew:Michael Formanek (b) / Mary Halvorson (g) / Tomas Fujiwara (ds)
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謎のフリージャズ・サックス奏者バイロン・アレン『バイロン・アレン・トリオ』『インターフェイス』

2015年05月09日 02時19分40秒 | 素晴らしき変態音楽


バイロン・アレン・・・1939年12月9日 ネブラスカ州オマハ生まれ。サキソフォン奏者/作曲家。



The Byron Allen Trio
Label:ESP Disk ‎– 1005
Released:1965

A1 Time Is Past 10:27
A2 Three Steps In The Right Direction 8:38
B1 Decision For The Cole-Man 9:30
B2 Today's Blues Tomorrow 14:44

Byron Allen (alto sax)
Maceo Gilchrist (bass)
Teddy Robinson (percussion)

"He was a guy who was out there, who had talent and would by ready." Bassist William Parker on Byron Allen.
「彼は才能があり、準備万端で、すぐ外で出番を待っていた。」 ウィリアム・パーカーのバイロン・アレンについての言葉。

『バイロン・アレン・トリオ』はESPディスクのジャズ最初の作品群のひとつだった。1964年9月25日の午後にマンハッタンの真ん中のミラサウンド・スタジオで録音されたデビュー作。彼をESPディスクに推薦したのはオーネット・コールマンであり、収録曲の『コール・マンの為の決意(Decision for the Cole-Man)にその繋がりが反映されている。アレンと彼のトリオのプレイは、デヴィッド・アイゼンソン(b)、チャールズ・モフェット(ds)時代のコールマン・トリオにどこか似ている。かといって、アレンとメイシオ・ギルクライスト(b)、テッド・ロビンソン(ds)がこの4曲で自らのサウンドを提示していないという訳ではない。このアルバム以降、アレンは15年後にもう一枚しかアルバムを残していないが、このLPは熱心なジャズファンの間で伝説的な地位を得ている。
アレンのアプローチは、最終ゴールへのあらゆる道筋を探索し、時に道の途中でふと立ち止まり、軌跡を分解してから再構築し、そのうえで新たな道へ踏み出す。とてもアカデミックに聴こえるが、アレンのプレイはブルースに深く根付いている。知られざるマスターピースの1作である。
(ESP-DISK公式サイト)

1965年にデビューした時にESPはバイロン・アレンを「チャーリー・パーカーの精神的後継者」と呼んだ。しかし彼のアルトサックスを一聴して即座に思い浮かぶのは、レーベルに彼を紹介した男オーネット・コールマンであるアレンのラフな音は、彼の音楽的アイデアに追いついていない場合もある(時々明らかに音程がフラットする)。しかし注意深く聴けば、彼のソロには、ジミー・ライオンズを除けば、当時のフリージャズ演奏家としてはユニークな、バード(チャーリー・パーカー)のような華やかさがある。
アレンとテッド・ロビンソン(ds)、メイシオ・ギルクライスト(b)の対話は正直言ってユルいが、彼らの演奏には、レーベルとしての名声にも関わらず、ESPのアルバムではあまり聴けないエネルギーがある。「Time Is Past」でロビンソンはフォービートに乗せて、硬質なスネア・ロールとシンバルでドライヴする。「Three Steps in the Right Direction」はギルクライストが大活躍し、繰り返しや速度を遅くすることなく、高速でノートを奏でる。「Decision for the Cole-Man」でオーネットに目配せするが、トリオは明らかに独自のアイデアを持っている。特にアルコとフィンガー・ピッキングを素早く弾き分けるギルクライスト。「Today’s Blues Tomorrow」はとりとめないが、進むにつれた音楽の基本を構成し再構成し、グルーヴを見出したと思えば、容易く捨て去り別のものと入れ替える。
アレンは約15年後にもう一枚アルバムをリリースし、それ以来消息不明である。ESPの膨大なカタログのなかの無名の作品の中でも、本作はもっと認識されるべき。マリオン・ブラウン、ソニー・シモンズと並びESPを代表するアルトサックス奏者のひとりである。
(JazzTimes)

