熊本に来ている。浜松を9時に出発、14時頃にはもう熊本だ。新幹線をつかえば5時間で来てしまう。
ホテルにチェックインしてすぐに熊本県立美術館に行く。「戦後70年記念 浜田知明のすべて」という展覧会を見に行った。先日も記したが、浜田知明の名を、鹿野政直の本で知ってから、浜田知明の展覧会には足を運ぶようにしている。
浜田知明は、1917年熊本県で生まれた。東京美術学校卒業後、1939年歩兵第13聯隊補充対に入隊し、中国大陸を転戦。一貫して人間としての知性と感性を持ち続け、戦後、戦時下の体験を絵やエッチング、彫刻で表現している。
浜田は、今回の「参戦法案」についても、こう記している。
軍隊では、何時、何処の部隊に配属されたかによって、兵士の生死は分かれることになる。戦闘が始まってしまえば兵士それぞれの思想信条に関わらず、相手を殺さなければ自分が殺されるというのが戦場である。自分は絶対に戦争に行かなくて済むというような人たちによって戦争法案がつくられ、戦争を知らない世代の人々から、最近勇ましい言葉が聞かれるようになった。かつての日本軍の一員であり、理由もなく殺し、辱め、なけなしの食料を奪うなど、中国で日本軍が犯した数々の悪行(ママ)を見てきた者として、私は常に再び日本が他国と戦火を交えることがないように祈っている。
展覧会の図録を購入した。浜田の展覧会図録は、以前神奈川県立美術館葉山館で行われた展覧会のときにも購入したが、今回のはそれぞれの作品について浜田のコメントがつけられている。買わざるを得なかった。
浜田のヒューマニズムと正義感に裏打ちされた知性と感性が、すべての作品にこめられている。今まで見たことがなかった作品も並べられていた。「浜田知明のすべて」という所以である。
たいへんよかったし、図録も素晴らしい。