都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「life/art'05 part4 中村政人」 資生堂ギャラリー 3/5
資生堂ギャラリー(中央区銀座8-8-3)
「life/art'05 part4 中村政人」
2/16-3/5(会期終了)
「life/art'05」もいよいよ第4回目。今回は「美術と教育」などのテーマの元、多様なアート活動を展開している中村政人の出番です。展示形態は「オン・ゴーイング」。制作過程から全て公開していく仕組みです。
私は中村の展示に、今日を数えると三たび足を運びましたが、最終日の今日になっても、会場は一歩見間違えればまだ設営途上のような雰囲気でした。(むしろ最後の最後まで「オン・ゴーイング」。つまり完成しないのかもしれませんが。)壁に立てかけられた何枚もの黄色いキャンバス。それが無造作に、まるで倉庫にでも並べるようにしてただ置かれています。そしてその中で唯一「展示」の気配を見せていたのは、奥の部屋にて一枚だけ壁にかけられていた、SHISEIDOのロゴが入った黄色のキャンバスだけです。そしてこの一点だけが、作家による「見せる」行為によって「絵画」になっている。他のものにはまだこれからも色が塗られるかもしれないし、また何かの文字が描き加えられるのかもしれない。(そもそもキャンバスは重なり合って置かれているので、奥のものは見えません。それとも重なり合うキャンバスの塊全体が『作品』なのでしょうか。)「絵画を展示して、観客が見る。」という、美術展では一般的な出来事へ挑戦するかのように置かれた黄色のキャンバス群。(一部には「B」という文字がありました。)もちろん、刷毛や塗料などの入れられた制作用の道具も、整理されているとは言え、まだ残されています。中村のアトリエが再現されている。そのようにも見受けられました。
その点で「作品を見せる。」ことに忠実だったのは、彼がこれまで手がけた「美術と教育プロジェクト」による、美術家などへの膨大なインタビュー集です。そのインタビューが年次別に冊子にまとめられて、会場のテーブルでいくつも公開(販売も可。)されています。ふとその一冊を手に取ってめくってみると李禹煥の名前がありました。またそのインタビューの一部は、VTRでも公開されています。つまり何本かのインタビュービデオの中から、観客が見たいものを自由に選べることが出来るという仕掛けです。私が出向いた時は、たまたま草間彌生のインタビューが放映されていたのでしばらく見てきました。ちなみにこの「美術と教育」に関する展示は、「絵画」が「オン・ゴーイング」として制作されていた間も、ほぼ一貫して見ることが出来ました。インタビュー自体が「オン・ゴーイング」だったのかは不明ですが、少なくとも「絵画」とは異なった位置付けにあったようです。
前々回と前回出向いた際は、おそらく中村氏であろう人物が、一生懸命に黙々とキャンバスを黄色くしている姿が印象に残りました。そしてその中で観客が戸惑いながら、会場をうろうろしている。中には受付係へ「これは一体…?」のような質問をする姿も見受けられます。「オン・ゴーイング」によるハプニング的な面白さと、その一方での見せることの難しさが、表裏一体となってストレートに現れていた展覧会かと思いました。
次回はいよいよ最終回です。告知を読む限りでは、今回以上の驚きの空間が待っているような予感もしますが、さて一体どうなるのでしょうか。part5の須田悦弘は、今月6日から26日までの開催です。
*「part1 今村源」/「part2 田中信行」/「part3 金沢健一」
「life/art'05 part4 中村政人」
2/16-3/5(会期終了)
「life/art'05」もいよいよ第4回目。今回は「美術と教育」などのテーマの元、多様なアート活動を展開している中村政人の出番です。展示形態は「オン・ゴーイング」。制作過程から全て公開していく仕組みです。
私は中村の展示に、今日を数えると三たび足を運びましたが、最終日の今日になっても、会場は一歩見間違えればまだ設営途上のような雰囲気でした。(むしろ最後の最後まで「オン・ゴーイング」。つまり完成しないのかもしれませんが。)壁に立てかけられた何枚もの黄色いキャンバス。それが無造作に、まるで倉庫にでも並べるようにしてただ置かれています。そしてその中で唯一「展示」の気配を見せていたのは、奥の部屋にて一枚だけ壁にかけられていた、SHISEIDOのロゴが入った黄色のキャンバスだけです。そしてこの一点だけが、作家による「見せる」行為によって「絵画」になっている。他のものにはまだこれからも色が塗られるかもしれないし、また何かの文字が描き加えられるのかもしれない。(そもそもキャンバスは重なり合って置かれているので、奥のものは見えません。それとも重なり合うキャンバスの塊全体が『作品』なのでしょうか。)「絵画を展示して、観客が見る。」という、美術展では一般的な出来事へ挑戦するかのように置かれた黄色のキャンバス群。(一部には「B」という文字がありました。)もちろん、刷毛や塗料などの入れられた制作用の道具も、整理されているとは言え、まだ残されています。中村のアトリエが再現されている。そのようにも見受けられました。
その点で「作品を見せる。」ことに忠実だったのは、彼がこれまで手がけた「美術と教育プロジェクト」による、美術家などへの膨大なインタビュー集です。そのインタビューが年次別に冊子にまとめられて、会場のテーブルでいくつも公開(販売も可。)されています。ふとその一冊を手に取ってめくってみると李禹煥の名前がありました。またそのインタビューの一部は、VTRでも公開されています。つまり何本かのインタビュービデオの中から、観客が見たいものを自由に選べることが出来るという仕掛けです。私が出向いた時は、たまたま草間彌生のインタビューが放映されていたのでしばらく見てきました。ちなみにこの「美術と教育」に関する展示は、「絵画」が「オン・ゴーイング」として制作されていた間も、ほぼ一貫して見ることが出来ました。インタビュー自体が「オン・ゴーイング」だったのかは不明ですが、少なくとも「絵画」とは異なった位置付けにあったようです。
前々回と前回出向いた際は、おそらく中村氏であろう人物が、一生懸命に黙々とキャンバスを黄色くしている姿が印象に残りました。そしてその中で観客が戸惑いながら、会場をうろうろしている。中には受付係へ「これは一体…?」のような質問をする姿も見受けられます。「オン・ゴーイング」によるハプニング的な面白さと、その一方での見せることの難しさが、表裏一体となってストレートに現れていた展覧会かと思いました。
次回はいよいよ最終回です。告知を読む限りでは、今回以上の驚きの空間が待っているような予感もしますが、さて一体どうなるのでしょうか。part5の須田悦弘は、今月6日から26日までの開催です。
*「part1 今村源」/「part2 田中信行」/「part3 金沢健一」
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