リロイ・ジョーンズが初期の〈ESP〉作品の中でジュゼッピ・ローガン、ニューヨーク・アート・カルテットと共に最も高い評価を与えたバイロン・アレン。チャーリー・パーカー以降の奏法をきちんと身に付けた上でフリーに進んだ彼のプレイは、当時同じピアノレス・トリオで演奏していたオーネット・コールマン以上に明快で切れが良く、大きな期待が寄せられました。その後のレコーディングがとても少ないのは残念ですが、それだけにこのアルバムの価値は高く、アレンのアルトが発する鋭いきらめきは今もなお聴く者を圧倒します。
(Tower Records Online)

Byron Allen(as)、Theodore Robinson(per)、Maceo Gilchrist(b)のトリオによる1964年作品。リーダーの Byron Allen については素性は不明で、この1枚しかアルバムを残していないようです。音楽はアルバム・アートほどには厳しくなく、ESPレーベルの中でもかなりストレートな仕上がりで、Ornette Coleman「At the Golden Circle in Stockholm, Vol.1」あたりの躍動感あるアルトを想像してもらえば間違いありません。
自由に伸び縮みしながらも明確にリズムを設定するドラムとベースに支えられて、Byron Allen がまるで物語りのような素晴らしい構築力のソロを15分に渡って展開する[4]が凄いです。そのクライマックスをめがけて、ブルースを基底にトリオが相互に影響を及ぼし合いながら[1][2][3]と加速度的に調子を上げて行く。シンプルな編成だから全体にとてもスッキリしていて、熱さが直接伝わってきます。
(amazonカスタマーレビュー)




Interface : A Common Boundary Between Matter and Space

Label:ACC Productions ‎– ACC 791 (34538)
Released:1979

A1 True Believer 8:05
A2 Blues From Everyone 7:10
A3 No Time To Waste 7:23
B1 No Time To Waste 13:20
B2 Drum Solo 12:19

Byron Allen (sax)
Tim Jordan (ds)
Robbie Bitanga (g)

1965年バイロン・アレン・トリオのレコードはニューヨークの即興シーンを奮起させた。『インターフェイス』はその音楽に新たな興奮を付け加える。どちらのレコードも偶然にもグロリアとバイロン・アレンの間の子供の誕生と時を同じくして生まれた。
バイロンは音楽と自分の娘達をどちらも同じく「私の子供たち」と呼ぶ。子供たちという用語が音楽に対して使われると、子供の誕生を手伝う際の思いやりという想定される責任を暗示している。それは闘いではなく人生の道筋である。
グロリアはサンフランシスコの学校を通り過ぎた時に音楽を聴いた。そうやって人生の道筋が始まった。ティム・ジョーダンとロビー・ビタンガがバイロンと一緒に音楽の旅路を創り出した。その時間はインターフェイス(境界面)と呼ばれ、物質と宇宙の間の共通の境界である。
(アルバム・ライナーノーツ)

筆者の通っていた大学では、年に2,3回程度大学生協で中古レコードセールが開催された。おそらく関東近隣の大学を順繰りに巡業していたとおぼしきその売り場には500円均一コーナーが常設されており、それこそマイナー音楽愛好家にとって宝の山だった。一般学生向けのヒットものが売上の中心だったのだろう、マニアックなレコードはコレクター価格どころではなく、二束三文で売られていた。グループサウンズのオリジナル盤、B級ハードロックやプログレやパンクの帯付美品、サイケのレア盤などがゴロゴロしていた。中でも多かったのがESPディスクを中心としたフリージャズだった。アルバート・アイラー、ポール・ブレイ、サン・ラ、ジュゼッピ・ローガン、バートン・グリーン、パティ・ウォーターズ、ニュー・ジャズ・シンジケート、E.E.U.(Evolutin Enemble Unity:高木元輝、近藤等則、吉田盛雄)など、毎回掘り出し物満載だった。バイロン・アレンも生協セールで購入。特徴はひとことエネルギッシュ。オーネット直系の天真爛漫さに貫かれ、決してフリークアウトしない丁寧なフレージングは、荒削りな印象の強いESP諸作の中では、とびきりテクニカルに秀でている。ESPの紹介コメント通りチャーリー・パーカーに近いブッ飛び方である。筆者のアルトサックスの手本として、マーシャル・アレン、マリオン・ブラウン、チャールズ・タイラーと並ぶ四大師匠だった。しかし、他の3人はソロや別ユニットでいくつも作品を残しているのに、バイロン・アレンだけはESPのリーダー作1枚だけしか見当たらない。当時はもちろんインターネットなどなく、彼のバイオグラフィーは調べようもなかった。

