浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

白川静のこと

2012-12-30 23:45:46 | 日記
 町田の住人は、時々重要な示唆を与えてくれる。主にボクの腰痛を喜ぶ電話の中で、白川静についての言及があった。

 白川静の本は、何冊か買ってある。しかし読み始めてほぼすぐに中断してしまっていた。ボクには白川の良さがわからなかったのである。

 町田の住人からの電話の後、書庫に松岡清剛の『白川静 漢字の世界観』(平凡社新書)があったことを思い出した。ずっと前に買ってあったもので、もちろん未読であった。そこで読み始めた。

 そして読み終えた後、ボクは白川の「世界観」を理解すべく彼の本を読みこなす準備ができたと思った。なかなかわかりやすい内容だったのだ。

 漢字を使う東アジア地域の中で、漢字の世界をこれほど深く詳細に研究した人は、他にはいないだろう。それができた背景には、日本人こそが漢字に使われるのではなく、漢字を日本という地域で使いこなすことができたという、そうした伝統があったからだと思う。

 ボクも日本史研究の末端に細い糸でつながっている者として、少なくとも白川の『字訓』は読んでみたいと思った。

 白川の本を未だ一冊も読んでいないボクとしては恥ずかしい限りであるが、すこしずつ白川の世界に踏み込んでみようと思う。

 町田の住人は時に良いアドバイスをしてくれる。だがボクのアドバイスはなかなか聞き入れない。ボクには必要ないものなのに、先に使ってその体験を語れとしつこく言うのだ。

 ボクは今から『回思九十年』(平凡社)を読む。漢字の世界を十二分に知り尽くした白川の語彙は、凄いの一語である。

 「孤詣独往」(こけいどくおう)という語は、白川の本の中にしかないだろう。知の巨人に挨拶をするのだ。
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