浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「債務危機」

2012-02-10 20:04:52 | 日記
 新自由主義経済に基づく政策は、変革されなければならない。これは私がずっと言い続けてきたことだ。おそらくフリードマンという経済学者の名を、よくない人物として諸君は認識していることだろう。

 これは今も正しい。

 さて私が購読している雑誌の一つ、『現代思想』(青土社)の今月号は、「債務危機」である。この雑誌に書かれている論文は、決して易しくはない。だが、読むほどに頭を鍛えてくれるので、挑戦して欲しい。

 さて天の邪鬼のボクは、巻末の左古輝人の「人間の顔をした資本主義」から読み始めた。これがなかなか刺激的なのだ。法制史を専攻しているH氏も、読んでみるべきではないかと思った。

 左古氏は「自然人と法人のあいだの分離、およびその実質的な力の甚だしい不均衡」を指摘し、世界総金融資産212兆ドルのうち、巨大法人はその11パーセントを有し、その額は24兆ドルだという。自然人の大富豪は、世界トップテンでやっと3500億ドルだというから、法人がいかに多くの金融資産を保有しているかがわかろうというものだ。

 左古氏は、だから「グローバル法人資本主義」という呼称を考え出した。ボクはglobal capitalistsなどといっているが、なるほど法人に焦点をあてる必要がある。このグローバル法人資本主義は、1980年代以降、レーガン、サッチャー、中曽根の時代から、金融ビッグバンや規制緩和などという政策の中から飛び出し、今や世界の経済を不安定化させている。

 左古氏は、この「法人」に法的な主体性をどのような経緯から認めてきたのかをさかのぼる。自然人は当然権利の主体である。それとほぼ同等の権利を与えてきたのはなぜか。

 そして結論的に、左古氏はグローバル法人資本主義を規制するのではなく、「規模に応じた法人格の等級を設定し、それぞれの等級にふさわしい法定の公益的役割を付与せよ」と主張する。

 これはある種の「規制」でもあるが、しかし「公益的役割」とはどのようなことかを具体的に示さないといけないのではないか。

 だが、なかなか刺激的な論文ではある。
コメント
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