30年経ってネット検索で分かったのは、70年代にもう1枚アルバムをリリースしたことだけ。結局それきりで消息不明になったようだ。一説には90年代終わり頃まで活動していたとも。いずれにせよ、現在生きているかどうかも定かではない謎のサクソフォン・プレイヤーである。ネット検索してもレビューや記事で取り上げられているのはESPでの1964年作『Byron Allen Trio』だけで、79年の2nd『Interface』についてはリリースの事実だけしか記載がない。幻の2ndアルバムは一体どんな作品か?と思っていたら高田馬場のDisk Unionで1年半前にあっさり発見。バックを二人の白人ミュージシャンが勤めたトリオ作だが、一聴して「コレは一体、彼に何が起きたのか?」と衝撃を受ける問題作だった。ESP時代のエネルギーは何処へやら、ソプラノ・サックスかと間違えそうなボトムのないハイトーンは、魂の抜けた空っぽ人間の歌のような虚ろな響き。よく言えばスティーヴ・レイシーの達観ぶりに似ているかもしれないが、ここでのバイロンは間違いなくサイケデリック・トリップのあとのホワイトアウトと同じ状態に違いない。激しく時代を駆け抜けたフリージャズの闘士が、戦いの終わったあとに抜け殻の廃人になってしまった。燃え尽きた男の空洞の隙間を抜けるフレーズに、すっトボケたリズムセクションがチャチャを入れる。人を小馬鹿にしたウォーキングブルースのA2,B1は燃え滓を元気づけるどころか、一層存在の薄さを際立たせる。そしてラストナンバーB2を「ドラム・ソロ」と名付け、運指の練習のようなフレーズを吹いたあとは演奏を放棄してしまったバイロンの心境は如何に?おそらく既に心は別の次元を彷徨っていたに違いない。

すなわち『インターフェイス』は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのサード・アルバム、ディノ・ヴァレンテの1stソロアルバム、裸のラリーズ(水谷孝)の『MIZUTANI』、灰野敬二『慈』と並ぶ、極端音楽のHealing Forace(癒しの力)の顕在化に他ならないのである。ただし、他の4者との大きな違いは、バイロン・アレンは自らの意志ではなく、自然の力に導かれるままにこの境地に辿り着いたという事実である。そしてまた、彼は二度ともとの世界には戻れないのではなかっただろうか。存命だとすれば75歳。彼の身体から流れ出る音楽が現在どの階層・位相にあるのか、確かめてみたい気がする。
(剛田武 2015年5月9日記)

ECMよりもESP
CTIよりもICP
ImpulseよりもIndia Navigation

【お悔やみ】
デヴィッド・アレン Daevid Allen


ソフト・マシーンやゴングを結成し、サイケデリック・ロックを代表するミュージシャンの1人だったデイヴィッド・アレンが2015年3月13日金曜日に亡くなった。77歳だった。アレンは先月、癌が再発し、あと数か月しか生きられないと明かしていた。1938年オーストラリア、メルボルンで誕生したアレンは、1961年にイギリスへ移住。ミュージシャンとしての活動を始め、ロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズ、マイク・ラトリッジらとソフト・マシーンを結成した。アレンはその後、英国への再入国を拒否されたため、ソフト・マシーンのツアーに参加できずバンドを脱退。ヨーロッパに留まり、ゴングを結成した、1973~74年にかけて発表されたラジオ・グノーム三部作『Flying Teapot』『Angel’s Egg』『You』は、高い評価を得た。

