「宮島達男展 『FRAGILE』」 SCAI 3/25

SCAI THE BATHHOUSE(台東区谷中6-1-23)
「宮島達男展 『FRAGILE』」
3/3-4/8

谷中のSCAIにて開催されている宮島達夫の個展です。展示作品はあまり多くありませんが、新たな境地を拓いたような新作の立体カウンターと、水を使った美しいオブジェが場を飾ります。もちろんいつもながらの平面作品も健在でした。

立体的に組み合わされたカウンター作品は、手前の展示室に1点、さらに奥の広い展示室に3点配されています。タイトルは「Counter Fragile」(2005-2006)。まさにFragile、モロく不十分に組み合わせれたカウンターです。また、この作品に合わせて開発されたというLEDはとても小さく、1~9の数字がどれも極めてゆっくりと数を刻んでいます。LED同士を繋げる素材はセラミックの細いワイヤーでしょうか。ワイヤーが蜘蛛の巣のように張り巡らされながらカウンターを支えています。そして支持体は透明なアクリル板。そこからカウンターが浮き出すようにぼんやりと点滅している。その集合体は特に何かを象っているわけではないそうですが、向かって一番右にあった作品は、遠目からだと金魚のようにも見えました。幾何学的な形にて、整然と数を刻みながらもカオスを見せる平面作品とは、また異なった味わいがあります。不定形な形が生む危うさ。カウンターを頼りなく支えるワイヤーにはあまり美感がありません。これにはやや戸惑いました。

その一方で、脆いカウンターの束を、水を使ったオブジェへと転換させた「C.F.Bubble in the water T-1」は非常に美しい作品です。一言でいうならば、これはまさに水中花。小さなカウンターが水の中で健気に咲き誇っています。細く弱々しい支持体もここでは水の浮力を借りたのか、まさに植物の茎のようにして伸びやかにLEDの花を支えます。そして時折ブクブクと沸き出してくる泡。その泡によって花が揺れてまた美しさを増していく。思わず欲しくなる作品でした。(手が出ないのに言っております…。)

小さな窓越しに設置された「Counter Window」(2003)は、半透明の磨りガラスの上にカウンターが時を刻む作品です。その色、形はともに、大きさこそ異なりますが六本木ヒルズにある作品(「Counter Void」)と似ています。こんな小窓が自宅にあったらと思うと…。既視感のある作品ではありますが、このサイズにはなかなか惹かれました。

4月8日までの開催です。お花見の季節の谷中散策にも打ってつけの展覧会です。
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