グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

晴天の旅行者

2010年03月05日 | 植物
 いや~今日は暖かでした。
外で作業をしていて汗をかきました。
えっ、4月下旬の気温ですか・・・!?

 このところ、一日おきに寒暖が繰り返されている伊豆大島です。
明日は、また寒くて天気も下り坂、午後は雨とか。

 さて、クイズです。
タイトルの「晴天の旅行者」という異名を持つ植物はなんでしょう?
世界各地に分布し、英語では「地上の星」と呼ばれているらしい。
中島みゆきの楽曲でプロジェクトXの主題歌。(そうじゃないって)

 この処の異常な暖かさと雨のせいか、
夏から秋に出現するはずの、この植物があちこちで見られます。

 冒頭の写真、左側の枯れ葉は関係なく、
右側の丸いもの。大島には噴火の時に出来る「豆石」という、
火山灰と雨粒が一緒になって作った「雨の化石」がありますが、
それとも違います。もう少し大きくて直径2センチくらい。
卵のような・・・幼菌のうちは食べられるそうです。
この時は、中身は白くて堅いです。



 切通しや土地境界の土手などで、
土が露出した場所に発生する「ツチグリ」です。
クリといっても樹木の栗ではなくて、
ドングリなどに似ているところから名付けられました。
これはまだ開きかけのところ。
大島は年間降水量2500~3500ミリの
温暖多雨多湿の島。キノコの仲間も元気です。

成熟して湿気を吸って外皮がはがれると、



 こんな風に土の斜面で星型に開きます。
・・・だから「地上の星」と。
それが更に湿度を得て、外皮の先端で爪先立つように、
海のタコのようになって地面から離れます。



 上の写真は、土手からころげ落ちて側溝の縁に集まっていたツチグリたちです。



 土手にへばり付いている若そうなのを1つ、
そっと掘り採ってみると根っ子がありましたが、
これは、根状菌糸という、切断されることの多い部分です。
どうもツチグリは樹木の根と共生(寄生)している
菌根菌のようです。



 袋を切って中身を見ると、フカフカで、
細かなスポンジかワタのようです。
この仲間は「腹の中に胞子を抱えたキノコ」の意味で腹菌類といいます。
キツネノチャブクロやフクロツチガキが同じ仲間です。



 中の丸い部分(子実体)の頂きに空いた穴から煙のような胞子を出します。
その瞬間を撮影に成功! したと思ったんですが、
写ってますか?!(汗) 左手でツチグリをつついて、
右手でカメラのシャッターを押してたもので・・・(涙)
褐色の煙が出ていると思って見て下さい。(笑)



 さてさて、長くなってしまいました。
最後はクルマの中に置いて乾燥させてみたもの。
タイトルの「晴天の旅行者」とは、外皮が乾くと、
閉じて丸く球状になって風に吹かれて地上を移動して行くことから、
こう呼ばれるそうです。
移動して胞子をばらまくとは、あっぱれな! 天晴れなキノコじゃ!!

(なるせ)
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