バーナード・ストールマン Bernard Stollman


アルバート・アイラー、オーネット・コールマンらの諸作で有名なESPディスク(1964年設立)の創立者として知られるバーナード・ストールマンが2015年4月20日大腸がんのため死去した。85歳。1929年7月19日ニュージャージー州ニューブランズウィック生まれ。


ジェローム・クーパー Jerome Cooper


60年代からスティーヴ・レイシー、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ、アラン・シルヴァ、フランク・ライト、セシル・テイラー、アンソニー・ブラクストンなどと共演し、70年代にリロイ・ジェンキンス(vln)、シローン(b)とのトリオ、レヴォルーショナリー・アンサンブルで活躍したドラマー/マルチ楽器奏者/作曲家ジェローム・クーパーが2015年5月6日癌のため死去した。68歳。1946年12月14日イリノイ州シカゴ生まれ。

澤“sweets”ミキヒコ


3人組エレクトロ・ポップ・グループふぇのたすのデジタルパーカッション、V-Drums担当。遠征時は運転も担当。尚美ミュージックカレッジ専門学校 プロミュージシャン学科卒業。2015年5月3日に急性心不全の為死去。享年24歳。



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でんぱ組.inc@TOKYO DOME CITY HALL/灰野敬二@新宿NINE SPICES 2015.5.6(wed)

2015年05月08日 00時36分23秒 | 灰野敬二さんのこと


でんぱ組.inc WWD大冒険ツアー2015
~この世界はまだ知らないことばかり~
TOUR FINAL




日本武道館公演から丸一年。季節外れの寒空の下6時間物販列に並んだ極限状態もすっかり好い想い出になると共に、今ここにあるライヴ現場を味わい尽くす貪欲さを身につけたでんぱ者には、東京ドームシティホールの天井の高さは、妄想の翼を自由に広げるのに最適であった。色ドリドリのサイリウムに照らされて涙のない大団円は、メンバー及びスタッフ、ファンのポジティヴな波動で膨らみ続けるワクテカ風船の弾力性の証であった。
でんぱ組inc@日本武道館 2014.5.6(tue)


【ライブレポート】でんぱ組.inc「このままではライブが続行できない…」とか?


か ら の


灰野敬二
presented by shinjuku JAM 35th anniversary
“JAM FES 2015 ~140時間超えモンスターサーキットイベント~ ”




5月1日~6日の6日間連続で新宿JAMを中心に4会場で開催されたJAM FES、昨年は5月5日に出演した灰野敬二が、最終日5月6日新宿NINE SPICESのトリとして出演。エアシンセとギターによる脅迫的な爆音演奏は、前枠のギターウルフ目当も多い観客に向けて容赦なく放出される。「削り続ける 削り続ける 透明になって 削り続ける 少し痛みを感じながら 削り続ける 宇宙が見えてくる」「愛してると 言って 自分を呪え」轟音の挟間に明確な言葉が発せられる。深いリバーヴの中に膨らみ続ける慈(いつくしみ)に愛さられる至福感の宴だった。
【JAM FES 2014】灰野敬二/壊れかけのテープレコーダーズ@新宿NINE SPICES 2014.5.5(mon)


(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

【比較検証】えいたそ☆成瀬瑛美♥灰野敬二






光と闇
裏と表の
なかよしさん

▼キンブレがお逝きになられました。























【(無断)転載写真館】
でんぱ組.inc「WWD 大冒険 TOUR 2015 ~この世界はまだ知らないことばかり~」ファイナル公演

             

おつかれサマー

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