10月26日、北九州市(小倉)にて第33回以来7年ぶり2度目の九州開催となる第66回燮(やわらぎ)会に参加しました。燮会は日本交渉協会が主催する交渉アナリスト1級会員のための勉強会です。
今回の燮会は2部構成。第Ⅰ部は、今回の小倉開催のためにご尽力いただいた、地元北九州市小倉北区出身の1級会員末永正司さんより、「方言(北九州弁)と交渉」と題してお話しいただきました。
まずは、県外の人から博多弁と一括りにされやすい北九州弁の基礎講座から。意外だったのですが、博多弁と北九州弁はそれぞれ肥筑方言系と豊日方言系とで、系譜が異なるそうです。そして。標準語、博多弁、北九州弁の比較もあったのですが、なるほど一覧表にしてみると結構違いがあるものですね。北九州弁には、愛媛や中国地方(山口、広島など)と似ていると思わる言葉が幾つかありましたが、確かにそれらの言葉は博多弁には見られません。
そして、北九州弁の特徴を大雑把にまとめると、
●命令、強制、強い依頼が多い
●強調表現が多い
●敬語表現がない
ということができ、これらは同じ九州の中でも博多弁や熊本弁などにはないようなのです。簡単に言うと、「強い口調」ということができそうですね。そして会話表現の特徴として、
●言葉を短くしがち
●早口
といったことが挙げられます。そうなるとより強い口調、ひょっとすると知らない人が聞いたら「ちょっと怖い」と感じるかもしれません。本当は、怖いわけでも怒っているわけでもないそうです。
さて、こうした方言の話がどう交渉に繋がるのかですが、まさに上記のような北九州弁の持つ特徴が交渉の場に応用できるのではないかということでした。確かに、語数が少ない、早口、語気が強いとなれば、威圧感があるように感じられるかもしれません。これで思い出したのが、「沈黙戦術(Flinch)」と呼ばれる話法です。これは、相手の提案に対し沈黙することで、その提案が馬鹿げているというシグナルを発し、相手が提案を取り下げたり、譲歩することを狙ったテクニックです。北九州弁的話法には、沈黙戦術と似た効果が期待できるのかもしれません。
第Ⅱ部は、僕から「『孫子』の兵法と交渉学」と題してお話しさせていただきました。2500年も前に書かれたと言われている最古の兵法書『孫子』を現代の交渉理論の言葉に置き換えて理解すると同時に、散逸しがちな交渉の各理論を逆に『孫子』に当てはめて整理することで、系統的に理解できるようにしようという試みについてお話しさせていただきました。いずれこの話は、ポッドキャスト「トレードオンの交渉学」でもお話しさせていただく予定です。
終了後は小倉駅近くの居酒屋に場所を移して懇親会が行われました。燮会でのテーマがユニークだったこともありますが、地方大会ということでほとんどの皆さんが宿泊されるということで時間の余裕もあり、大いに話が盛り上がったのと同時に大変勉強になりました。これは地方開催の良さだと思いますので、より多くの1級会員の皆さんが今後も地方大会に参加していただけたらと思います。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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