「小金沢健人 『数を忘れる』」 ヒロミヨシイ 10/14

ヒロミヨシイ江東区清澄1-3-2 6階)
「小金沢健人 『数を忘れる』」
10/7-11/4

小金沢健人の個展です。二面の大型スクリーンを使った映像作品と、暗室に星空を作り出したインスタレーションに見応えがありました。

展示室正面に映し出されているのは、「鳥/2コーナー」(2005)です。白を背景とした二面のスクリーンに、たくさんの鳥(蝙蝠?)の群れる様子がほぼエンドレスに流されています。白みに浮かび上がる鳥たちのシルエット。それがまるでゆらゆらとたなびく翳ろうのようにうごめいていました。右から左へ、また時に上から下へと、空間を縦横無尽に駆け回っている。大空で気持ちよく羽ばたいています。

暗室のインスタレーション、「宇宙の撹拌」(2006)は、まさに小金沢流プラネタリウムです。床に置かれたいくつものミラーボールと、羽のない二つの扇風機。そこへ上からスポットライトがあたり、部屋いっぱいに星空が投影されます。青や白に瞬く無数の星たち。ここに無限の大宇宙が広がり、深い瞑想の時が誕生します。そしてタイトルの「撹拌」の到来です。この仕掛けは扇風機にありました。星の輝きをしばし見つめていると、突然床の羽のない扇風機がバタバタと動き始めます。そして星空が震え、宇宙が大きく揺れ出す。その振動が体に伝わるかのようです。瞑想から一転し、めまいのするような感覚に襲われました。

その他、眩しいネオンサインによる2点のオブジェやドローイングなども展示されています。11月4日までの開催です。
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「イケムラレイコ 『パシフィック』」 シュウゴアーツ 10/14

シュウゴアーツ江東区清澄1-3-2 5階)
「イケムラレイコ 『パシフィック』」
9/26-11/4

MOTのグループ展や、森美術館の「ストーリーテラーズ」などで印象深いイケムラレイコの個展です。ズバリ、タイトルの「パシフィック」(太平洋)のイメージ通り、新作の海景画が目立っていました。夢物語の少女と大海原のモチーフの組み合わせ。これまでの作風からまた一歩踏み込んだような世界が提示されています。

深い青みが無限に広がる「blue horizon」(2006)は、まるでザオ・ウーキーの抽象画のようです。波打つ海と、水面からクジラの噴き出す潮のように立ち上る水蒸気。色の渦が、キャンバスの中でぶつかり合いながら広がっています。また、あたかもマグマの海が描かれたような「pacific red」(2006)も、そのうねり立つ赤が、非常に力強くキャンバスを行き来していました。そしてその赤波の上に伸びる一筋の雲。飛行機の駆けた痕跡でしょうか。画面から朧げに現れる水平線が、海の彼方を指し示し、その先の彼岸をも暗示しています。全てをのみ込んでしまう海の深淵が表現されていました。



煌めく閃光の伸びた「birdgirl」(2006)も印象的でした。光の横切る闇の中にて、少女が楽しそうに駆け出しています。この幻想性と、まるで夢心地のような空間は健在です。11月4日まで開催です。
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