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宮の前の信号を下っていくと、富岡八幡宮のある八幡公園に出ます。富岡八幡宮は、1191年(建久2年)、源頼朝が富岡鎮護の為に摂津国西宮の恵比寿様を勧請して創建されました。1227年(安貞元年)には八幡大神を合祀し、社名も八幡宮となりました。富岡八幡宮というと東京深川の方が有名かも知れませんが、実は深川の富岡八幡宮はここの分社なのです。
富岡八幡宮は鎌倉から見てちょうど鬼門(北西)の方角に当たり、社も鬼門を向き、鎌倉幕府の厄災防除の神としても祀られた神社です。1311年(応長元年)の応長の大津波の際には、この八幡宮の山が津波からを護ったことから、「波除八幡」とも呼ばれています。
昔は薄暗く、少し怖いようなところでしたが、平成14年に本殿が改築されたようで、周辺の木も切られ、写真のように明るくなっています。
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八幡公園の中には、二つの記念碑があります。
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ひとつは、富岡漁業協同組合碑。わずか40年ほど前まで、ここが豊かな漁港であったことを示すものです。ここはかつて宮の前海岸といい、少なくとも奈良時代には漁が営まれていました。とりわけ「本邦随一」とも賞された、高品質の海苔の産地として有名でしたが、1971年(昭和46年)、この地の埋め立て事業が決定し、その歴史に幕を下ろしました。
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今では全くその面影のない団地街(並木町)となっています。並木町の名前は、かつてこの先の海が「竝木の海」と呼ばれていたことに由来します。そしてさらにその先の工業団地の町名が「幸浦」と言うところに、かつてここが豊かな漁場であったことの名残をとどめています。因みに、僕は1980年(昭和55年)にこの並木町へ引っ越してきました。そのわずか10年足らず前まで、ここが海だったことを思うと、不思議な感じがします。
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さて、もうひとつは「海水浴発祥 宮の前海岸」の碑です。実は、ここが日本の海水浴発祥の地なのです。明治の初期、明治学院初代総理でヘボン式ローマ字で名高い、ヘボン博士がここ宮の前海岸を「東京湾で最も海水浴に適した地」と評したことから、急速に注目が集まったそうです。
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このすぐ近く、次回登場する慶珊寺からも程近い、現在は天神荘という名のアパートになっている富岡東4-3-20辺りは、大蔵卿・松方正義の別邸があったと言われています。前回もいくつかご紹介したように、ここ富岡には明治政府の要人が次々と別邸を構えていました。それゆえ「夏は富岡で閣議があける」とまで言われたほどです。こうしたことからも、明治の初期、富岡は一級のリゾート地であったことが窺われます。因みにそのさらに奥が富岡尋常小学校跡になります。
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さらにもう一つ。八幡公園裏のこすもす幼稚園には、「日本国憲法起草之地」の碑があります。戦後、第一次吉田内閣で国務大臣を務めた金森徳次郎がここで日本国憲法の草案を仕上げたと言われています。
奇しくも、富岡は大日本帝国憲法、日本国憲法、両憲法の起草に関わった地となったのです。
<つづく>
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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