「日本会議」に関する本がいろいろ出版されている。それらすべてを読んでいるわけではないが、安倍政権の政策に大きな影響を与えている「日本会議」についてはきちんと認識すべきであろう。
すでにこのブログで何度も記しているが、「日本会議」は戦前の国家体制を復活させたいという願望をもつ宗教団体が、その主な構成団体である。現在の「生長の家」とは切れているというが、「生長の家」の教義を持ち続けている者たちが、「日本会議」の中枢にいる。
さて、その「日本会議」に莫大なカネを支援しているのが、神社本庁であり、とりわけ明治神宮である。明治神宮は参詣客も多く、その周辺で様々な事業を展開している故に、莫大な収入があるという。したがって、その他右派系の宗教団体が参加しているが、「日本会議」の中核はもと「生長の家」信者と神社本庁である。
そして構成団体には、三六教(オイスカインターナショナル)が入っているが、「生長の家」とともに、もとは大本教から分離したものであるという。「生長の家」が大本教を出自にしているということは、本書を読んで始めて知った。
彼らは、安倍政権と組んで、「右派革命」の“うねり”をつくりだしている。その先にあるのは、日本国憲法の否定だけではなく、近代民主主義そのものの廃絶である。ということは、たとえば西周や福沢諭吉、伊藤博文らの否定ということにもなる。
明治時代ですら、近代民主主義を理解し、立憲主義を掲げた政党があった。
安倍政権と「日本会議」がめざすものは、実は「大日本帝国」への回帰ではなく、まったく新しい日本の創建である。
本書は、他の関連書と重複するところもあるが、インタビューを多用している点に特徴がある。
菅野氏の本が衝撃的なものであったが、本書は冷静に「日本会議」の正体を明らかにしている。