浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

農業のこと

2025-02-22 21:55:17 | 社会

 最近は寒すぎて畑に立つ時間は少なくなっているが、農作業をしているわたしは、農家がユーチューブで農作物のつくりかたを教えてくれる番組をみて参考にしている。昨日、その番組をみていたら、農家の方が、最近農作物の価格が上昇していることから、それにより日々の農作業が報われているとして笑みがでていると言っていた。

 農産物は、自然の影響を直接受け、生産量はそれに多いに左右され、また豊作になると価格が下がる、したがって農家の収入は安定しない。

 わたしはみずから農作業をしていて、農業労働分は価格に転嫁できていないのではないかと思っている。今、わたしの周辺で農作業に従事している人は、年金などほかの収入があるから生活できている。農業からあがる収益だけでは、とても生活はできない。

 農業労働は、夏は猛暑の中作業し、冬は厳寒の中、冷たい風に体をさらして行われている。

 最近は肥料価格も上昇し、農機具は想像をこえるほど高い。小規模な農家がもっているトラクター価格は200万円くらい、大規模に農業をしている農家では1000万円を超えるトラクターを使用している。

 農作物をつくっている農家の苦労を、消費者は知らなければならない。

 ふつうの国は、国民の食糧を生産する農家を大切にしている。農家が困らないように、所得保障をしている。自民党・公明党政権はそんなことはしない。大企業などには大金を補助金としてばらまいているが、農家にはそれがない。農水省の政策にそって、減反や生産調整(つまり米の生産を抑える)に協力したりすれば補助金は少し出る。また圃場整備事業をすれば多額の補助金がでてくる。しかしその金は、土木業者の懐に入る。

 他国と同じように、農家の所得保障をきちんとすべきである。

 現在の米価格の上昇は、政府の米生産を抑制する政策の結果である。

 野菜など高騰の理由は、気候変動によるものであろう。当地では雨が降らないので、農作物が大きく生長しない。高額野菜の代表となっているキャベツ、わたしもつくっているが、小さいままだ。如露なんかで水をやっても、土の表面を濡らすだけだ。ある程度の雨が降らないと、野菜は生長しない。

 しかし他地域では雨が降ったりして豊作の所もあるかもしれない。すると、その地域の農家は収入が増えて笑いも出てくるだろう。同じものをつくっていても、地域により、収入はバラバラとなる。

 暑さや寒さのなか、農地で作業をしている全国の農家が安心して農業ができるようにすることが、政府の仕事となるべきだ。それが結果的には、日本国民の安定した食の提供となる。しかし、自民党・公明党政権による農政は、ノー政といわれるほどヒドイものだ。税金を大企業ばかりに金を投入している自民党・公明党政権には去ってもらうしかない。

 

 

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卑劣

2025-02-22 20:40:21 | 政治

兵庫・竹内元県議に対する誹謗中傷の拡散 きっかけのひとつの“文書”は誰が作成し、誰が立花孝志氏に渡したのか 証言をもとに検証【報道特集】

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澤田展人「アジアのヴィーナス」

2025-02-22 10:02:14 | 読書

 札幌で『逍遥通信』を発行している澤田さんが、『アジアのヴィーナス』(中西出版)を上梓された。そこには、四つの小説が掲載されているが、「アジアのヴィーナス」が最初に載せられている。

 寄贈を受け、すぐに「アジアのヴィーナス」だけを読み終えた。わたしは、加齢のせいか、小説などは読んでもすぐに内容を忘れるという情けない状況にある。ところが、「アジアのヴィーナス」は、今もよみがえる。その一つの理由は、映画化をすすめられたと言われるほどに、絵になる内容であったからだ。北海道の自然、登場人物の動き、いずれも読みながら、まざまざと情景が浮かび上がるのである。

 もうひとつの理由は、登場する人物がいずれも個性的で、彼らの動きの描写がクリアだからだ。

 主人公はミサキ、父・伊三夫は日本人、飲食店を経営していたが、今は東京に行ったままで何をしているかわからない。右翼的な活動もしている。暴力的で、ウラの世界とも通じている。母・シンシアはフィリピン人であるが、そんな父から家を追い出されている。そして彼女は、定時制高校に通っている。

 高校では、沖縄への修学旅行が計画されている。ミサキは、行きたいけれども、父が東京へ行っていることから金がなく、行けるかどうか分からない。さらに父は、ミサキを東京に連れて行き、カネを稼ごうと画策している。担任の行橋が、カネを貸すと言うが、父はそれを認めず、自分でカネを工面せよという。止むなく、クラスメートから距離を置いている「おっさん」と呼ばれていた28歳の級友・野口に借金を申し出る。

 そして沖縄への修学旅行。彼らはガマに入る。そこで金城さんから、戦時中の体験を聞く。その語りに、澤田さんの沖縄に抱く思いがこめられ、ていねいに語られる。ここも読みどころである。

 野口は、ガマで奇怪な行動をとる。その背景には、彼が育ってきた環境があった。父は炭鉱事故で亡くなった。その後野口は祖父とともに生活する。山の中だ。猟をする。そこで野口がアイヌであることが示される。しかし祖父は亡くなってしまう。野口はひとり、働く。そして定時制に通うことになる。

 修学旅行から帰って、ミサキは父に連れられて東京へ。そして父に命じられるままに、多額のカネをだす男どもに身を任せる。陰惨としかいいようがない情景が綴られる。借金をつくった父がカネを稼ぐために娘を犠牲にするのだ。

 しかしミサキは、ラーメン屋の出前であった正平と逃げる。そして札幌で彼と同棲する。子どもも生まれた。ある日、そこへ瀕死の重傷を負った父がやってくる。ミサキは正平の協力を得て母を探し出す。母がやってきて父を看る。そして父と母は、雪の中に出ていき、父は亡くなる。母は消える。

 のち、ミサキは正平と別れて、新しい生活を始める。そして廃品回収業の男と再婚する。幸せな日々が続く。

 ミサキは、そういう生活のなか、野口に会いに行く。借りた金を返そうとして。そしてそこで野口に抱かれる。

 *******************

 ミサキという現代娘を中心として、そこに個性を持った脇役を配し、ドラマティックに展開する。別にそこから何かを感じさせようとするわけでもなく、読む者は、小説の世界に入り込んで、サスペンスのように話を追っていく。なかなかのストーリーである。

 澤田さんは、その話の中に、アイヌや沖縄を塗り込め、社会的な思いも描き込む。一度読んだら、忘れられないストーリーである。

 あと三作、どんなストーリーなのだろうか。

 

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