
日頃大変お世話になっている社長に、福岡の「金蔦」というお洒落なお店へご案内いただきました。
中洲のある那珂川が合流するあたり、宿泊先のキャナルシティが向うに岸に見える、春吉の住宅街を進んだところに突如現れた欧州の民家か山小屋を思わせる異質な空間。かつて僕はこの近所に住んでいたこともあるのですが、まさかこんなところにという場所で、それが一層非日常感を際立たせます。

薄明りの静かで落ち着いた店内に案内されると、テーブルの準備ができるまでの間、本物の暖炉の前でウェルカムドリンクのサービス。店の奥からはピアノの生演奏が川のせせらぎのように静かに聞こえてきます。

前菜の一皿目は、カリフラワーのピュレとスモークサーモン、和風ジュレを添えて。ジュレとカリフラワーのピュレと異なる食感が楽しめ、しっかりとしたスモークさが感じられるサーモンに生クリームがコクを添えます。

二皿目は、霧島ポークのグリエ。フレッシュトマトと塩昆布の二種類のソース。しっかりとした旨味のある厚切りの霧島ポークを左のトマトソースは洋風に、右の塩昆布のソースは和風に仕上げてあります。

そしてメインは、この欧風な空間に現れた、和の「博多炊き肉鍋」。中央部の牛テールスープにたっぷりのネギと共に豚肉、牛肉を落とし、しゃぶしゃぶのようにして食べます。たれは、トマトと白ワインベースのたれと牛テールの塩だれの二種類。好みで赤唐辛子と青唐辛子+山椒の自家製梅味噌による辛さ調整ができます。つまり、二種類の肉×二種類のたれ×二種類の調味料で様々な楽しみ方が広がるというわけです。

締めは、さっぱりとしたたれによく合う、フォーのような米粉の平麺で。

中洲や春吉の表通りの喧騒がすぐ傍であることが信じられない、初めから終わりまで楽しめる非日常空間。まさに「隠れ家」と呼ぶにふさわしい、とても素敵なお店を教えていただきました。
金蔦

福岡県福岡市中央区春吉3-16-5
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
